#03 クラスとレイヤは建築に倣う
(2023.4.22 更新)
こんにちは
今回はVectorWorks民にとって
永遠のテーマ
クラスとレイヤについて
書いていこうと思います
まず、このテーマは
人それぞれの設定や使い方があるので
正しい設定ではなく
私が試行錯誤した上で
今時点これが時短になるという設定を
考察する記事であることを最初に断っておきます
この設定は多角的に考え
効率が良いものを選んで行った結果
・建築に倣う
・作図時間が大きく削減できる
という結論になりましたが
いきなり結果のクラス・レイヤ分けを書いても納得しづらいと思うので
ひとつづつ、考えたことを整理しつつ書いていこうと思います
1 建築系の設定
まず建築系の設定から見ていきます
CADは代表的なものが2つあります
大手企業系のAutoCAD と
アトリエ系のVectorWorks です
(以下、AC と VW)
店舗設計にVWを使われている方は
テナントの白図を先方からもらった際に
ACからDXF形式で吐き出した白図データを
VWに取込むと思います
その際、意味不明なクラス名が多く
まずはこの整理から始める方がほとんどではないでしょうか
ACは、クラスとレイヤと分かれてなく
クラスとレイヤの機能を併せ持った
レイヤ(画層)機能で描画されています
何百という工種をまとめ上げる建築図は
線の色・太さで工種を表現することに特化して、非常に効率的だと思いますし
THE・図面という格好良さもあります
建築系は階数のある図面なため
VW風に見ると
クラス:基礎、躯体、内装、家具、電気、空調 etc
レイヤ:1階、2階
という
複数のクラス x 1のレイヤ
の設定をしています これは
工種 x 階
というシンプルな設定で
意識的にコントロールしているということです
これが建築系の使い方となります
余談ですが
私が図面のイロハを叩き込まれた師匠は
某スーパーゼネコン設計部出身で建築事務所を主催している方です
徹底的に隙のない図面を描き
図面は見やすく コントロールしやすく
美しさすらありました
私の図面基盤は、この方に教えてもらったところが非常に大きいです
師匠は、エリートと言って差し支えない建築学歴を持って
設計部に入社しましたが
早々に上司から言われた一言は
「お前たちは使い物にならないから
半年間図面トレースをしてろ」
だったそうです
新入社員全員、
本当に半年間 手描きトレースをし
上司から何も話しかけられなかったといいます
過酷な数千枚の実施図一式トレースを通して
実際の仕事で通用する図面を一番最初に叩き込まれたそうです
ギガ企業の教育への経営体力もそうですが
社会で成長する上で欠かせない基礎をしっかり身につけさせることが
スーパーゼネコンの品質を高く維持させ続けている一因だろうとも感じました
トップランナーでさえ
そこまでして仕事を身につけていることに
自分が安寧としてはいけないなといつも思っています
建築の考察はこのくらいで次に行きます
2 内装系の設定
次に、我らが内装図面を振り返ってみます
私もいまの主戦場なので
自分の図面だけでなく
多くの設計者の図面データに触れます
そのクラス・レイヤの設定は
大抵、以下のように分かれています
クラス:一般、寸法
レイヤ:躯体、内装壁、造作、家具 etc

という
クラス x 複数のレイヤ
設定をしています
これは建築と真逆の使い方で
「レイヤ = 工種」
でコントロールしようとしています
私もずっとこの使い方で描いてきましたが
この設定で最後まで図面をコントロールできないことが多々ありました
平面図ではうまく言っても
天井伏図や展開図、詳細図を書いていくときに
レイヤの前後関係が、全ての図面種別で合わせられないのです
そのレイヤの前後調整に時間が掛かってしまい
辻褄あわせにレイヤが増えることが多いのです
しかも案件ごとにレイヤの調整方法が違うため
これといった正解の設定は見つけ出せませんでした
また、文字レイヤ、寸法レイヤを作ることも多く見受けられます
これは、平面系の種類ごとに増えていき、コントロールをしづらくなります
だいたい、下記のセットでレイヤが増えます。。
天井伏図レイヤ + 同寸法 + 同文字
照明伏図レイヤ + 同寸法 + 同文字
床伏図レイヤ + 同寸法 + 同文字
etc….

