【成瀬 日本語・英語・翻訳講座】日本語編(28)名詞修飾節(3)「入れ子」文
(↑のつづき)
名詞修飾節にさらに別の名詞修飾節が入る文がある。
これが「入れ子」文だ。
「入れ子」とは大きな箱や器のなかに一まわり小さくて同じかたちのものを順々に入れていくもののことである。
日本の重箱やロシアのマトリョーシカ人形が入れ子の構造をしている。

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「入れ子」文は、わかりにくい文の代表例である。
入れ子の数が多くなればなるほど、思考プロセスが複雑化していき、そのうち脳の言語処理能力では処理できなくなってしまう。
次の文は、証券関係の本の一文をアレンジしたものだが、これを前から一度読んだだけで理解するのは至難の業だ。
この場合、株主は、保有株式を売却して得た手取り額を負債を利用している企業の株式と任意の企業の社債とに負債を利用している企業の株式と社債がそれぞれ総資本に占める割合に等しい比率で投資して得られる新しいポートフォリオから、より高い収益を獲得できる。
この文の骨格は次のとおりだ。
株主は、新しいポートフォリオから、より高い収益を、獲得できる。
だが、そのなかの「新しいポートフォリオ」の前に、以下の名詞修飾節が組み込まれている。
保有株式を売却して得た手取り額を負債を利用している企業の株式と任意の企業の社債とに負債を利用している企業の株式と社債がそれぞれ総資本に占める割合に等しい比率で投資して得られる
そしてそのなかに、さらに多くの名詞修飾関係が重層的に組み込まれている。
分析図を示すと以下のようになる。

このような多重の入れ子構造になると、普通の言語処理能力では処理ができない。
一度読んだだけでは意味がとれないのが当たり前だ。
このような入れ子文は、入れ子をはずすことでわかりやくできる。
上の文は入れ子をはずすと、次のようになる。
この場合、株主は以下のような方法で、より高い収益を獲得できる。その方法とは、保有株式を売却して得た手取り額を、新しいポートフォリオに投資することである。
ただし、以下の条件がある。この新しいポートフォリオでは、上記の手取り額を、負債を利用している企業の株式と任意の企業の社債とに分けて投資するのであるが、その際、それぞれが総資本に占める割合に等しい比率で投資しなければならない。
図にすると、以下のとおりだ。
5つのパーツに分かれた。



(つづきは↓)
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