心と言葉の翻訳(26)言葉の対応関係を外す怖さと心細さ、そしてそれを行う勇気
(↑のつづき)
しかし、だからといって、語/ワード、文/センテンス、段落/パラグラフごとの分析と処理から簡単に抜け出せるかといえば、ことはそれほど簡単ではない。
翻訳を少しでも真剣にやったことのある人間であれば、語とワードの対応、文とセンテンスとの対応、段落とパラグラフとの対応をまったく無視して翻訳することの怖さと心細さを、誰もが身に染みてわかっているはずである。
言葉の対応関係を外す怖さと心細さについて、身に染みるほどに感じたとき、プロ翻訳者は、どうしても言語の対応関係に戻りたくなるものである。
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「英文和訳+編集」モデルを使いつつ、最低限の言語対応関係さえ守っておけば、プロ翻訳者としての仕事にクレームがつく可能性は非常に低くなる。

一方で、言語対応を外して創発的な領域にまで踏み込んだ仕事をした場合には、出来上がった訳文は、一見したところ、真剣に翻訳に向き合うことのない「意訳」や「超訳」との区別が、素人目にはつきにくい。
そのため、たとえいくらよい翻訳であっても、周囲からのクレームがつく可能性が出てくるのである。
翻訳を生業としているプロ翻訳者にとって、クレームがつくことは、何よりも避けたいところである。
そのため結局のところ、「英文和訳+編集」モデルという、安住の地へと戻っていくことになりがちなのである。
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しかしながら、そこをなんとか踏みとどまり、少しでも自分が納得できる翻訳の姿に近づくために敢えて「英文和訳+編集」モデルという安住の地を捨て、荒野へと踏み出そうとする翻訳者の方々がいるということも、私はよく知っている。
そうした方々の勇気を賞賛するとともに、この「心と言葉の翻訳」が、そうした本物の翻訳者の方々に少しでもお役に立てればと願っている。
(つづきは↓)
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