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今日のジャズ: 5月24日、1956年@ニュージャージーRVG

May 24, 1956 “Tenor Madness”
by Sonny Rollins, John Coltrane, Red Garland, Paul Chambers & Philly Joe Jones at Rudy Van Gelder Studio Hackensack for Prestige (Tenor Madness)

帝王マイルスによる5月11日紹介曲(以下)から13日後、同じ”The Rhythm Section”を四歳年下の天才テナーサックス奏者、ソニーロリンズが率いた同スタジオ録音作品です。

プレスティッジレーベルと録音スタジオは同一ながら、前曲のステレオからモノラルへの逆戻りの理由は予算上の制約なのか音質的な理由なのかが気になります。いずれにしても、この頃がステレオ化の始まりという証かと思います。

マイルス作品との比較でいうと、ロリンズの音楽的な志向やリーダーシップの取り方が全く異なることと、ゲストとして相まみえるテナーサックスの巨人ジョンコルトレーンとの演奏スタイルや収録時点における成熟度比較が出来るのが本作の希少性です。

まず、冒頭テーマ曲の両者によるユニゾンで音色の聴き比べが出来ますが、柔軟なロリンズに対して、硬派なコルトレーンが好対照です。音色だけではなくブローの揺らぎも微妙にズレるアンサンブルがジャズらしさです。

ソロの先手はコルトレーンです。フレーズの纏まりで空間を埋め尽くすかのような艶のあるシステマティックな旋律を矢継ぎ早に繰り出して曲調の土台を作ると、続くロリンズは対照的に高低差と緩急のスピードでスリルのあるジェットコースターのような奇想天外な旋律を独特の間合いで閃いたかのように朗らかに繰り出していきます。

お互いのソロを経て8:30以降に両者がコールアンドレスポンス的に交互に絡みあう掛け合いで、その個性の違いが良く聴き取れ、ロリンズの技術や表現力といった総合的な完成度が、この時点で傑出している事が分かります。絶えず進化し続けたコルトレーンはまだ発展途上のように聴こえますが、ロリンズに対峙することで背中を押されたかのように、独特のコルトレーン節がふんだんに織り込まれています。

演奏にはリーダーシップのあり方も反映されていそうです。ロリンズは自由奔放に感性のままに吹きまくり、リズムセクションにも強い統制を利かせずに自身同様の感性に委ねる自由なスタイルを求めているようで、比較的自由度が高くアドリブの余地が大きいノリ重視の演奏となっています。マイルスとの演奏では控え気味のガーランドの存在感が随分異なることに気付かされますし、ドラムのフィリージョージョーンズがダイナミックに叩きまくっていることもわかります。ロリンズは相性の良いフィリーには特に遠慮しないように指示を出していたのかもしれません。

個人的なおすすめの聴きどころは、そのフィリーのドラミングです。二人を始めとするソロイストの伴奏で、意識してか本能的な感性なのか、異なるリズムを繰り出していることがわかります。簡単にいうと、コルトレーンには生真面目な直球ストレート、ロリンズには変速リズムやフィルインといった遊び心が表出します。3:50のロリンズの裏での景気付けリズムからレッドガーランドのピアノソロの後ろでの刻み方も含め、ソロイストに歩調を合わせつつ、そのソロに刺激と活力を与えていることが分かります。

ロリンズとフィリー

そしてフィリー自身のソロにおいて、コルトレーンとロリンズと交互の掛け合いをする演奏の多彩さに驚かされます。そしてそれが、3月7日紹介曲(以下)に登場した白人ドラマーのシェリーマンのソロに似ている点が興味深いところです。ロリンズ節に引き込まれるというのは、こういう事象なのでしょうか。そのフィリーとの相性としては、この演奏だけを聴くとコルトレーンよりもロリンズの方に軍配が上がるという印象です。

ロリンズとフィリーが容赦なく突き進む本作翌年の演奏はこちらからどうぞ。

本作と合わせて聴きたいのが4月8日紹介曲(以下)のコルトレーンを交えた三者テナーバトルです。この録音の約一年後ですので、聴き比べてみると、進化途上のコルトレーンを軸に三奏者の比較が出来るという面白さがあります。

切磋琢磨で個性を発揮する刺激的な一日をお過ごしください。

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