【成瀬 日本語・英語・翻訳講座】日本語編(27)名詞修飾節(2)トピックの後出し
モノがコトを修飾する
日本語で「修飾・被修飾」という概念を用いるとすれば、従来の名詞修飾節が「被修飾節」であり、従来の被修飾語が「修飾語」であるはずだ。
コトがモノを修飾するのではなくモノがコトを修飾するのだ。
たとえば「昨日読んだ本」では「昨日読んだ」が被修飾語句で「本」がそれを修飾しているとみなすべきだ。
コト中心の言語である日本語ではこうした概念を採用することが可能である。
英語において名詞にtheやaといった冠詞が「つく」のではなくtheやaといった冠詞に名詞が「つく」と考えるほうが矛盾がないのと同じことである。

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トピックの後出し
トピック・コメントの観点からみれば従来の「名詞修飾節+被修飾語」の関係は「コメント+トピック」というかたちにあたる。
まずコメント部分を述べ、そのあとにトピック部分を示すやり方
である。
昨日読んだ本 ← その本は、昨日読んだ
有名大学によく受かる予備校 ← その予備校は、有名大学によく受かる
普段は酒を浴びるほど飲む人 ← その人は、普段酒を浴びるほど飲む
これを「トピックの後出し」と呼ぶことにする。
主客二項対立のかたちを認識の基盤とする英語とは違ってトピック・コメントのかたちを認識基盤とする日本語の特徴がここによく表れている。

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「トピック後出し」方式の「名詞修飾節+被修飾語」のかたちは、トピックの部分を前に出して、別のかたちにすることができる。
昨日読んだ本は、とても面白かった。
→ その本は昨日読んだものだが、とても面白かった。
そこは、有名大学によく受かる予備校だとのうわさだ。
→ その予備校は、有名大学によく受かるとのうわさだ。
普段は酒を浴びるほど飲む人が、今日はまったく飲もうとしない。
→ その人は普段は酒を浴びるほど飲むが、今日はまったく飲もうとしない。
「心と言葉の翻訳」では、こうした「トピック前出し」処理を次のようにおこなうことがよくある。
The book (which) I read yesterday was very interesting.
→ (昨日読んだ本はとても面白かった。)
その本は昨日読んだものだが、とても面白かった。
このほうが「昨日読んだ本はとても面白かった。」という英文和訳モデルの訳文よりも英語原文の思考プロセスに忠実な訳といえる。
(つづきは↓)
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