2階建ての案件になると、上画像のレイヤ数はまるっと倍になります。。
これをコントロールできる人ならいいですが
私は普通に頭がこんがらがります
(ました:経験済み)
10~20枚の図面一式ならなんとかなりますが
100枚に近くなるとコントロール不能になります(ました:経験済み)
いちいち画面登録で
このレイヤの表示・非表示をすることに
多く時間を割かれてしまい
図面を描いているのか
レイヤの表示設定をしているのか
よくわからなくなりました
(大抵深夜に。。)
この設定ではうまくいかないというのが
私の感想です
次は、そもそものVWの機能をちゃんと振り返ってみたいと思います
3 VectorWorksのクラス・レイヤ機能の特徴
VWの優秀な特徴の一つとして
クラス:線の色・太さ
レイヤ:上下の順番
を自動的に設定できることが挙げられます
A&A社のブログを引用して見ていきましょう
レイヤ
デザインレイヤは手描きで図面を作成する際の、トレーシングペーパーのような機能です。
紙が重なっていくように、各レイヤは前後関係を持っています。前にあるレイヤの図形が優先的に表示されます
またレイヤ間の距離をそれぞれ設定できるので、「1F」「2F」「3F」「屋根」などの高さの異なる図形を自然に分割できます。
3Dのビューでも各レイヤの表示設定が行え、全体を表示させて完成図を3Dで確認したり、操作しやすいように任意のレイヤをグレイ表示・非表示にしたりすることで、効率的な作業に役立てられます。


クラス
レイヤが「紙が重なっていくような横割りの管理」を行うのに対し
クラスは複数レイヤにまたがる図形を「種類ごとに管理」します。
デザインレイヤで階別に分けた図形を、さらに「壁」「建具」「住宅設備」「寸法」・・・とクラス分けをすれば同一ファイルから、情報を取捨選択したさまざまな図面を作成できます。
さらに、クラスは図形の属性やテクスチャ、文字スタイルを管理できます。
例えば建具の色を変更する時、全ての建具を選択してから属性を変更するのではなく、あらかじめ建具を「建具」クラスに設定しておくことで漏れなく一括で変更ができます。


A&A社のクラス・レイヤの定義ですが
もちろん、皆さんわかっていることと思います
あえて出したのは
VWは建築と同じように
クラス分けで図面を描いていく
ように作られていることを再確認しました
私がもっとも大事だなと思うことは
クラスの設定を変えると
一括で全ての図形の表現が修正される点です
例えば、上記の建具の表現を
クラスではなくレイヤで書いていた場合
ひとつひとつの建具を自分で変更していくことになります
「いや、内装なんてそんな建具の数がないから、大した作業じゃないよ」
と言われそうですが
30分かかる修正が、10秒で終わるなら
私は10秒で直して遊びにいきたいです
4 アトリエ系建築事務所の設定
先ほどの師匠の事務所では
VWを使い、建築と同じクラス分け設定で書いていました
クラス:躯体、内装壁、家具 etc
レイヤ:1階
事前にクラスで線の太さ・色を設定しておいて
図形を描いて、クラスに放り込めというスタイルです

画像のように、面も線も太さも全て
クラス設定に準じる「クラススタイル」設定で書いていました
そして、そのクラスに放り込むのです
この描き方の良いところは
図面の基本である
線の太さでの断面表現
ハッチングでの素材表現が
きちっとできる(おろそかにならない)ことです
師匠には、線の色を白黒表示にしても
線のメリハリだけで
絶対に立体が見えるように描けと
厳しく教えられました
「今どき、PDFで送れるからと
色とりどりの図面で
相手も見れるはずと思うのは驕り」
だと
伝言ゲームの最後にいる職人さんは
今でも夜中に、FAXで図面を受け取って
翌日、現場に来るんだぞと諭されました
バリバリの第一線設計者が
ここまでのことを気にして
図面を描いているのは、かなり衝撃でした
設計だからと
どこか施工を軽く考えていたからです
そして
あくまでも図面は施工者のためにあるものだと痛感しました
内装図では
線の太さをおろそかにしている図面も多いです
断面が見えないと立体の形が見えてこないし
見えがかり線なのか
寸法線なのかもわかりづらいです

