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【展覧会レポ】山口県立美術館「カナレットとヴェネツィアの輝き」「コレクション展」

【約4,600文字、写真約50枚】
初めて山口県立美術館に行き「カナレットとヴェネツィアの輝き」「コレクション展」を鑑賞しました。

※ 本展覧会はすでに終了しています。

▶︎ 結論

カナレットの描く写真のような忠実な絵は、多くの人が美しいと思うため、アートに興味がある人、薄い人両方にオススメできる展覧会だと思いました。ただし、作者独自の考えが作品からは見えづらかったため、私の好みではなかったです。山口県立美術館は、市街地からのアクセスは良くはないものの、趣のある煉瓦造りなど、美術館巡りが好きな人にとっては、1度は訪れてもよいスポットだと思いました。

おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★☆☆☆
混み具合:★★☆☆☆
展覧会名:カナレットとヴェネツィアの輝き
場所:山口県立美術館
会期:2025年4月24日(木)〜6月22日(日)
休館日:月曜日
開館時間:9:00〜17:00
住所:山口県山口市亀山町3−1
アクセス:山口駅から徒歩約15分
入場料(一般):1,600円(コレクション込みで1,700円)
事前予約:ー
展覧所要時間:企画展、コレクション含め約1時間半
撮影:会場内は一切不可(館内は可能)
巡回:静岡県立美術館→SOMPO美術館→京都文化博物館→山口県立美術館
URL:https://y-pam.jp/special/canaletto/


▶︎ アクセス

山口県立美術館へは、山口駅から徒歩約15分。駅から真っ直ぐ歩いていけば、美術館に到着します。

山口駅の待合室
山口駅の時刻表

電車の本数が少ないため(1時間に1〜2本)、旅行者は要注意。帰りの電車は要チェックです。

新山口駅にて

県庁がある駅とはいえ、周囲はかなりのんびりした雰囲気。新山口駅付近の方がとても賑わっていました。

駅から真っ直ぐ歩く
出店を加速する無印良品
県庁近くの商店街
地元の百貨店である井筒屋
田辺武《情景あるいはヘンデルの「水上の音楽」に捧げる》

▶︎ 山口県立美術館とは?

山口県立美術館は、1979年に開館。英称は、Yamaguchi Prefectural Art Museum。朝9時からオープンしている点はありがたいです。

レンガでできてた趣のある建物

設立のきっかけは、抑留体験を描いた「シベリアシリーズ」で有名な画家・香月泰男かづきやすお(山口県出身)の死後、遺族から数多くの作品が山口県に寄贈されたことです。

設計は、鬼頭梓建築設計事務所。鬼頭梓は「図書館建築のパイオニア」と呼ばれ、図書館の設計は30以上。美術館の設計は、山口県立美術館のほか、武蔵野市立吉祥寺美術館の2つのみ。山口県立山口図書館(1973年)のついでに依頼されたのでしょうか。

美術館の近くに、図書館、博物館もある

鬼頭梓は「ノンステップ・フラットフロア」をコンセプトとしていたそうです。山口県立美術館もスロープを多用した構造でした。

スロープが多い安心設計

現在の館長は北村敏克。過去の館長も含めて、山口県庁内の異動人事が多いようです。

これまでの仕事がどれだけ生かせるかわからないが、良い芸術作品を県民の皆さんに見ていただくとともに、来県してもらうための観光ツールにもなれば」

館長が就任時の挨拶

なぜ、無駄な枕詞を付けるのか、理解に苦しみます。役人として、まずは謙遜する癖がついているのかもしれません。

(追記)館長は今年の春から、道免憲司に変更となっていました。

ロッカーはコインレスでありがたい

HPには、館長挨拶、美術館や建築のコンセプト、施設案内などの開示がありません。そういった部分からも、山口県立美術館の姿勢が透けて見えます

展覧会スケジュール

なお、1年間の特別展がすべて巡回展でした。「岩合光昭 写真展 パンタナール」っていつからやってる展覧会やねん!岩合光昭の作品の需要や普遍性の高さを再認識しました。

