見出し画像

心と言葉の日本語文法(39)「洋」の文構造(2) 英語の文法概念を日本語の文法に導入

(↑のつづき)

このように、英文法と学校国文法とは自国語に対する劣等感を克服するためにつくられたという点においては同様なのであるが、ただ、両者には完成に行き着くまでの道筋に大きな違いがあった。

イギリスにおいては母語すなわち英語の文法を確立しようとする努力が、すでに1500年代中盤からはじまっていた。

そしてその後も英文法の確立のためにさまざまな試みがなされていた。

Murray文法とは、そうした膨大な営みのうえに花開いた一輪の精華だったといえるだろう。

ところが、わが国の明治期の国文法はMurray文法のように数百年の時の練磨を経たのちに完成したというものではない。

すでに述べたように日本にも江戸時代には日本語の文法を確立しようとする確かな試みがあったのだが、残念なことにその成果は国文法の確立にほとんど活かされなかった。

当時の国文法とは、小国日本が欧米列強に一刻でもはやく追いつくために、英文法を参考にして急ごしらえでつくりあげたものであった。

そのため、当然ながら本家本元である英文法の影響を強く受けることとなった。

こうして

日本語の実態を反映していない、英語の文法概念が国文法のなかに数多く盛り込まれることになった。

ちょうど文明開化のさなかに日本社会の実態を反映していないさまざまな概念が政治や経済や産業のなかにつぎつぎと盛り込まれていったのと同じように。

そしてこのことが現在にまでいたる日本語文法の混乱につながることとなった。

(つづきは↓)

☆☆☆

☆☆☆

「ことさきく|成瀬由紀雄の日英文章・翻訳教室」では、このほかにも日本と日本人、英語・日本語・翻訳その他に関するコンテンツを数多くアップしてあります。総数は1000本を超えています。

いくつものマガジンを設定していますのでぜひチェックしてみてください。

いいなと思ったら応援しよう!