未来に備えるを考える(物流業界のここ数年の動きから)
未来に備えるを考える(物流業界のここ数年の動きから)
文責:中野康範
分野:一般
区分:無料版
作成:2026/7/25
改訂:
「その場にとどまるためには全力で走り続けなければならない」
◆ はじめに
物流業界については、2024年問題を契機にして、運転手不足などが主たる話題になっていたが、実際に記事を集めてゆくと様々な問題が内在していることがわかった。そのうち、法令が強化されることに焦点を当て、法令遵守について整理をしたものが下記の投稿である。
ISO9001に関連して、「利害関係者」との関係性をどの様にマネジメントするのかを整理した。
しかし、物流業界をもう少し眺めてみると、実に多様な問題があることがわかった。一旦まとめておこうと思いたち、この投稿になった。まとまりのない散文的なものである。思いついたものを羅列しただけであるが、経営という側面で配慮すべきことに収束するように心がけた
かなり長い投稿になるがお付き合いいただけると嬉しい。
◆ 物流業界の憂鬱
どの様な業界であっても、成熟して「真っ当な商慣習」が支配してゆく方向性を目指しているだろうが、なかなか難しい。2024年問題で「労働時間の規制」が問題化するのは、不利益を現場で働く人に押し付けていることで得ていた利益を失うことに業界が慌てたことにある。
そうした物流業界の問題を、記事などの引用を積み上げることで俯瞰してみよう。
《多重下請け構造》
いわゆる「多重下請け」がすべて悪だとは思わない。自社だけではマンパワーも技術の設備も足りないのであればビジネスパートナーは必須だからだ。とはいえ、下請構造は、
中抜きが発生する。発注者側は100で依頼しても、最終的に20のコストで作ることなりうる
責任の所在が曖昧になる。特に法令違反が発生した時に最初の発注者が責任を取る事態になることがある。
仕様が正確に伝わらない。製品・サービスが実現できないリスクが発生する。
という問題を内在している。そのため、現在は受注者が第三者委託をする場合には、責任の所在を明らかにし、3重以上の下請構造は慎重になっている業界が多い。
物流会社に関して言えば、この多重下請けも問題視されていることが伺い知れる。
{① 第1回「トラック運送業における多重下請構造検討会」を開催します。~トラック運送業の多重下請構造の是正に向けた実態把握を進めます~ 令和6年8月19日}(https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000307.html)
【記事引用】
トラック運送業の多重下請構造については、新たな標準的運賃における「下請け手数料」の設定、トラックGメンによる荷主・元請トラック事業者への是正指導の徹底、改正物流法に基づく契約内容の書面化や実運送体制管理簿による下請構造の可視化などにより、実運送事業者が適正な運賃を収受できるよう、取引環境の適正化を進めています。
改正物流法の意図が示されている記事になる。そして、「下請構造の可視化」が問題視される背景には、サプライチェーンの可視化も含まれるのだと思う。
② 物流危機どうなる “悪者”扱いされる水屋、政府の「多重下請け構造の是正」は現実的なのか? 2023.11.6
【記事引用】
運送会社には2種類ある。自社でトラックを保有し貨物輸送を行う運送会社と、自社ではトラックを保有せず他社のトラックを利用する、つまり運送案件の仲介を行い、手数料で稼ぐ運送会社である。「必要なのは、実際に輸送を行う企業の車両における車番です。これは発荷主、着荷主から事前連絡を求められることが一般的ですから。ただ、その車両が、私どもが輸送依頼を行った運送会社のものなのか、ましてや間にさらに運送会社が入っているかどうかを確認することはできません」
こうした多重下請けは、荷主側からは「どの程度のコストがかかるのか」が見えなくなり、運送する側から言えば「いつ、何を運ぶのかの計画が立てにくくなる」構造を生み出す。突然、荷主が顧客から「急ぎで悪いけれどこれを運んでね」という要求が出てきても、これを管理する手段がないのと同じであるからだ。それは、物流業界に謎の慣習も生み出す。
③ 異なるメーカーの製品は同じトラックで運べない…「下請け企業」が頭を抱える大手メーカーの“ナゾすぎる商慣習” 2025年06月23日
【記事引用】
