四十二日目 医者
俺は冷たい人間だと思う。
昔からおおよそ情緒というものを持ち合わせていない。
目の前の事態に対処をし、措置を行う。
ただそれだけを、繰り返している。
ある時、実習生が俺に聞いた。
命を扱うことの重さに押しつぶされることはありませんか、僕はこの先、救えなかった命と対面した時に、自分の精神が持つか不安です、と。
俺はそいつを優しいやつだなと思った。
そして同時にこの仕事に向いてないなとも思った。
命を扱う仕事に就くものには、優しさが必要だと言うものもいる。しかし、俺は、優しさなどと言うものは、この仕事において、おおよそ判断を鈍らせるだけのものに過ぎないと感じている。
何人も、自分のミスを責め続け、気を病んだ仲間を見てきた。
医者は人間だ。
しかし同時に、ミスをしないのが当たり前で、その当たり前が遂行されない時、世間は我々を決して許してはくれない。
それが俺には向いていて、君には向いていなかった。
ただ、それだけのことだ。
