【顔を上げるべき理由】下を向いていたら”気づけない景色”
これはオレが、まだ「好青年」なんて呼ばれていた頃の話だ。
その日の朝は、どしゃ降りだった。
ザーザーと、遠慮なく空が泣いていた。
まるで「今日は憂鬱でいこうぜ」と天気に言われてるような、
そんな朝。
眠たい目をこすって、布団から渋々這い出し、
重い体を引きずりながら浴室へ。
朝シャンしながら、自然と出るため息。
鏡に映ったのは、なかなかの“しけたツラ”。
当時の仕事、うまくいってなかった。
正直、行きたくなかった。会社に。
でも、人はなぜか支度をする。
髪を乾かし、ネクタイを締め、靴を履き、
いつも通りの朝をなぞる。
そして家を出ると、ほんの少し空が明るくなっていた。
雨は、まだ降っていたけど。
駅までの道を、傘をさして歩く。
スマホはポケットの中。傘のおかげで手が塞がっていた。
結果、視界が開けた。
そのとき――
突然、雨がピタッと止んだ。
それと同時に、空が開け、太陽が顔を出した。
「お、天気回復?」と思って、ふと上を向くと、
そこに、いたんだよ。
虹が。
すさまじく、7色。
グラデーション職人もびっくりの、完璧なアーチ。
空に架かる希望の橋。
コンクリートに囲まれて生きてきたオレには、衝撃的な光景だった。
感動して、数えたよ。7色あるのかどうか。
「赤、橙、黄、緑……あれ? 何番目だ?」
童心に帰って、空を見上げてた。
でも、ふと気になって周りを見たら――
みんな、下を向いてた。
スマホに夢中な人。疲れた顔で地面を見つめる人。
誰も、虹なんて見てなかった。
誰も、上を見てなかった。だから
誰も気づいていなかった。
オレは思った。
もし自分もいつものように下を向いていたら、
この虹には出会えなかった、と。
下を向いていたら、見逃すものがある。
チャンスも見のがしちゃうかもな。
顔を上げていないと、出会えない景色がある。
人がいる。
これはオレの、若き日の、何でもないけど忘れられない朝の話。
虹に教えてもらった、大事な学びだ。
今日のまとめ
雨の日に気分がしけるのは当然。
でも、顔を上げれば、意外と“奇跡”が落ちてるかもしれない。
虹も、チャンスも、気づけるかどうかは自分次第。
スマホより空の方が、たまには面白い。
