【ハラスメント】昭和マインドからの脱却と価値観アップデートの重要性
ある相談対応の現場で
ある日、とある中小企業の人事担当者から「ハラスメント対応について相談したい」と連絡を受けました。
話を聞くと、入社2年目の社員が「上司の指導がつらい」と声を上げたというのです。
「何か心当たりが?」と人事がその上司に確認したところ、返ってきたのはこんな言葉でした。
「え? そんなことで? 昔はこれくらい普通だったでしょ」
「自分もこうやって育てられたし、今の若い子は打たれ弱すぎるよ」
このような“昭和マインド”的な反応。
私自身、何度も目にしてきました。
けれど、これがまだまだ現場に根強く残っていることに、やはり考えさせられます。
相手に悪気はない。
でも、それが一番危ない。
なぜなら、悪意のない無理解こそが、ハラスメントの温床だからです。
まだまだ根強い「昭和マインド」の誤解
「厳しくするのは本人のため」
「指導しなければ成長できない」
「昔はもっと理不尽でも我慢していた」
こうした考えは、特に40代以上の世代に多く見られます。
上の世代からそうやって育てられてきた経験が、「厳しさ=愛情」「甘やかすのは害」といった信念を無意識のうちに形成しているのです。
実際、「昔は…」という話をする人ほど、自分自身が当時どれだけ我慢し、耐えてきたかを語りがちです。
そしてそれが「今の若手は甘い」と感じる理由にもなっている。
でも、大事なのはそこではありません。
時代が違うのです。
そして「受け止め方の基準」も、はっきりと変わっているのです。
時代が変わったのか?
現在のハラスメントの基準は、「相手がどう感じたか」です。
つまり、行為者がどんな意図であっても、受け手が「苦痛」や「不快」を感じれば、それはハラスメントと見なされる可能性があるということ。
これに戸惑う人も少なくありません。
「そんなつもりじゃなかったのに」
「どうしてそこまで気にするのか」
けれど、このつもりや常識こそがズレの原因。
以前と違い、働く環境も、働く人の多様性も、大きく変わりました。
性別、年齢、価値観、メンタルの状態。
どれを取っても、かつての一律的な指導では通用しなくなってきているのです。
どう受け止め、どう対応すべきか?
では、上司や経営者としてどう受け止めればよいのでしょうか?
ここで大切なのは、「過去の経験」ではなく「今の相手の感情」にフォーカスすること。
たとえば、こんな問いを自分に投げかけてみてください。
今、この人はどう感じているだろう?
自分の言葉は、どんなふうに響いているのだろう?
昔と今では、基準が変わっていることを自覚しているか?
この問いができるかどうかで、対応の質はまったく変わります。
ここで改めて考えたいのが、「ブロッキング」という概念です。
これは、相手の話を聴いているつもりでも、自分の価値観や過去の経験が先に出てしまい、実際には“聴けていない”状態のこと。
「自分もそうだったから大丈夫」
「みんな通ってきた道だよ」
そう思った瞬間に、あなたの耳は閉じています。
まずはその“癖”に気づくこと。
そして、「今の相手」を正面から見る意識が大切です。
価値観をアップデートするメリットとは?
ここでよく誤解されるのが、「ハラスメントに配慮すると言いたいことが言えなくなるのでは?」という懸念です。
でも実際は、その逆。
価値観をアップデートすることで
「伝え方」に工夫が生まれる
相手との信頼関係が深まる
結果的に指導が届きやすくなる
たとえば、かつては「叱って伸ばす」が主流だった場面でも、今は「承認して導く」アプローチの方が効果的です。
しかも、それは“優しさ”とは違います。
相手の個性や感情を尊重しながらも、必要な指摘や成長を促す姿勢。
つまり、価値観のアップデートは「ハラスメント予防」だけでなく「リーダーシップ強化」にもつながるのです。
まとめと次のアクション
・「昔は普通だった」は今の正解とは限らない
・ハラスメントの基準は“受け手の感情”にある
・ブロッキングに気づき、耳をひらくことが対話の第一歩
・価値観をアップデートすることで、信頼・指導・組織の質が上がる
まずは、今日誰かと話すときに「昔ならこう言っていたけど…」と思ったら、立ち止まって問い直してみてください。
「今、この人にとってはどうだろう?」
「自分の伝え方は、今の時代に合っているだろうか?」
この小さな問いが、あなたの職場を、あなた自身の人間関係を、よりよいものに変えていきます。