▼ 岩合光昭 写真展 パンタナールの感想@東京都写真美術館(2022年)

歴代展覧会ポスター

企画展、コレクション展に派手さがないことに加え、午前中だったにもかかわらず、来館者は多かったです。地元の人に愛されていることが伝わってきました。

松村邦洋は山口県熊毛郡

▶︎ 「カナレットとヴェネツィアの輝き」感想

チケット

ヴェネツィアの華やかなイメージを創り出したのが、緻密かつ鮮やかな描写で一世を風靡したカナレット(1697~1768)であった。(略)本展では、本邦初公開となる多数のカナレット作品を中心に、18世紀から19世紀の印象派まで、およそ200年にわたって描き継がれたヴェネツィアの姿を紹介する。

公式サイトより

展示室内は、全て撮影禁止でした。

コレクション展とのセット券あり

✔️ 「カナレット」とは?

館内の撮影スポット

カナレット」とは、ヴェネツィアで生まれた画家(1697ー1768)の名前です。英国の貴族は、ヴェネツィアに憧れ、カナレットの絵を買い集めたそうです。

エディンバラの様子(私による撮影)

そのため、この展覧会は、英国・エディンバラのスコットランド国立美術館との協業です。

《昇天祭、モーロ河岸に戻るブチントーロ》(画像引用

カナレットの絵を見ると「絵も綺麗やし、描かれてる人もおもろい。これは貴族も欲しがるわ」と思いました。

✔️ ヴェネツィアってどんなとこ?

ヴェネチアの様子(2016年1月撮影)

私はヴェネツィアに行ったことがあります。1度でも行ったことがあると、作品を見た時の印象や見方が変わります。ヴェネツィアでは、車や自転車は使えず、世界で唯一、移動は徒歩と船のみです。

ヴェネツィアの位置(箱根ガラスの森美術館で撮影)

9世紀、ベネツィアは事実上、独立国家になりました。そして18世紀、ナポレオンによりヴェネツィア共和国は消滅、イタリア王国に編入しました。

展示室内には、ヴェネツィアガラスも7点展示されていました。すべて「箱根ガラスの森美術館」の所蔵品でした。

▼ 箱根ガラスの森美術館の感想

✔️ 美しい!ただそれだけ

《キリスト昇天祭におけるプチトーロの帰還》(画像引用

これらの絵から、作者のメッセージは特に感じませんでした。「ただ商業的に需要があったから美しく忠実に描いた」という印象です。

正確で美しいため、ついうっとり。しかし、それ以上でも以下でもありません。似たような絵ばかり見ていると若干飽きてきました

来館者も緻密な絵を「すごい、きれい」と楽しんでいました。このようなジャンルの絵は門戸が広く、展覧会としても需要が高いと感じました。

✔️ 「べドゥータ」の達人

《カナル・グランデのレガッタ》(画像引用

べドゥータ」とは、イタリア語で「眺められたもの」。緻密に透視図法で書いた絵を指します。なかでも《カナル・グランデのレガッタ》(149.8×218.4cm)は圧巻。描き込まれた人の数の多さも驚きで、屋根の上で見学している人もいます。

カナレットの描く絵には、人物が多く描き込まれています。それぞれの人物が何をしているのか、細かく見るのも面白いです。まるで『ウォーリーをさがせ!』を楽しむ気持ちになりました。

✔️ どうやって忠実な絵を描いた?