しかし日本の中小企業には、独自の技術を自由に売り込みにくい事情がある。それは、大手のなかには、自社の下請けがライバル企業と仕事をすることを極端に嫌がる傾向がある、ということだ。とりわけ、裾野の広い自動車製造業界では、資本関係のない下請け企業を自社の関連会社や系列のように扱うところも少なくない。同じ方面だからと、1つのトラックに2つのメーカーの金型を載せることに難色を示す企業があるのだ。
《荷待ちの問題》
「荷物」を誰が運ぶかわからないという多重下請け構造は、間接的には計画性の欠如や最適性の視点の欠落が発生する。それ自体は様々な問題を引き起こす。そのひとつが「荷待ち問題」であろう。どのようなものかは下記を参考にしてほしい。
④ トラックはなぜ“無料で待たされる”のか? 「物流タダ働き」の限界が浮き彫りにした時間搾取、荷主の「待たせ得」を考える 2025.6.18
【記事引用】
国土交通省が2024年に実施した調査によれば、ドライバー1回あたりの勤務時間はおよそ12時間。このうち約3時間を荷待ち・荷役に費やしており、内訳は荷待ち1時間28分、荷役1時間34分とされている。すなわち、1回の輸送のうち4分の1近くが、トラックが止まった状態での作業や待機にあてられている計算になる。では、その時間は「誰の責任」で、誰がそのコストを負担しているのだろうか。
こうしたことに行政が無関心というわけではないのだろう。指導や注意を行うという記事も見る。
⑤ 荷待ち・積み下ろし強要横行、公取委が運送会社530社を指導 2025年12月23日
【記事引用】
公正取引委員会と中小企業庁は23日、運送事業者間の取引について集中調査を行い、荷待ちの強要といった下請法違反やその恐れで計530社に指導を行ったと発表した。2026年1月施行の改正下請法では荷物を発送する「発荷主」による運送委託も規制対象となる。公取委は国土交通省などと連携を強め、不当な商慣行の一掃を狙う。
⑥ (令和7年6月24日)令和6年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果及び優越的地位の濫用事案の処理状況について 令和7年6月24日
【記事引用】
優越タスクフォース等における荷主と物流事業者との取引に関する優越的地位の濫用事案の処理状況
1 処理概況
令和6年度においては、荷主と物流事業者との取引に関する優越的地位の濫用事案について、1件の法的措置(橋本総業株式会社に対する確約計画の認定)、1件の警告(株式会社イトーキに対する警告)、29件の注意を行った。
荷主の優越的地位を利用して負担を荷受(運送会社)側に押し付けることは、法律上の違反が発生し訴訟リスクにもなるし、生産性の欠損を生じさせ、不正を蔓延させることになりかねない。
《運送会社側の不正の温床》
「貧すれば鈍する」は自らの首を締めかねない。経営的に困窮するからといって、違法行為とわかっていながらそれを行うということは、真っ当な取引先からは敬遠され、結果として、さらに経営を困窮させる。
法令の強化は、そうした違法行為に対しても監視の目を向ける。そのひとつは「白トラ問題」であろうか。
⑦ 取り締まりが難しい「白トラ」なぜ発覚? きっかけは「高速料金踏み倒し」 豊洲市場では以前から問題に 2024年12月5日
豊洲での「白トラ」の発覚は偶然性が高いようだ。下記は、安易に「白トラ」に踏み出す要因を説明している。
「白色ナンバーのトラック(白トラ)は昭和の時代からずっと走っている。数が多すぎ、実態を把握できていない」。
「町を走るトラックが何を運搬しているのか、一見しただけでは分からない。現行の法制度では、第三者の情報提供がなければ取り締まりが難しい」と立件の限界を語った。
加えて、運送業界のドライバー不足が深刻化。「2次下請け、3次下請けと下っていくと、どの業者が荷物を運んでいるのか、依頼者ですら分からない」と指摘した。
荷待ちの不平等さや、人手不足等による経営難には同情できる面もあるが違法行為に手を染めて良い理由にはならない。早急に改善すべき事柄である。すでに、法律が強化されてきている。摘発されてからでは遅すぎる。
⑧ 「トラック新法」が成立! 下請け制限・白トラ禁止・事業許可更新制などトラック業界は大転換期に!? 2025年6月6日
【記事引用】
約35年前の規制緩和による自由競争から一転、新しい規律のもとトラック運送事業は「許可更新制」となり、質の低い事業者は業界から排除される。白トラの禁止や多重下請けの制限、ドライバーの処遇改善、適正運賃の収受なども盛り込まれ、運送業界は大きな転換期を迎えている。
