【 逸話2.4 】 Little Town LEGACY #10弱肉強食、食うか食われるか 勝利へのカウントダウン― 戦友と立ち向かう新たな挑戦 ―
【 逸話2.4 】 Little Town LEGACY
弱肉強食、食うか食われるか
勝利へのカウントダウン
― 戦友と立ち向かう新たな挑戦 ―
あれから数日後。
会社の事務所へ、
後輩と一緒に向かうことになっていた。
入社に必要な書類や、
これからの説明を受けるためだ。
当日、
後輩が迎えに来てくれた。
道案内も兼ねて、
二人で会社へ向かう。
車が走るたび、
少しずつ目的地が近づいていく。
俺は、
少し緊張していた。
高校を卒業してから初めて就職した、
職場ぐらい名のしれた会社だったのもあり、
実際ちゃんと働けるか、
働くの俺だぞ、
やれるんかと
期待よりも、
不安の方が大きかった。
車の窓を流れる景色を見ながら、
そんなことばかり考えていた。
頭の中では、
『私』と『俺』が戦っていた。
冷静に考える『私』。
とりあえず飛び込もうとする『俺』。
でも、以前とは違った。
最後に一歩を踏み出すのは、
いつも『俺』の方だった。
・・・。
「着きましたよ。」
「ここ?」
思わず声が出た。
仕事内容を聞いていた俺は、
工場のような場所を想像していた。
すると後輩が笑いながら言った。
「会社の事務所と働く場所は、
別なんですよ。」
そう言って、
扉を開けた。
中に入ると、
そこには背広姿の人たちが何人もいて、
それぞれデスクでパソコンを操作しながら、
忙しそうに仕事をしていた。
今まで俺が見てきた世界とは、
まるで違う景色だった。
さっきまで感じていた不安は、
いつの間にか消え、
代わりに、
驚きとワクワクが込み上げてきた。
「失礼します。」
その一言で、
部屋中の視線が、
一斉に私へ向いた。
……
みなさんもありますよね。
初めて知らない場所へ入った瞬間の、
あの何とも言えない空気。
見る側も、
見られる側も、
少しだけ時間が止まるような感覚。
「あっ、こちらへどうぞ。」
そう声を掛けてくれたのは、
喫茶店で面接をしてくれた、
あの若い主任さんだった。
個室へ案内され、
「どうぞ、お掛けください。」
そう言われ、
俺は静かに椅子へ腰を下ろした。
たくさんの書類が出てきた。
記入がたくさんあり、
大変だ。
純粋にそう思った。
左手を失ってから、
右手でペンを握るようになっていた。
左手と右手の役割が、
自然と分かれていた。
箸を握るのは左手。
右手は字を書く担当。
ただ、
早く文字は書けない。
一般的には遅いし、
字も汚い。
あっ!
字は左手の時から汚いです。
・・・。
書類を書いて、
ハンコを押す。
また書いて、
またハンコを押す。
それを何度も繰り返し、
ようやく全ての手続きが終わった。
終わってからなのだが、
今更なのだが、
薄々、面接の時から気づいてはいたが
僕が思っていた会社、ではなかった。
某大きな会社の下請け会社だった。
まさに今更だが...
すると主任さんが、
「それじゃあ、会社のメンバーを紹介しますね。」
そう言って、
席を立った。
たくさんのメンバーを紹介してもらった。
ただ、
その後あまり関わることがなかったため、
今では名前すら覚えていない。
「次は専務を紹介するね。」
主任さんがそう言って、
中へ取り次いでくれた。
「〇〇ちゃん、よろしくね。」
そう声を掛けてくれた。
なかなかフランクな人で、
その人は、
隠しきれないほど、
体から優しさが溢れ出ていた。
相手の気持ちを察して話す。
相手を想い、
先回りして行動する。
読み解く力というのか。
空気を変える力というのか。
そよ風のように自然で、
そこにあることすら気づかない。
だけど、
その優しさの奥には、
確かな強さがあった。
俺はその時、
初めて意識させられた。
優しさにも、力があることを。
言葉で教わるのではなく、
態度で学ばせていただいた。
そんな人だった。
専務は、
「今、社長いるから挨拶していき。」
そう言って、
社長室へ案内してくれた。
「失礼します。」
専務がそう言ってドアを開けた。
「社長。
トモ社長。
新しい子、来ましたよ。」
その時、
初めて社長と会った。
・・・。
第一印象は、
ただ一つ。
「でかっ。」
ガタイがいい。
体も大きい。
存在感も大きい。
「この人、強そうだな。」
それが、
一番最初に思ったことだった。
でも、
今振り返ると、
あの時感じた「大きさ」は、
体格だけじゃなかった。
人としても、
器としても、
本当に大きな人だった。
初めに描いていた会社とは違った。
有名な大企業でもなかった。
下請け会社だった。
でも良かった。
心からそう想う。
会社に入ってよかった。
出会えてよかった。
だから今でも、
あの日の第一印象は変わらない。
「社長は、大きな人だ。」
組織は、
一人では成り立たない。
人も、
きっと同じなのだろう。
一人では、
強くなれない。
一人では、
育たない。
誰かと出会い、
誰かに支えられ、
誰かを支えながら、
人は少しずつ、
大きくなっていく。
人を育て、
人を信じ、
人を支えられる人だから、
大きな人なのだ。
今なら、その意味がわかる。
あの日の第一印象は、
今も変わらない。
「社長は、大きな人だ。」
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回
【 逸話2.4 】後編
Little Town LEGACY
トモ社長とトモくん
最強と最恐。
栄光の扉は開かれた。
勝利へのカウントダウン。
― 戦友と立ち向かう新たな挑戦 ―
新たな職場。
新たな仲間。
そして、
再び交わる運命。
俺とトモくん。
最強の戦友伝説が、ここから始まる。

