【解説】「Worldcoin」始動 OpenAIの創業者が始めた[真の理由]は?
OpenAIのCEO、サム・アルトマン氏が創業したTools for Humanity社が、7月24日に「Worldcoin」を始動させたと発表しました。日本でも登録が開始されましたね。
もともと、この「Worldcoin」は、2021年に発表した構想ですが、ついにその第一歩を踏み出したわけです。
「Worldcoin」については知っておいた方がいいので、まず、これが何かを説明します。
デジタルIDを全人類に発行
Worldcoinは「地球上のすべての人間に提供する新しいグローバルデジタル通貨」を目指すとされ、2021年に構想がスタートしましたが、これだけだと何のことだかわかりませんね。
簡単に説明しますと、僕たちが本人かどうかをネット上(リアルもですが)で証明するためのデジタルのID(「World ID」と呼ばれます)を全人類に発行する、というものです。
網膜情報で「World ID」発行
その発行のためには、僕たちの目の網膜情報がその人固有のモノであることを利用します。
まず、片手で持てるサイズの本人確認用の球形虹彩スキャンシステム「Orb」によって虹彩データをスキャンして、IDを生成します。
そのIDを暗号化して、Web3でおなじみの暗号通貨の形で、本人が、IDを持つという仕組みです。

「AIとヒトを区別する」理由は?
では何の目的で、OpenAIのCEOはそんなIDを発行するのか?
2021年に、この「Worldcoin」構想が発表された時には、その目的を、「個人を特定するためのIDを個々人が持つことで、ネットを使っている人の本人確認ができる上に、AIとヒトの区別をすることができるため」と説明されていました。
この「AIとヒトを区別する」のはどういった理由でしょうか?
それは、将来SNSなどで、チャットしてる時に、相手がAIであるチャットBOTなのか、リアルな人間なのか、を判断するため、と説明されています。
たしかに、Chat-GPTは、人のように話をします。もとと進歩したら、もう画面の向こうでチャットしている相手がヒトかAIかはわからなくなりますよね。僕も、そうなるが、それでも問題ないのでは?と記事に書いたことがあります。
「Worldcoin」構想の真の目的は
でも、アルトマン氏は、「ヒトかAIか、区別せねばならない」として、この「Worldcoin」構想を実現したのです。
それはどういう理由があってのことでしょうか?
既述のように、2021年の「Worldcoin」構想では、目的として、AIが生成したフェイクとニュースと本当のニュースを見極めたり…などといった、AIのより正しい利用のため、としています。
でも、この技術が発表されてから、AIの開発者や知見者から言われてきたのは、「Worldcoin」構想の真の目的、利用価値、それは、「ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)の実現にあるのでは?」ということです。

ユニバーサル・ベーシック・インカムとは
ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)とは、簡単に言うと、全ての個人を対象に、キャッシュを無条件に一定額、支給する制度です。実験が行われている国もあります。
なぜ、OpenAIのCEOが、「AIの正しい利用が目的」と言っているのに、AIの開発者や知見者は、UBI導入のため、と思ったのでしょうか?
それは、AI、特に、汎用性AIと呼ばれる強いAI,すなわちAGIが登場すれば、間違いなく、究極の二極化社会が到来し、労働につけない人が80%を占めるような社会が到来する可能性が高いためでしょう。
そうなると、働けない人も生きていけるよう、最低限の社会保障をする必要が出てくる、と考えているからです。僕もそう考えている一人です。
こうした場合、お金は電子的に配布されるでしょう。その時に必要となるのが、この「Worldcoin」構想の個人が特定できるIDなのです。これを全世界の人が持つことができれば、容易にベーシックインカム制度が導入できることになります。

本当に二極化社会が到来したら?
今回は、「OpenAIのCEOがそこまで考えているのではないか?」ということが議論されている、という話でした。
ところで、究極の二極化社会が到来して、働くことができなくなった人はどうなるのでしょう? 本当にAGIが普及したとき、それはどんな社会になるのでしょう?
興味は尽きませんが、僕はこの点について、よく考えることがありますので、また書いてみたいと思います。ヒントは古代ギリシャの都市国家ポリス、という感じでしょうか。