《行政指導あるいは行政の介入》
法改正の方向性を見ると、荷主の直接の処罰化という動きが見られる。すでに指摘してきたことであるが、再度整理する。
取適法(旧下請法)の適用拡大
2026年1月より施行された「取適法(中小受託取引適正化法)」により、発荷主から運送事業者への委託が正式に直接規制の対象となった。これにより、一方的な運賃の据置きや口頭発注は、即座に公正取引委員会からの勧告や社名公表の対象になる。「特定荷主」への厳罰化
2026年4月に全面施行された「改正物流効率化法」により、年間9万トン以上の貨物を扱う大企業(特定荷主)には、役員クラスの物流統括管理者(CLO)の選任が義務付けられた。現場の優越的地位の濫用を放置すれば、経営陣の責任として最大100万円の罰金や行政処分が科されるため、大企業側がコンプライアンス遵守のために行動を改めざるを得なくなった。
少々過激な見出しも交じるが、その方向性は下記の記事でも確認できる。
⑨ 【緊急速報】7月、国交省がついにブチギレ!荷主の「待機強要&休憩偽装」を完全粉砕する一斉摘発・極秘タレコミ制度の全貌 2026年6月9日
【記事引用】
これに連動し、2027年春からは公正取引委員会により、無償での荷待ち待機や荷役作業を独占禁止法違反として規制する新制度が導入される方向で検討されています。さらに、2024年10月からは「労働時間の新ルールを守ること」に対する違反への処分基準が大幅に厳罰化され、未遵守件数に応じた一発加算のペナルティが課されるようになっています。
物流Gメンによる監視体制の強化も見逃せない一面であろう。
政府は「トラック・物流Gメン」による荷主への監視の目を強めている。公正取引委員会や国土交通省は全国規模での集中調査を常態化させており、2025年以降だけでも数百件規模の指導・勧告が行われている。これまでは運送会社側が「次の仕事を切られるのが怖い」と泣き寝入りしていましたが、政府が匿名での通報窓口を機能させ、抜き打ちで荷主にメスを入れる体制が整ったため、抑止力が極めて高くなっていると評価されている。
⑩ 参考:トラックGメンの活動実績 「働きかけ」等の累計実施件数(令和6年6月30日現在)
⑪ 荷主2社へ勧告 企業名の公表も 国交省 2025.02.17
【記事引用】
国土交通省は昨年11~12月に実施したトラック・物流Gメンによる「集中監視月間」の結果をまとめ、過去に要請を受けたにもかかわらず、改善がみられない荷主など2社に勧告を行ったと発表した。
違法行為への監視は続いている。
⑫ 無許可で「貨客混載」疑い、運送事業者を摘発 全国初 2025年7月8日
【記事引用】
貨物運送の許可しか受けていないのに人も運んだとして、警視庁交通捜査課は8日、運送会社「軽急便」(名古屋市)の営業所長ら12人を道路運送法違反などの疑いで逮捕・書類送検したと発表した。同課によると、貨物運送事業者による無許可の「貨客混載」を巡る摘発は全国で初めて。
こうした、監視の目が強化されていることを無視するべきではない。
◆ 新たな可能性
さて、話が少し横道に外れる。
かつて近未来を舞台にしたSFで、高速道路を自動運転のトラックが列をなして走る光景を見たことがある。なんとも壮観な眺めだった。現実世界でもいつか実現するかもしれない。
実際、限られた条件での実証実験は始まっている。
⑬ 国内初、自動運転トラックの建物内走行実証をT2と三菱地所が開始。自動運転トラックが高速直結の物流倉庫に乗り入れ想定 2025-08-29
【記事引用】
高速道路での自動運転に加えて、IC前の物流施設内での自動運転も実現へ。T2は、トラックドライバー不足の深刻化などの物流危機に対し、ドライバーを必要としない自動運転レベル4によるトラックでの幹線輸送を目指して技術開発を行っているスタートアップだ。2025年7月からは、自動運転レベル2(その中でもより高度でハンズオフ可能なシステム、いわゆる「レベル2+」や「レベル2.5」などと呼ばれるもの)を搭載したトラックを用いて商用運行を行っており、高速道路におけるレベル2での自動運転ノウハウはすでに実用できる水準にあるようだ。
そして、これを事業化する動きも見られる。
⑭ 自動運転のロボトラック、28年度に事業化へ 12億円調達 2025年7月14日
【記事引用】
大型トラックの自動運転システムを開発するロボトラック(東京・中央)は、2028年度にも製品提供を始める。物流用の大型トラックに後から搭載できる自動運転システムを販売する。事業資金として約12億円を調達した。