展覧会入り口

カナレットは、カメラブスクラを使っていたそうです。カメラオブスクラを使って、絵を写したら、後は色を塗るだけ。「それ使っちゃったら、ある程度の技術があれば、誰でも<べドゥータ>を描けたのでは?そのうち、仕事なくなるんとちゃう?」と思いました。

カメラオブスクラ(2025年2月撮影)

▼ カメラオブスクラが展示されている展覧会の感想

✔️ 真似されやすいカナレットの芸風

ミケーレ・マリエスキ《リアルト橋》(画像引用

当時、カナレットの画風を真似した人が続出したそうです。どの作品も美しいものの、カナレットの作品と違いがあまりないように思いました。「忠実に描く」ことに力点を置くと、競争優位性は出づらいです。

どれも同じ芸風に見えるため退屈でした。やはり私は、作者の「メッセージ」「問い」がある現代アートが好みだと再認識しました。

ジェイムズ・ ミュラー 《サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂を望む》(画像引用

ミュラーの作品は、カナレットと似ています。しかし、どこかふんわりした画風は、写実を超えた個性を感じたため、素敵だと思いました。

✔️ ヴェネツィアを描いた個性派たち

ポール・シニャック《ヴェニス, サルーテ教会》(画像引用

最後のセクションは、ベネツィアをテーマにした作品が並んでいました。どれも個性が利いて面白かったです。私はカナレットのような絵より、シニャックのような癖のある作品が好みです。

クロード・モネ《黄昏、ヴェネツィア》(画像引用)

最後は、アーティゾン美術館が所蔵するモネ《黄昏、ヴェネツィア》で締めくくり。モネはヴェネツィアの作品を生涯で37点描いたそうです。

▼ 同じ作品を見た展覧会の感想@アーティゾン美術館(東京)

▶︎ 「コレクション展」感想

コレクション展は小規模なものが3つ開催。すべて撮影不可でした。

1)トーマス・シュトゥルート:無意識の場所
2025年4月12日(土)ー6月22日(日)

トーマス・シュトゥルート(1954-)は、ドイツ出身の写真家。ひたすら無人の街を撮った写真が展示されています。エディンバラ、ドイツなどの写真の次に、いきなり山口の写真!緩急に驚きました。

なお、何も入っていない展示ケースが散見されたことも含め、コレクション展は、勢いや、やる気が少し欠けていると感じました。

2)シベリア・シリーズ Ⅰ 応召とハイラル駐屯
2025年4月12日(土)ー6月22日(日)

直接的な戦争シーンは描かれていないものの、作者自ら書いた解説を読むと、戦争の無力感が伝わってきました。

3)日本画の情景Ⅱー「映える」景色
2025年5月20日(火)ー6月22日(日)

「映える」構図の作品を中心に展示。この部屋には、大きな畳の小上がりが設置しています。疲れていたため、ちょうど良かったです。

▶︎ 「県美の森」ほか

美術館の裏側には、外に「県美の森」があります。そこには6つの作品が設置されています。

杉浦康益《陶による石の群》

左奥にある石をスパッと切った作品は、菅木志雄の《間中》。

▼ 菅木志雄の展覧会@小山登美夫ギャラリー(六本木)

田辺武《情景あるいはヘンデルの 「水上の音楽」に捧げる》
キリンラガービール?
川口 政宏《作品 B-1》

「県美の森」には三角形の不思議な小屋が設置されていました。佇まい的に「ダン・グラハムっぽいなぁ」と思っていたら、実際にそうでした。まさか山口県で会えるとは意外すぎました😮

ダン・グレアム《パヴィリオン》

▼ ダン・グラハムの展覧会@タカイシイギャラリー(六本木)

▶︎ まとめ

買ったポストカード。《昇天祭、モーロ河岸に戻るブチントーロ》

いかがだったでしょうか?カナレットの描く忠実で緻密な作品は、多くの人が美しいと感じると思います。そのため、アートに興味がある人、ない人にとってもオススメの展覧会だと思いました。ただ、それ以上でも以下でもないため、私はあまり好みではなかったです。山口県立美術館は、不便な場所にあるものの、コンパクトで特徴があるのため、山口旅行の際は、お出かけ候補の1つに入れてもいいかもしれません。

▶︎ 今日の美術館飯

★3.3/ドマーニ (山口県/山口駅) ー エッグトースト (¥1,210)

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