何十年も選べなかった私が、水色の車を選んだ日
「可愛い車がいい」
本当は、
ずっとそう思っていました。
でも返ってくる言葉は、
いつも同じでした。
「俺も乗るからだめ」
あぁ、
やっぱりだめなんだ。
そう思って、
私は何十年も、
主人の好きな
かっこいい車を選んできました。
私も乗る車なのに。
そう思う気持ちは
どこかにあったはずなのに、
その頃の私は、
それ以上言うことが
できませんでした。
でもある時、
ふと思いました。
もう、
そんなことしなくても
いいんだな。
私は何に乗りたい?
何色がいい?
そう自分に聞いてみても、
最初はすぐに
答えが出てきませんでした。
あれ?
私、
何が好きなんだろう。
それでも、
車を決める前から、
私の意識は自然と
ある色に向いていました。
紫。
ピンク。
水色。
気づけば、
携帯のカバーも、
ブレスレットも、
リングも、
私のまわりには
可愛い色が増えていました。
あ、私、
こういう色が好きなんだ。
そう気づいた時、
少し嬉しくなりました。
私はちゃんと、
好きな色を知っていたのです。
ただ今まで、
それを自分の選択に
してこなかっただけでした。
だから今回は、
迷わず
可愛い水色を選びました。
以前の私なら、
主人に何か言われるかな。
怒られるかな。
そんなことを
考えていたかもしれません。
でも不思議なくらい、
今回はそれが出てきませんでした。
そこからは、
面白いくらい
とんとん拍子に決まっていきました。
車が決まり、
名義も、
保険会社も、
初めて私にしました。
え、
私の名前なんだ。
そう思ったら、
少しだけ背筋が伸びるような
感じがしました。
これからは、
車の掃除も私がする。
車検も私が行く。
何かあった時も、
私がちゃんと見る。
少し緊張もありました。
でもそれ以上に、
心が弾みました。
なんだろう。
まるで、
20代に戻ったみたい。
自分の好きなものを選んで、
自分の名前で持って、
自分で管理していく。
それだけのことなのに、
私の中では
とても大きなことでした。
水色の車を見るたびに、
私は少し嬉しくなります。
あぁ、
これは私が選んだんだ。
その小さな喜びが、
今の私を
少しずつ前に
進ませてくれます。
好きな車を選んだ日。
水色の車と一緒に、
私の毎日も少しだけ
軽やかに走り出しました。
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