しかし、勘違いしないでほしい。既存の運送会社が不要になったり、市場を奪われるという話ではない。多くのシステムがそうであるように、維持管理には人間の手による監視と調整が必要であり、運用・オペレーションは人間がその任に当たる。どれだけ高度化したシステムであってもだ。したがって、自動運転が普及すればするほど、運送に関してのノウハウを持つ運送会社は「システム運用」のプロとしての立ち位置が確立される。
なので、今からその準備をするべきだ。「自動運転かぁ」と他人事でいれば、新たな市場から退場を余儀なくされる。
◆ 選ぶ側になる運送会社
運送会社が、現在の取引先(荷主)との関係性を続けることは悪ではない。しかし、荷主が、その優越的地位を利用して取引条件を抑圧していると感じたのならば考えを変えたほうが良い。何故ならば、上記でも述べたように、法令違反は勧告につながり、罰則が課されることになる。それは企業としての存続を危うくする。取引先が突然なくなるというリスクにつながる。だからといって、直ちに今の取引先を見直せと言っているのではない。一つの軸に依存することの不安定さを認識してほしいということだ。
まずは、荷主を評価する事を勧める。それは、単純に利益率が安定し自社に有利な状況であるかも含む。利益率(パフォーマンスの程度)の監視で可能であろう。
さらに、自社の利益とドライバーの労務(コンプライアンス)を守るため、以下のような荷主との付き合いはリスクがあると考えるべきであろう。
運賃の値上げ(価格転嫁)に応じない荷主
長時間の「荷待ち」を放置する荷主
無償の「付帯作業」を強制する荷主
では、容易に取引先を変えることが難しいと言うならばどんな選択肢があるだろう。私が最近耳にしたのはDSPである。
⑮ 物流最前線/「商品じゃなく、夢を運ぶ」の企業ポリシーがAmazonDSP参画で一挙に実現 2025年07月16日
【記事引用】
ドライバーの待遇改善も悩みだった。「下請けの下請けみたいな仕事だと、どうしてもドライバーの手取りは減ってしまいます。同じ場所から同じ商品を運んでいるのに、報酬に差があるのは、やっぱり変。頑張ったら頑張った分だけ、きちんとドライバーに支払いたかったんです」。そんな時、社員のほうから「AmazonがDSPを募集している。うちにも門戸は開かれているのでは」と知らされ、迷わず応募に踏み切った。
DSPとは、デリバリー・サービス・パートナー(Delivery Service Partner)の略で、Amazonが展開する配送プログラム、またはその委託先となる地域密着型の配送会社のこと。個人事業主が直接Amazonと契約する「Amazon Flex(アマゾンフレフレックス)」などとは異なり、主に中小企業や起業家が法人として参入し、独自の配送チームや組織を作ってAmazonの荷物を配達する仕組みを指す。(Google検索より)
詳細は、Amazonのサイトなどを見ればわかるのでここでは詳説しない。
注目すべきは下記であろう。
選択肢が増える
DSPという「確実な乗り換え先」がある。AmazonのDSPに参画すれば、荷主との泥沼の価格交渉や理不尽な現場対応に悩まされることなく、[「荷待ちゼロ」「安定した物量」「ダイレクトな適正報酬」]が手に入る。既存の運送会社にとって強力な「バックアッププラン」となる。偏在する優越性を解消できる
物流の需要に対してトラックの供給(ドライバー数)が足りていな。この解消のためにはドライバーを適切に扱うことが求められる。コンプライアンスを遵守し、高い運賃を払ってでも「運んでほしい」と考える大手企業やクリーンな荷主はいる。悪質荷主に固執しないことを指針とすること、運送会社を必要としている荷主(まともな荷主)は他にいくらでもあることを明示できる。
もちろん課題もある。しかし荷受側が選択される側から選択する側に転換できるターニングポイントになっているのではないだろうか。
◆ ドライバーの反乱
上記まで、荷主と運送会社という構図に着目してきた。しかし、そこにはドライバーという存在がある。彼らは「生活する人」である。彼らを人として扱わなければ、彼らから見捨てられるということを忘れてはならない。
安く使える都合の良い資源だという認識は通用しないということも理解すべきであろう。
⑯ 残業代減ったドライバー、転職で人材流出 続く「2024年問題」 物流維持へ切り札は? 2025/12/1
