328:ウンチ情報社会ism
・先日、神保町で本(ZINE)の即売会イベントに出ていた。
・自分が東京で出る最後のイベントだったため、もう言いたいこと言いまくる本を作って新刊として頒布した。
・完売してウケた。本当に嬉しすぎて感謝感激雨あられなのだが、こんなのが好評な世の中で良いのか。
・まぁそれはそれとして、来場いただいた方との会話も基本楽しくさせていただいたのだが、ひとつだけ少しひっかかりを覚えたことがあった。
・「なぜこういうものをWeb上ではなく本として出すのか?別にWeb上で出しても良いじゃないか。」
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・なお先に触れておきますが、そのイベントで自分を知ってくださった方かつこのnoteを読んでくださっている方に上記の会話が該当する方はいません。
・その方は話すだけ話して何も持たず帰られましたので。おそらく自分を認知していません。
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・まずnote書いとるし通販もしとるしなんなら一部の本は電子書籍もあるわと思ったが、それには少し触れつつも、本にしている理由みたいなのはその場で思いついたことを話した。
・本という形にすることでストーリー性を帯びさせることができる。そもそも「本というもの」を作ることが楽しい。
・そういったことを話した気がするが、その方は腑に落ちなかったようで、あまり納得されない面持ちでその場を後にされた。
・難しいなぁ、と思った。
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・別にこういう即売会系イベントに何度も出てて、自分のように少しセンシティブな題材を扱っていると、心無い言葉というのは当たり前に浴びせられる。
・慣れっこというか、まぁどうでも良いので気にならない。
・自分もある種銃のようなものを売っているのだ。であれば、撃たれても仕方あるまい。
・そんな中今回の会話でひっかかりを覚えたのは、自分の出しているものがパッと見、情報商材チックに見られたことへの憤りが発生したから。
・そして、その矛先はその方に対して向かっているわけではない。「こういう内容、Webで良いじゃん」と思われるのも普通となっている現代の情報社会具合に苛立ちを感じたのである。
・確かに文字だけ書いていれば何かを届けれる時代である。有料にしたければ、例えば有料noteにしてしまえば良い。
・noteもそうやって、情報商材にすることで金儲けの道具にすることができる。
・ただ自分は本に対して、「作品」を作っている気持ちで臨んでいる。
・別に金が稼ぎたいわけじゃない。今回の新刊だって、一冊売れるだけの黒字など雀の涙ほどしかない。イベント出店費も入れれば赤字かもしれないし、自分の稼働を考えれば完全に赤字だ。
・創作するためにも活動資金は必要なので、値付けはする。
・ただそれ以上に、作りたいからこの形で作っている。
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・「作品」にとっての形(本)というのは伝えたい内容・思想・世界観に接続させるための一媒介に過ぎない。
・一媒介に過ぎないものの、例えば「本を作る」というのは非常に奥深い。一度でも作ったことがある人であれば想像に難くないと思う。
・今回の新刊を例にとって綴っていくが、まず伝えたい内容を無理やり一言にするなら「カオスとなっている現代社会でアンチという態度を取り続ける選択を自分は取る」ということ。
・それを順を追って文章として書き表しているのだが、上述の世界観を創り上げる補強材料として、体裁としてはおどろおどろしさのようなものを醸し出させたかった。
・目次などのフォントはFate/ZEROの文庫本で使われていた「筑紫明朝」。雰囲気としてはこのフォントを全て使いたかったが、中身は可読性を担保したいので本文フォントは新世紀エヴァンゲリオンで多用されていた「マティス明朝」(ウェイトは違うが)を使用した。


・タイトルロゴは、おどろおどろしさを同居させつつ社会=歯車の集合体というメタファーを表したく、このようなロゴを作った。
・表紙の写真は自分が最も社会に対し反抗していた金髪時代に、親愛なるフォトグラファーの友人に撮影してもらったものを使っている。ただ、そのまま使うと最近の新書にありがちな「生っぽさ」が出てしまい、ともすれば写真集の表紙みたいになるリスクがあったので、許可をもらった上でカラーハーフトーンをかける等の加工を施し、「人間」としての情報量を減らした。
・目のところに被さっている英語は、単なる直訳の英題ではなく、読んだ人にしかわからない副題である。

・表紙の用紙は色が綺麗に乗りつつもちょっとしたザラつきを感じて貰いたかったのでヴァンヌーボ。
・本文の用紙は文庫本的に読んでもらいたかったので書籍用紙(淡クリームキンマリ)。(まぁ用紙はわりと王道な考え方に則っている。)
・本文の1ページに対する字数や級数、余白の取り方など、あげればキリがないが一旦ここまでにしておく。
・要は、本にするということはただ単に文字をリアルに落とすというわけではないのだ。
・一冊作るだけでもかなり沢山のことを考えなくてはならない。
・一冊でも本を作ったことがある人間なら──いや、本に限らず何かを創ったことのある人間なら、このような今回自分がひっかかりを覚えたような質問は、そもそも出てこないはずだ。
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・今自分は、自分の作った作品を自分で解説するというとてもダサいことをしている。
・わかっているがそれでも、パッと見だけして中身もろくに読まない人間から、自分の情熱を注いだ作品たちがよくわからない情報商材と同じ土俵に立たされたこと──立ってしまっても仕方の無い時代となっていることに、憤りを感じたのだ。
・基本的に来場者さんとのやり取りは好きだ。
・自分の本を手に取りながら、初対面の自分に身の上話をして下さったりする方も多く、そこで生まれる輪のようなものに楽しさを感じる。
・それが少し汚されたような。その輪にノイズが発生する予感を覚えた。
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・ウンチみてぇな時代だなぁ、と思った。
