『幽体離脱を学んだ男』/中年にもほどがある
出版関係のセミナーで出会った浅井さん(仮)は、企業がうまくリストラを進められるように人事を指導するコンサルをしています。
悪なのか正義なのか分からない職業ですが、中身は天然な人のいいおじさんです。
さらに企業の役職者向けの本を10冊ほど出版していて仕事は堅い。
そんな浅井さんと共同出版のネタ作りで飲むことになりました。
そこで浅井さん、「俺、幽体離脱を学んだんだよね」と話し出した。
「なんすか!幽体離脱学ぶって。学ぶものですか?」と聞くと、
幽体離脱を学ぶセミナーというものがあるらしい。
一体どこで募集をかけているのか知らないけど、十人以上は生徒がいたそうです。
しかも一泊二日で30万円と高額。
詐欺か?と思ったけど、浅井さんは「そこで幽体離脱出来るようになったんだよ」と言いました。
「ちょ、どこ向かってんの?」と思ったのですが、高校時代に「ムー」を読んでいた僕としては、聞き捨てならない。
宙に浮いてどこでも行けるらしい。
最初は、家の壁を通り抜けようとしたらしいです。
それ、もう通り抜けフープですわ。
しかし壁を通り抜けようとしたら、断熱材があって通り抜けられなかったんだって。
断熱材って幽体離脱するおじさんも遮断するのか……。
そんな話を何故かガールズバーで話している僕ら。
幽体離脱の初期段階は、「寝ていて夢を見ている感覚になった時に、身体の感覚を宙に浮かせられるようにすること」から練習するようです。
幽体離脱セミナーでもそれが出来る人と出来ない人がいるらしく、浅井さんは出来た側らしい。
そこから上達し、「好きな子の家にも行けるようになったんだよ」と話していました。
「住所知らなくてもいいんですか?」
と聞くと、「うん」。
なんで家が分かるのかは謎です。
ファンタジーなストーカーじゃないか。
そんな話をしていると、浅井さんは「今日君ん家に行くよ~~」とガールズバーの子に変な口説き方をしていました。
しかしすぐに、「あーでも明日は朝から静岡に出張だった」と幽体離脱を諦めるのでした。
…なんだかそこだけリアル。
▼次回のエッセイ 凄い催眠術師の話
▼前回のエッセイ 結婚式での長い一日
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