【記事引用】
トラック運転手の残業規制が昨年4月から導入された結果、残業時間が減って年収が減少し、転職を考える運転手も少なくないことが、人材関連事業などを手掛けるレバレジーズ(東京)の調査で分かった。
家族がいれば彼らを養わなければならない。また、主たる稼ぎ頭ならば、健康でい続けることも必須である。にも関わらず、驚くような法令違反がある。
⑰ 関東運輸局、最長230日車など4社に行政処分 2025年6月27日
驚くような事例である。下記に引用する。
■NASENTERPRISE・野田営業所(千葉県野田市)
・処分内容:車両停止(80日車)
・監査の端緒:救護措置義務違反
・違反行為(7件):疾病のおそれのある業務▽点呼の実施義務違反等▽業務記録の記載事項違反▽運行記録計による記録義務違反▽運転者に対する指導監督違反等▽初任運転者に対する指導監督違反▽初任運転者に対する適性診断受診義務違反
■上高運輸・川越営業所(埼玉県川越市)
・処分内容:車両停止(60日車)
・監査の端緒:死亡事故
・違反行為(8件):乗務時間等告示の遵守違反▽乗務時間等告示なお書きの遵守違反▽点呼の実施義務違反等▽運転者に対する指導監督違反等▽高齢運転者に対する指導監督違反▽高齢運転者に対する適性診断受診義務違反▽定期点検整備の実施違反▽事業計画事前届出違反
荷主側も法令を軽んじ、運送会社側も社員の安全を軽んじるのであれば、いずれ「働く人々」から見捨てられるだろう。
⑱ 怒りの声&同情の声多数! 1キロのトラック列に住民が激怒!? 一斉摘発でドライバー悲鳴…「路上荷待ち問題」 誰も得しない現状、課題は山積みか 2025.07.08
【記事引用】
「待機場所を確保しない荷主も同罪。即降ろしが出来ないなら、待機スペースを確保すべし」
「1番の問題は荷受けを受け付けてくれない荷主だろ。いくらドライバーを取り締まったところで待機する場所がないのだから根本的な解決にはならない。まずは荷主を罰するべき」
「荷主と荷受けにも責任取らせないと意味ないよ、運ちゃんは仕事してるだけだし。罰金刑くらい適用しなよ」
ドライバーを「都合よく使えて、安くて言うことを聞く」程度の認識でしか無い荷主も荷受業者も未来があるとは思えない。いずれドライバーは、彼らを見捨てるだろう。
◆ それぞれの最適解
私の好きな言葉に「その場にとどまるためには全力で走り続けなければならない」というものがある。いわゆる「赤の女王仮説」である。
捕食者(たとえば鳥)と被食者(例えば湖に生息する小魚)は、食われる方は「上空から発見されない」ように、姿形や色を変えてゆく被食者に対し、捕食者は、これを見つけるための「眼」の強化で対応し、またこれに対し被食者が進化をするといった例を指し示すことがある。いわゆる共進化だ。
もっとも搾取する側の荷主と搾取される側の運送業者という構図はあまりにも単純化し過ぎであろう。物流業界の問題を上記で取り上げてきたが、「このままではマズイ」という問題意識が共有されれば、そもそもの捕食者・被食者という関係性の解除に天秤は動くはずである。
それは、一旦は訴訟という紛争に発展するとしても、制度の改定には一定の役に立つと信じたい。
⑲ サカイ“未払”賃金訴訟で見えた、運送業歩合制の限界 2025年7月16日
【記事引用】
、運送業界で広く用いられてきた「出来高払制」(歩合給)の給与体系が、今大きな転換点を迎えているという。発端となったのは、サカイ引越センターに勤務していた元作業員兼ドライバー3人が提起した“未払い”賃金を巡る訴訟。訴訟では、残業代の支払い方法が争点となった。出来高払制に該当しないにもかかわらず、同制度を適用して残業代を低く算出した結果、“未払い”が生じたと原告側が主張。一審・二審ともに原告の主張が認められ、現在は最高裁で係争中となっている。
本当の意味でのWin-Winを目指さなければならないだろう。働き方を改善しなければ、ドライバーの離脱が発生し運送会社も苦境に陥る。これを解消するために「真っ当」な会社以外とは仕事をしないという選別が起きれば荷主は運送会社から見放される。荷主がすべて倒産するなどという乱暴な話はしない。しかし、いずれ市場からの退場を余儀なくされる。
個々の最適解を無視しろとは言わないが全体最適を視野に入れられないプレイヤーは退場を余儀なくされるだろう。
以上
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