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🫠 ロエル式キャリア逆走録 第二話:「看板がなきゃ、お前に何の価値がある?」──若きSVが突きつけられた現実と決意

▼第一話

「現場で汗をかく」から「現場に信頼される」へ──スーパーバイザー時代の苦しさと、手応えと、限界



プレイヤーから、マネージャーへ

店長として2年間やりきった後、自分はスーパーバイザー(以下SV)に昇格した。※複数のオーナー店の店舗コンサルをする仕事

任されたのは複数店舗の統括。現場を“自分の手で動かす側”から、“人を通じて動かす側”への転換だった。

最初に思ったのは、「あ、これはまったく別の仕事だな」ということ。

店長時代は、トイレ掃除もレジも品出しも自分がやれた。
現場で手を動かし、背中を見せることで空気を変えてきた。

でもSVは違う。手も口も“間接的”になる。
プレイヤーからマネージャーに、一気に立場が変わる。

そこで最初にぶつかった壁があった。
──「思っている以上に、人は言っても動かない」ということだ。

若さと“看板”と、伝わらない提案

SVとして担当したのは、8店舗以上のオーナー店。
その中には、若手の店長もいれば、脱サラして10〜20年とコンビニを営んできたベテランオーナーもいた。
自分はまだ20代、店長歴たった2年。

そんな若造が「こういう打ち出しをしてみては」と言っても、
正直、届かない。

あるオーナーにこう言われたことがある。

「お前が今こうして話せてるのは、このコンビニの“看板”があるからだ」
「看板がなかったら、お前に何の価値がある?」
「俺はもう10年以上、自分で経営してきてるんだ。勘違いすんなよ」

──言葉の一つ一つが、心に突き刺さった。

たしかにその通りだった。自分が何者かといえば、まだ何者でもない。
本部の看板と肩書きがあるから話を聞いてもらえているだけで、
“ロエル個人”に価値があるわけではない。

そう思い知らされた。

現場に根ざす提案、そして小さな信頼

でも、それでも、自分なりにできることをやった。

本部からの施策をそのまま伝えるのではなく、

「このエリアの商圏を調べたら、高齢者が多いんですよ」
「このタイミングで和菓子の棚を広げたら、午後の来店が伸びるかも」

──と、店舗に合わせた“地に足のついた提案”を出すようにした。

商圏分析、商品構成の見直し、導線や棚レイアウトの最適化。
一つひとつ、現場の感覚に合わせて、オーナーや店長と
一緒に考えるスタンスを貫いた。

中には、24時間365日、自分の店に立ち続けているオーナーもいた。
そういう人には、

「今日は自分が一日店長やるんで、少しだけでも寝ててください」

と、シフトを代わって現場に立ったこともあった。

「まず寄り添う。それから動いてもらう」
──自分のスタイルは、いつだってそこだった。

その積み重ねが、少しずつ効いてきた。

「ロエルさんの言うことならやってみようかな」
「本部のSVっていうより、“現場出身の先輩”って感じっすね」

そう言ってくれる人も現れ始めて、手応えも感じていた。

信頼と数字の板挟み

ただ──そこから、空気が変わった。

コンビニの店舗数がある一定の大台を超え始めた頃から
SVという仕事は“回す”ことが中心になっていった。

本部からは、毎週のようにこう言われる。

「今週はPB(プライベートブランド)のこの商品を売ってください」
「NB(ナショナルブランド)より粗利が高いので、最優先で」
「全店◯個以上の発注をお願いします」

──わかる。ビジネスだから、数字は必要だ。

でも問題は、その商品が“その店の客層に合わない”と分かっていても、発注をお願いしなければならないということだった。

PBには良い商品もある。
でも、立地や商圏によっては、まったくニーズに合わないこともある。

それでも、「売れますよ」と言って押す。
オーナーは信じて発注してくれる。
※口はうまいので、説得させるロジックが組めてしまう。

──結果、売れない。廃棄になる。利益が減る。

自分の言葉が、相手を損させる。

この感覚が、ものすごく苦しかった。

売れるか分からない商品を押し込んで、売れなかった責任は現場が負う。
本部からは「ちゃんとプッシュできてますか?」
現場からは「またですか、今週も?」

──その板挟みが、自分をすり減らしていった。

自分のやりたかった仕事とは?

本来、自分は「店舗ごとに合ったやり方」を大切にしてきた。

商圏を見て、客層を読み取って、
「この商品が一番お客さんに喜ばれるはず」と考えていた。

でも、いつの間にか自分は、
“売りたい商品を、店舗の事情に関係なく押す”役割になっていた。

最初の頃に感じていた“この仕事って面白い”という感覚が、
だんだん薄れていった。

倒れた朝と、病室での決意

そんな中、ある朝、倒れた。
巡回中、ふらついて、そのまま救急搬送。過労だった。

点滴を打ちながら、病室の天井を見つめて思った。

「これをあと何年続けるんだろう」
「自分の信頼で動いてくれたオーナーたちを、結果的に損させることになる仕事を…」
「これは、自分が本当にやりたかった仕事なのか?」

──その答えは、もう出ていた。

自分の中で初めて、“転職”という選択肢がリアルになった。

誰かの看板に頼るのではなく、「ロエルという人間」に価値がある仕事がしたかった。

そのときに頭に浮かんだのが、当時ドベンチャー某広告代理店だった。

自分の武器だけで勝負すること。
看板ではなく、自分の頭と足で勝ちにいくこと。
そのステージに、立ってみたくなった。
※最後の退職挨拶周りの時、結構泣いてくれるオーナーさんが多く
 今でもその表情を思い出す


次回、第3話──
「法が届かない漆黒のプレイヤー時代、──広告代理店編」へつづく。


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