【第3話】お姫さまとオオカミさん~3人で森のピクニック~【ねんね前の読み聞かせ】

3人で森のピクニック
むかしむかし、あるところに お姫様とオオカミさんがいました。
お姫様はその国で一番偉い人だったので、 お友達がいませんでした。
オオカミさんは森の動物たちに怖がられていて、 友達がいませんでした。
そんな二人の物語です。
ユマール王国の朝がやってきました。 お城の窓から、きらきらのお日様がエイダのお部屋に差し込みます。
「おはよう、チュー太郎! 今日はついにリティに会いに行く日だよ」
エイダが壁の穴に向かって囁くと、デニムのオーバーオールを着たネズミのチュー太郎が、小さなリュックを背負ってひょいっと出てきました。
「おはようございます、エイダ様。準備はばっちりです!」
エイダはいつものドレスではなく、お城のお掃除を手伝う子が着るような、動きやすいワンピースに着替えました。これなら、みんなに気付かれずにお外へ行けそうです。
「よし、行こう! チュー太郎、私のポケットに入って」
「失礼します……わあ、広くて快適です!」
エイダは、見回りをしているトーマスがネズミを見つけて「ぎゃあぁ!」と叫んでいる隙に、裏庭の門をそーっと抜け出しました。
森の入り口まで来ると、一本道の向こうから灰色のふわふわした影が走ってきました。
「エイダ! こっちだよー!」
リティです。嬉しくて、尻尾をぶんぶん振っています。そのたびに、近くの木の葉っぱが「カサカサ! ザワザワ!」と音を立てました。
すると、エイダのポケットから小さな悲鳴が聞こえました。
「ひゃあああ! 食べられるー! 助けてでちゅー!」
チュー太郎が、ポケットの底で丸まって震えだしました。
「あはは、大丈夫だよ、チュー太郎。ほら、見てごらん」
エイダが優しくポケットの口を広げると、リティが不思議そうに中を覗き込みました。 大きな、優しい目。ぴくぴく動く鼻。
「わあ……ちっちゃいね。僕、リティ。君はだあれ?」
リティの声は、柔らかくて怖いところが一つもありません。チュー太郎は、リティの顔が全然怖くないことに気付いて、ゆっくりと顔を上げました。
「……ぼ、僕はチュー太郎です。びっくりしてごめんなさい……」
「えへへ、大丈夫だよ。よろしくね、チュー太郎!」
リティがにこっと笑うと、チュー太郎の髭がぴくぴく動きました。
三人は、森の一番高いところにある丘を目指して歩き始めました。 道の途中、細い森の道を進むときの事です。エイダが、つるっと足を滑らせそうになりました。
「きゃっ――」
「危ない!」
すると、小さなチュー太郎が誰よりも早く走り出し、エイダの靴をぐっと押さえて支えました。
「エイダ様、こちらを踏んでください。僕が道を確かめます!」
チュー太郎は、自分の体より何倍も大きな木の枝をどかしたり、危ない穴がないか先に調べたりして、一生懸命エイダを守ろうとしました。
それを見ていたリティが、感心したように言いました。
「チュー太郎、君は体は小さいけれど、とっても強い心をもっているんだね。自分のことより、エイダを助けようとするなんて」
「えへへ……それほどでも……あります! 僕は冒険家ですから!」
チュー太郎は照れて、鼻をぴくぴくさせました。
丘のてっぺんに着くと、エイダはお城の厨房からこっそり持ってきた、甘ーいジャムパンを広げました。
「はい。これはリティの分。これはチュー太郎の分ね」
「わあ! 美味しそう! いただきまーす!」
リティが大きな口でぱくり。 チュー太郎は小さな口でちびちび。 エイダはその様子を見て、胸の奥がぽかぽかしました。
ふと見ると、リティの胸には小さな星の模様がありました。
「リティのその星、やっぱり素敵ね。見ているだけで、なんだか安心するわ」
「これ? ずっと前からあるんだ。僕もお気に入りなんだよ」
三人は、夕焼けで空がオレンジ色に染まるまで、ずっと笑い合って過ごしました。
その夜。 お城に戻ったエイダは、ベッドの中で隣に座るチュー太郎に言いました。
「ねえ、チュー太郎。今日、三人で遊べて本当に楽しかったね」
「はい。オオカミさんも、ネズミも、お姫様も、みんなで笑えるなんて……なんだか不思議で、とっても嬉しいです」
窓の外には、遠くの森が静かに眠っています。 きっとリティも、今日の出来事を思い出しながら眠りについていることでしょう。
エイダは、温かい気持ちに包まれて、ゆっくりと目を閉じました。
おやすみなさい。
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今回のお話は「ちがいをこえてつながる友情」がやさしく描かれていました。
同じように、気持ちをそっと大切にしてくれる絵本はこちらです。
▶︎ともだちや
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※ひらがながよめる おこさまむけに、やさしく かきなおしています
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さんにんで もりの ピクニック
むかしむかし、あるところに
おひめさまと
おおかみが いました。
おひめさまは、えらい ひと。
おおかみは、こわがられていました。
だから ふたりとも、
ともだちが いませんでした。
これは、そんな ふたりの
おはなしです。
ユマールおうこくに、
あさが やってきました。
おしろの まどから、
おひさまの ひかりが
きらきら はいってきます。
「おはよう、チューたろう!
