見出し画像

『恐ろしくムダなサバイバル術』/中年にもほどがある

先日、怒濤のような勢いで初めての交際から結婚まで至った男サブちゃん35歳の話を書きましたが、今日は少しだけ彼の人と成りを紹介したいと思います。

彼の唯一の趣味は、「読書をしてウンチクを語ること」
それも驚くほどためにならない話を語します。

まだ彼女がいなかった頃にサブちゃんは、
「最近ボク、これ読んで勉強してるんですよ」
と本を渡してきました。

その本のタイトルは、「ヤクザは女をどう口説くか」。
つうか、おまえ、ヤクザじゃねーし。

僕はサブちゃんに話し方教室から勧めていたのに、この本といったら「俺は女に不自由したことがない」といったくだりから始まります。

サブちゃん、素人童貞じゃないか。
そんな人は次元が違うから。
女に不自由しっ放しのサブちゃんが読む本じゃないから。

まるで小学生が真剣に消える魔球を練習してるかのようだ。

「はじめての野球入門」ぐらいから入ろうよ。
ストライク3つでアウトとか最低限のルールを覚えようよ。

サブちゃんが言うには、ヤクザは刑務所でヤレない期間があるから社場に出た時に女を大事にするそうです。

しかし、よく考えるとサブちゃんとヤクザに共通点が。

ずっと女性とヤレなかったサブちゃんなんて実刑を喰らっていたようなものだ。
何の法も犯してないけど。

平均20歳で童貞卒業と考えると懲役15年も喰らっていたことになります。
人一人は殺しているよ?

童貞刑務所では御大だよ。
童貞刑務所の看守にもタメ口レベルですよ。

でも素人童貞

しかし、その半年後ぐらいにサブチャンは彼女が出来たから凄い。
お勤めご苦労様でした!

またある時は、インドア派なのにサバイバルのウンチクを語り出しました。

「ボク、以前ですね、サバイバル本を読んだんですよ。その中にサメの撃退法ってのが書いてありましてね、そもそもサメって人を襲わないらしいんですよ」
「えー、普通にサーファーとかサメにかじられてるよ?」
「いえいえ、人間を襲うサメってのは、以前人に飼われてたり、過去に人に攻撃されたりして人に恨みを持ってるサメなんです」

どこに熱帯魚感覚でサメなんか飼う奴がいるんだよ。
人に恨みを持ってるサメってどんな確執があったんだよ。

「だって書いてありましたもん。サメは人を襲わないって」

「ただ横になりたいだけだから」ってホテルに誘う男ぐらい言葉に信憑性がないじゃないか。

その本には「万が一」サメに襲われた場合の対処法も書いてあったそうで、サブちゃんは、自慢気にそれを語りました。

「サメに襲われたらですね、どうすればいいと思います?」
「さあ」
「パンチすればいいんですよ」
「ちょっと待って。サメが口開けて迫ってくるのにパンチする余裕なんかないだろ」
「いえ、サメは殴られたことがないからびっくりするんです」

アムロ・レイか。
「殴ったね。お父さんにもぶたれたことないのに」
じゃないよ。

「まあいいや。で、どこをパンチするの?」と聞くと、
「こめかみをパンチするんです」
「サメのこめかみってどこだよ」

「ここですよ」と自分のモミアゲの上を指すサブちゃん。
「サメにこめかみなんかないだろ!」
「だって書いてありましたもん」
「開き直りかっ。じゃあ、他には?クマに襲われた場合とか書いてあった?」
「ありました」
また誇らし気だ。

「クマと遭った時は走って逃げろと書いてありました」
「クマには立ち向かわないのか!」

すると、この話を聞いていた先輩社員が言った。
「クマって時速50キロぐらいで走るんだよ」
サブちゃん、「……」
きっと君が一番先に襲われるタイプだよ。

その本には遭難した時のことも書いてあったそうで、「砂漠で遭難した時は無理に歩いちゃいけないんです。助けが来るまでじっとしててください」と書いていたそうだ。

砂漠に行く機会もないんですけど。
「じゃあ、砂漠で遭難した時にサソリに遭ったらどうすんの?」
「その時は逃げてください」

さっきじっとしてろと言ったじゃん!

「基本的にですね、危険な動物に遭った時は逃げろと本に書いてありました」

じゃあこれまでの話はなんだったんだよーーー!

▼次回のエッセイ  悲しい物語

▼前回のエッセイ  遅すぎたが早すぎる話

暇なら水曜、日曜に投稿気味。
#創作大賞2025  #エッセイ部門
Himajin, all the people living for today.

いいなと思ったら応援しよう!