「みんなしんどい」ってなんだよ。──内向型の私が「しんどさの平等論」にモヤモヤする理由。
「最近しんどくて」
そう言ったとき、返ってきた言葉が
「でも、みんなしんどいよね」
だった。
あるいは、こういう言葉だったかもしれない。
「もっと大変な人もいるよ」
「みんな大変なんだよ」
悪気はない。
励まそうとしてくれていたんだと思う。
でもその瞬間、私は自分の疲れをそっと引っ込めた。
「そっか。じゃあ私も黙って頑張らないと」と。
内向型の人間は、この「引っ込める」がとても上手い。
「みんなしんどい」は、間違っていない
たしかに「みんなしんどい」ということは事実だと思う。
慢性的な疲弊感、将来への不安、情報過多による認知負荷は、特定の誰かだけが抱えているわけではなく、広く社会全体に広がっている。
だから「みんなしんどい」という観察そのものは、おそらく正しい。
問題は、その一言で会話が終わるときに起きる。
「みんなしんどい」のあとに、何が起きるか
「みんなしんどい」が出てくると、話の流れがある方向に向かいやすい。
「もっと大変な人がいる」という比較が始まる
「それくらいで弱音を吐くな」という空気が生まれる
「じゃあ私も我慢するしかない」と自己申告のハードルが上がる
本人は励ますつもりで言っている。
でも受け取る側には、「あなたの苦しさは特別ではない」というメッセージとして届いてしまうことがある。
「しんどさの平等論」、つまり「みんな同じくらい大変なんだから」という前提が会話の底に敷かれると、個々の負荷の差異が見えにくくなる。
そして一番割を食うのが、もともと自分のしんどさを言葉にするのが苦手な人たちだ。
内向型は、まさにそこに入りやすいと思う。
内向型は、「まだ頑張れる」をやりがちという話
内向型の多くは、限界を外に出す前に、自分の内側で処理しようとする。
人に迷惑をかけたくない。
大げさに見られたくない。
そもそも「しんどい」と言葉にすること自体、エネルギーを使う。
だから黙って抱える。
そして「みんなしんどいんだから」という言葉が、その黙り込みをさらに強化する。
心理学にセルフサイレンシングという概念がある。自分の感情や意見を、対立を避けるために抑制してしまう傾向のことで、関係性の維持を優先しやすい人に見られやすい。
内向型は、外部の刺激よりも自分の内側の処理を優先する分、「言わずに済ませる」という選択をとりやすいのではないだろうか。
しんどいと感じても、それを外に出すコストのほうが高くつくと、無意識に判断してしまう。
その結果、限界が来てから初めて気づく、ということを繰り返す。
同じ出来事でも、負荷は人によって違う
ストレス研究の世界では、ストレスは「出来事そのもの」ではなく「その出来事をどう評価するか」によって決まるとされている。
内向型は、外からの刺激を処理する際の情報量が多い。
同じ会議に出ていても、場の空気、相手の表情、発言の裏側にある意図。
そういったものを自然と拾いながら処理しているため、外向型の人と比べて単純に消費するリソースが違うように感じている。
出来事の数が同じでも、処理にかかるコストが違えば、疲弊の度合いも変わってくる。
意志の強さや精神的な弱さとは関係がない。
さらに個人差も大きい部分である。
比べるより、「自分の取扱説明書」を知る
「誰が一番つらいか」を競っても、何も解決しない。それよりずっと役に立つのは、「自分は何に消耗するのか」を把握することだと思っている。
内向型特有の消耗パターンとして、こんなものがある。
雑談が長くなるほど、内容に関わらず疲れが出る
LINEの返信が溜まると、それだけでプレッシャーになる
会議や打ち合わせのあと、一人でいる時間がないと気持ちが落ち着かない
休日の予定が連続すると、休んだ気がしない
初対面の人が多い場所のあとは、翌日まで引きずる
3日間だけ、やってみてほしいこと
夜に1分だけ、こんなメモを残してみてほしい。
今日の消耗度(10点満点で)
一番疲れたこと
その前後に何があったか
回復できたこと
3日続けるだけでも、「私は何に削られるのか」がうっすら見えてくる。「なんとなく疲れた」が「〇〇があると疲れる」に変わる。それだけで、少し楽になることもあるかもしれない。
しんどさを比べるのではなく、観察する。そのモードの切り替えが、たぶん大事なんだと思う。
「みんなしんどい」のあとに、自分へ言いたいこと
「みんなしんどい」は、おそらく本当だ。
他の人たちも、それぞれの場所で、それぞれのやり方でしんどさを抱えている。それを否定したいわけではない。
でも、他人のしんどさを認めることと、自分のしんどさを軽く扱うことは、別の話だ。
「みんなもしんどいんだから」という言葉を真面目に受け取って、自分を黙らせるのをやめていい。比べる相手は他の誰かではなく、昨日の自分の残りHPで十分だ。
自分の疲れ方を知っている人のほうが、しんどさを軽減できると思う。
このnoteでは、内向型・繊細な気質を持つ人が消耗しすぎずに生き延びるための情報を、当事者目線で発信しています。 社労士(有資格者)・キャリアコンサルタントとしての知見も交えながら書いています。
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