三十六日目 不幸
「お前はこの先の人生、ずっと幸せになれねぇよ」
小学校低学年の時、ただ同じマンションに住んでいるという接点しかない男の子にそう言われた。
なるほど、たしかにそうかもしれない。
無駄に年月を重ねて、私に残ったものといえば、図太い神経とこの世への不満だけ。
おおよそ不幸な私の人生。
でも世間は、そう口にすることさえ、許してくれないらしい。
口にすれば返ってくる言葉は大抵、「世界にはもっと辛い人がいる」だ。
ほんと嫌になる。
……私の不幸は私だけのものだ。
誰かと相対的に比べて何になる。
引き合いに出される世界の不幸な人々だって、誰も赤の他人が立ち直るための道具になることを望んでいないはずだ。
私は普段は気にも留めない世界の不幸な誰かのことを、こんなときばかりに引き合いに出す輩が大嫌いだ。
「滅びれば良いのに」
私にはいつだって自分の人生の不幸を享受する権利がある。
