内向型の私は、友達が少ないことを、ずっと恥ずかしいことだと思っていた。
久しぶりに会えて楽しかった。
なのに帰り道、どっと疲れている。
そういう経験がある。
人数が多かったわけでもない。嫌いな人がいたわけでもない。ただ、何時間か場の空気を読んで、笑って、相づちを打って、話題を切らさないようにして——それだけで、翌日の午前中が潰れる。
「もっと社交的になれたら楽なのに」と何度思っただろう。
「人付き合いが得意な人って、どこにそのエネルギーが眠っているんだろう」とも。
実際、外向型の人から「度量が足りないだけ」と言われたこともあって、「自分は経験や努力が足りないんだ」と比較して落ち込んでいた事実もある。
でも最近、少し考え方が変わった。
得意じゃないんじゃなくて、回路が違う。
そう思えるようになったら、妙に楽になった。
この記事は、そういう話をしたいと思って書いている。
「広く浅く」という付き合い方で消耗する、構造的な理由
内向型の人は、人との関わりでエネルギーを消費する。外向型の人は逆で、人との関わりで充電される。
これはよく言われることだけれど、実感として腑に落ちるまでに時間がかかった。
「疲れやすいのは体力がないから」「人見知りだから慣れていないだけ」——そういう説明の方が長い間しっくりきていた。
でも刺激に対する感受性が、そもそも違う。内向型の脳は、外からの情報を深く処理しようとする。それ自体は強みだけれど、その分、消耗も早い。
10人と浅く話す場と、1人と深く2時間話す場。かかるエネルギーは、前者の方がずっと大きい。
相手の表情を読んで、場の空気を読んで、話題の流れを追って、自分がどう見えているかを気にして。それを10通り同時進行でやっているのだから、疲れて当然だった。
「頑張って広く浅くやっていた時期」が、私にもある。飲み会に全部参加して、勉強会にも顔を出して、SNSでも積極的に絡みにいって。半年ほど続けて、気づいたら誰とも本音で話せなくなっていた。全員に気を遣いすぎて、どこにも自分の居場所がなかった。
広げようとすればするほど、薄くなっていった。
「狭く深く」を選ぶことのリアルなメリット
じゃあ、「狭く深く」付き合うことは何がいいのか。
シンプルに言うと、消耗が少ない。そして、得られるものが大きい。
深い関係というのは、前提を省略できる。「こういう人間です」という説明をしなくていい。相手が自分の文脈を知っているから、短い言葉でも通じる。それだけで、会話のコストがまるで違う。
もう一つ。本当に困ったとき、機能するのは深い関係だけだった。
広い人間関係の中に知り合いが100人いても、仕事が詰んだときに連絡できる人が1人もいない、という状況を経験したことがある。逆に、数人しか友人がいなかった時期でも、そのうちの1人に話を聞いてもらえると、それだけで乗り越えられた。
人間関係の"豊かさ"って、人数で測れない。
【自己チェック】あなたの関係は"深い"ですか?
以下に当てはまるものが多ければ、すでに「狭く深く」を実践しているかもしれません。
悩みを話せる相手が1〜3人いる
連絡がしばらく空いても、再会したときに違和感がない
相手の前で「いい顔」をしなくていい
沈黙が苦にならない
相手の弱いところを知っていて、それでも好きだと思える
人脈は広い方がいい?狭いほうがいい?
「狭く深くで生きていくと、チャンスを逃すよ」と言われることがある。
それは本当でしょうか。
実際に思い返してみると、仕事のチャンスは、数百人いる知り合いの誰かから来たことより、深くつながっている数人から来たことの方が圧倒的に多かった。「この人になら頼みたい」という信頼は、接触頻度より、関係の質から生まれる。
広い人脈が機能するのは、相手が自分を「信頼できる人間だ」と思っている場合だけだ。薄くつながっているだけの関係では、そこまで育たない。
「友達が少ないと将来リスクがある」という話もよく聞く。でも、薄い繋がりは、いざというときに機能しにくい。10人のうっすらした知人より、1人の深い友人の方が、危機のときには頼りになる。
もちろん一概には言えないが、少なくとも内向型で苦しんできた私にとっては、「狭く深く」の形がしっくりきていた。
孤独は問題だけれど、「量」で解決するものではないと私は考えている。
「狭く深く」の関係を、実際にどう育てるか
考え方が変わっても、実際にどうするかが分からないと動けない。
▶ まず、関係を棚卸しする
今の人間関係を、頭の中で一度並べてほしい。
そのうち、「この人と話すと、帰り道に少し元気になっている」と感じる相手は何人いますか?
逆に、会うたびに消耗している相手は?
(多かれ少なかれ内向型は好きな人とであっても消耗することはある。そのため、ここでは相対的に比較してほしい。)
エネルギーが双方向に流れている関係に、時間と気力を使う。それだけで、日常がずいぶん変わる。
▶ 深い関係を育てる小さな習慣3つ
① 返信より、先に連絡する
深い関係は、どちらかが始めないと止まる。「元気?」だけでも送ってみる。
② 弱いところを少しずつ見せる
「実はしんどかった」「あれ、うまくいかなかった」——そういう話ができる関係は、意図的に作っていくしかない。相手が先に見せてくれることを待つより、自分から少し開いてみる。
③ 頻度より、質にこだわる
月1回も会えなくていい。会ったとき、どれだけ本音で話せたか、の方が大事だった。
▶ 義理でつなぎとめようとした関係の末路
以前、明らかに相性が合わない人と、なんとなく関係を続けていた時期がある。
会うたびに会話がうまくかみ合わなくて、でも「縁を切る」ほどでもないと思って、なんとなく誘われたら行って——を繰り返していた。結果、どちらからも連絡が来なくなって、自然消滅した。
そこに使ったエネルギーを、深い関係に使えばよかったと今は思っている。無理につないでおく必要は、なかった。
少ない繋がりを、深く愛せる人間でいい
「広く浅く」関係を構築するのが得意な人を見るたびに、羨ましいと思っていた時期がある。
でも最近は、そうでもない。
自分に合った関係の形がある。人の数より、その人との時間の密度で満たされる人間がいる。
少ない繋がりで生きていると、「ちゃんと人間関係できているのかな」と不安になることがある。でも、本当に困ったとき、真夜中に連絡できる人が1人でもいるなら、それは十分だと思っている。
今いる、数少ない大切な人たちを、深く大事にする方を選ぶ。それが私にとっての一番なのだ。
このnoteでは、内向型・繊細な気質を持つ人が消耗しすぎずに生き延びるための情報を、当事者目線で発信しています。 社労士(有資格者)・キャリアコンサルタントとしての知見も交えながら書いています。
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