見出し画像

今日のジャズ: 2月17&18日、1958年@ニューヨーク

Feb. 17-18, 1958 “Stella by Starlight”
by Tal Farlow, Eddie Costa, Bill Takas & Jimmy Campbell at WOR Recording Studios, NYC for Verve (This is Tal Farlow)

ヴィクターヤング作曲で、jazzstandards.com でのスタンダード曲ランキング10位に位置付けられる、シナトラが歌い、チャーリーパーカー、スタンゲッツ、マイルスやキースジャレットといった巨人が演奏した名曲をジャズギターの鬼才、白人のタルファーロウが軽やかに弾き尽くす。

上下左右に激しく動くようなジェットコースターさながらの旋律をいとも楽しげにギターで掻きむしる。そんな立て続けの高速フレーズの合間の僅かな隙に、1:08のハーモニクスを効かせたコケッというピッキングはユーモアと超絶技巧の塊で、本人が弾いた後にバンドメンバーにほくそ笑んでいるような想像を掻き立てる。

前日2月17日に紹介したパットマルティーノの元祖のスタイルが、このタルファーロウにも流れている。高速ピッキングで、何処までも止まることなく駆け抜けて行くスタイルと爽快感が共通項。

そしてエディコスタのピアノが、入り乱れてお互いの排他的領域を敢えて超えて挑発して衝突するような展開。2:13からの絡みを経て2:30から、「かかって来いや」的なコスタの激しい鍵盤叩きは、ライブではありがちだが、この手のスタジオアルバムには珍しい。ピアノは打楽器でもある事を実感するが、更に打楽器の色合いの強い鉄琴をも巧みに操るエディコスタならではの特徴とも言える。

ドラムもタルのギターと同系列の颯爽としたスタイルで、極みは3:18のシンバルの「チキチキチキ、キンッ」というお茶目なアクセント。バンドメンバーが、演奏しながら「やるじゃ無いか」とトキメキを感じる瞬間だろう。

よくよく聴くと、深いと思うのは、これら3人の影に隠れてしまっているが、終始太い音で激しく動き回るベース。このベーシストの他の作品を調べて見ても、どうしても見つからないのが、心残り。

曲調は、西海岸風ながら録音はニューヨークという意外性がなかなか珍しい感じ。

レーベルはVerveで、録音場所に”WOR”とあるのはマンハッタン拠点の老舗ラジオ局のこと。1440 Broadwayという住所でタイムズスクエアから程近い場所に2005年まであったよう。WORのラジオ局自体は今でも存続している。

本曲の元祖は、1947年に録音されているシナトラの歌唱バージョン。そのしっとりとしたと比較すると、本演奏が、かなりハイテンポでコミカルな事が分かる。

最後に、タルの流れを汲むその進化系ギタリスト、パットマルティーノによる演奏にご興味がある方は、こちらからご鑑賞ください。今回の紹介曲から18年の時を経て、メロディーラインがかなり現代化しているものの、太いトーンで速弾き、という共通項が堪能できる。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集