きょうは リティに あいにいくよ」
エイダが かべの あなに
こえを かけると――
ひょこっ。
チューたろうが でてきました。
ちいさな かばんを せおっています。
「おはようございます!
じゅんびは ばっちりです!」
エイダは きょう、
いつもの ドレスでは ありません。
うごきやすい ふくに
きがえました。
「これなら、
こっそり でかけられるね」
「いこう!
チューたろうは ポケットへ」
「しつれいします……
わあ、ひろい!」
エイダは そーっと
おしろを ぬけだしました。
―――――
もりの いりぐち。
むこうから、
ふわふわの かげが
はしってきます。
「エイダー!」
リティです。
しっぽを ぶんぶん。
はっぱが ざわざわ。
そのとき――
「ひゃああ!
たべられるー!」
ポケットの なかで、
チューたろうが
ぶるぶる。
「あはは、だいじょうぶ。
ほら、みて」
エイダが ポケットを
ひらくと――
リティが のぞきこみました。
やさしい め。
くんくん うごく はな。
「わあ、ちいさいね。
ぼく、リティ!」
「きみは?」
チューたろうは、
そっと かおを あげました。
「ぼくは チューたろうです。
さっきは ごめんなさい…」
「だいじょうぶ!
よろしくね!」
リティが にっこり。
チューたろうの ひげが
ぴくぴく。
―――――
さんにんは、
おかの うえを めざして
あるきました。
ほそい みちを
すすんでいると――
「きゃっ!」
エイダが すべりそうに。
「だいじょうぶ!」
チューたろうが
いちばん はやく うごきました。
くつを ぎゅっと おさえます。
「ここを ふんでください!
ぼくが さきに みます!」
えだを よけたり、
あなを さがしたり。
ちいさな からだで、
いっしょうけんめい。
リティが いいました。
「チューたろう、
すごいね。
ちいさいのに、
とっても つよい こころだね」
「えへへ…
ぼく、たんけんかだから!」
―――――
おかの てっぺん。
エイダは パンを
ひろげました。
あまい ジャムパンです。
「はい、リティ。
こっちは チューたろう」
「いただきまーす!」
リティは ぱくっ。
チューたろうは ちびちび。
エイダは にこにこ。
むねが ぽかぽか
あたたかく なりました。
ふと みると、
リティの むねに
ほしの もよう。
「その ほし、
やっぱり すてき」
「うん。
ぼくも すきなんだ」
ゆうやけで、
そらが だいだいいろに。
さんにんは、
ずっと わらって
すごしました。
―――――
よる。
おしろに もどった エイダ。
ベッドの うえで、
チューたろうに いいました。
「きょう、
とっても たのしかったね」
「はい。
おおかみも、ねずみも、
おひめさまも、
みんなで わらえるなんて…
ふしぎで、うれしいです」
まどの そと。
もりは しずかに
ねむっています。
きっと リティも、
きょうのことを おもいながら
ねているでしょう。
エイダは、
あたたかい きもちで
めを とじました。
おやすみなさい。
このおはなしは、ここから つづいていきます。