上の記事でも描きましたが
図面は、人に伝えられて始めて価値があります
図面に入り込んでいる「わたし」には、立体が見えても
始めて見る人には伝わりずらいものです
ですから
「基本に忠実に」
共通言語としての図面表現を
しっかりと守らないといけません プロとして
そのために
クラスで線をコントロールすると言うのは
良い図面を描くために、効率的だと思います
5 BIMにおけるクラス・レイヤ
後々の記事で触れて詳しく説明する予定ですが
(かなり長文になってしまうので)
ここでは結論だけ書きます
BIM(立体)から断面図を自動作成する際に
線の太さは、クラス設定が適用される内部設定となっています
つまり
そもそもVWはクラスで線の太さを規定し
使うことを前提に作られています
6 海外のVW民の使い方
海外の人がディスカッションしている
Vectorworks FORUMでは
レイヤ分けで書いている人は見たことがなく
あたりまえにクラス分けが標準という前提で情報交換がされています
また、クラス分けでのプラグインやノードを
配布したり共有しているので
活用しようとすると
クラス分けに自然となります
7 レイヤ分け設定のメリット・デメリット
ここまで、いろんな側面から見て
クラスで分けることが効率的と見てきましたが
レイヤで分けて描くことにメリットはないのでしょうか?
よく言われるのは
前後関係を表現できることがメリットだと聞くのですが
1案件:〜20枚程度の図面を描く職種の人に、その意見が多いです
他には
レイヤが紙のイメージをしやすいので
表示・非表示をコントロールするだけで
図面一式が作れる この使い方が選ばれるのだと思います
また、よそからもらったデータを取り込んだ際
クラスに知らないクラスが作られて
自分の設定が紛れてしまい
直し方やコントロールの方法が分からない
からレイヤ分けでディフェンスしている
ということもあります
実際の仕事仲間と話すと
50〜100枚程度の図面一式を描くようになると
悩んだ挙句、クラス設定に落ち着いたという人が多いです
レイヤ分けでは作図の後半で
コントロールができなくなるといいます
8 まとめ
明らかに、レイヤ分けのメリットが少なく、使う理由も消極的です
そしてレイヤ分けには
1つのデータ内で表示の前後調整をするという
デメリットも同時に持っています
例えば
嬉しいことに図面を100枚も書くお仕事をもらえた時
100枚の前後調整と表示調整をしながら書き上げることになります
1つのデータでは前後関係の調整ができなくなるのでデータを分割します
分割してしまうと、データ間で
壁の位置や形、家具、照明などを
変更を常に手動で合わせ続けなければいけません
このデメリットの手間は
2Dのクラス分けではおよそ発生せず、データは一つで作れます
またBIMなら完全にこのことを考えなくていいです
まとめると
深掘りしても 視野を広げて俯瞰で見ても
クラス分けでの書き方がメジャーかつ効率が良く
レイヤ分けという使い方は特殊で
作図の効率を上げるものではない
図面枚数が増えると労働時間が増える使い方
というのが実情と思います
それでもレイヤ分け設定の人が多いのは
VWを触り始めた時に、なぜかみんなそうしているから
「なんとなく倣った」
というのが、レイヤ分け設定が主流になった理由だと思っています
少し時間をとって勉強すれば
しなくてもいい作業が山のようにある
ひいては人生での時間が稼げるレベル
と私は思います
冗談ではなく
このクラスとレイヤは真面目に考えて
決めた方がいいテーマだと思います
●自分でクラス分け設定の図面一式を描いた感想
クラス分けでの作図は非常に楽です
クラスを選んで図形を描けば表現は統一され
気に入らない時は設定しなおせば、瞬時に終わります
わざわざ
線の太さや色を直して
レイヤに放り直して
(カチカチカチ。。)
なんて作業がいちいちないので
絵を描いていくことがスムーズに行えます
自分でクラスのフォーマットを用意していれば
図形をコピペするだけでクラスを生成してくれます
レイヤにこの機能は搭載されていません
また、協力会社さんから
照明配灯図や防災設備図をもらった時も
クラスを指定して放り込むだけで終わります
クラスの意味がわかっていれば
建築白図のDXFクラスも
よくよくみていけば自分に必要なクラスをきちんと見つけられます
2Dで書くクラス分けでは
レイヤは1、2個でいいです
それだけで、1/100から1/1まで、すべて作図できています
ビューポートとシートレイヤ必須
またBIMでは、必ずクラス分けで作図しますが
より自動化が進むため、時短効果が著しく上がっています
●結論として
建築設計の長い歴史で培われた
クラスの使い方に倣うことが
効率的で楽ができ
BIMにも対応していける方法と
自分で試した結果、辿り着いた設定です
ちなみに直近の2D用設定はこんな感じです



クラス名の前の番号で大分類をして
自動で並ぶようにしています
1~9番台:意匠系工種
20~40番台:今後の予備
50番台:電気設備系
60番台:上記以外の設備系
70番台:面積
80番台:法規・規制
90番台:表の表現
BIMでのクラス設定はきちっと詰めきれていないので
これからの案件を通して堅めていく予定です
BIMでは、これとは少し違った設定になります
近いですけどね
それは今後のBIM記事で書いていこうと思います
内装設計ではあまり馴染みのないクラス設定ですが
建築設計では逆にレイヤ分け設定がほとんどいないのが現状です
建築とは協業する関係であり
構造的・設備的に依存します
レイヤ分け設定にこだわらず
建築で使われている
素直なクラス分け設定に準じた方が
効率的に伝わりやすい図面表現が
できるのではないでしょうか
プロフェッショナルのみなさんに
この記事から
ひとつでも学べることがあったなら幸いです
どこかひとつでも面白いところがあったなら
リアクション頂けると
モチベUPにつながります!
それでは次の記事も
引き続きよろしくお願いします
-関連note-
#00 内装設計の学びかた
#01 図面とは何か?
#02 図面はリンクさせる
#03 クラスとレイヤは建築に倣う
