引越し10回でわかった。『広い家』より大切だった6つのこと
これまで私は、人生で10回以上の引越しを繰り返してきました。 そして引越し10回を経た今、「広い家」「駅近」「新築」よりも優先するものがはっきり見えてきました。
実家を皮切りに、一人暮らし、海外での大学寮生活、ホームステイ、友人とのルームシェア、同棲、結婚してからの社宅、転勤に伴う移動、そして現在の家族3人での賃貸暮らしまで。
実家は一軒家の持ち家でしたが、それ以外はすべて賃貸。 あらゆる間取りや環境をサバイブしてきた、自称「賃貸物件のエキスパート」です。
現在の我が家も賃貸なので、ライフステージが変われば将来また引っ越す可能性は大いにあります。だからこそ、これまでの失敗と経験から学んだ「私が今後選ばない物件の特徴」をロジカルにまとめてみました。
部屋探しで失敗したくない方、そして「本当に快適な暮らし」を引き算で手に入れたい方の参考になれば幸いです。
1. 家族の動線を無視した「悪い間取り」
家族の人数に対して物理的に部屋が足りないのは論外ですが、私が間取り図を見るときに一番重視するのは「家族それぞれの生活リズムを想像したときの動線」です。
たとえば、「キッチンと寝室が真隣にあって、夜中に冷蔵庫を開ける音や水音が響きそう」といった、暮らしにくさが予見できる間取りの物件は、いくら綺麗でも絶対に選びません。
実は今の家も、間取り図だけを見ると寝室とキッチンが隣接しています。ただ、その間にウォークインクローゼットがあり、収納スペースが音のクッションになると考えて選びました。間取り図は部屋数だけでなく、「音がどう伝わるか」まで想像して見るようにしています。
我が家の場合、夫は平日、朝早くに出て夜遅く帰る激務の日々で、在宅ワーク(オンライン会議)もあります。そのため、彼には「1人部屋」が絶対に必要です。 現在の家では、夫が夜遅くに作業をしたり音を立てたりしてもお互いにストレスにならないよう、私たちの寝室やリビングから一番離れた場所に夫の部屋を配置できる間取りを選びました。
おかげで夫も、時間を気にせず思う存分オンライン会議に集中でき、1人で心地よくくつろぐことができています。間取りの妥協は、家族の不仲の引き金になります。
2. 引越し10回で気づいた「ちょうどいい広さ」
我が家は現在、マキシマリストな激務の夫と発達に特性のある息子、そして私の3人暮らしで「60平米の2LDK」に住んでいます。
↓詳細はこの記事に書いています。
世間一般の基準からすると「3人暮らしには少し狭いのでは?」と思われるかもしれませんが、引越し10回を経て、私は「我が家にとっては、60平米が最高にちょうどいい」と感じています。
なぜなら、家は広ければ広いほど、そのぶん家賃という毎月の固定費が跳ね上がるからです。さらに、無駄な空間があるせいで「とりあえず置いておこう」と物が増えやすくなり、日々の管理や掃除の負担も倍増します。
過去の私の経験上、「狭いけれど機能的な家」は工夫次第でいくらでも快適に暮らせましたが、「広くて設備の維持が大変な家」は、ズボラの私にはどれだけ頑張っても住み心地が落ち着きませんでした。空間の広さに高い家賃を払うくらいなら、私はその予算を別の場所に回します。
3. 暮らしの負担になりやすかった「古い設備」
水回り(お風呂やトイレ・キッチン)の使い勝手や、備え付けのエアコンなど、あまりに設備が古い物件は暮らしの幸福度(QOL)を著しく下げます。
以前住んでいた家は、窓は広いものの「1重ガラス(シングルガラス)」だったため、冬場は外気がダイレクトに伝わって地獄のように寒かった思い出があります。自分で窓の防寒シートを買い込んで対策をしましたが、結露は酷いし、結局余計なお金と手間がかかりました。
建物の気密性や断熱性が惜しい家は、夏は暑く、冬は寒いため、結果として毎月の電気代(光熱費)が高くなります。 「広くて少し経年変化が進んだ家」より、「狭くても高機能な家」の方が、トータルの光熱費やメンテナンス費用が安く済む場合がほとんどです。
ちなみに今の家は築5年以内。窓はすべて結露とは無縁のペアガラス(複層ガラス)で、電動の自動シャッターも付いています。 以前、手動シャッター付きの家に住んでいたこともありますが、毎日の開け閉めが猛烈に面倒くさく、フルタイムで働いていた平日はずっと閉めっぱなしの「開かずのシャッター」になっていました(笑)。 ボタン1つで開閉できる今の設備は、ズボラな私の脳のメモリを一切消費しない最高の相棒です。
4. 「予算オーバー」のどんぶり勘定な家賃
家賃は毎月確実に口座から引かれていく最大の固定費です。ここをどんぶり勘定で決めるのは、家計にとって一番の命取りになります。
一般的には「家賃の目安は月収の25%〜30%」と言われることが多いですが、我が家の家賃予算は「月収の20%」と、厳しめに設定しています。
「予算より1万円高いだけだから」という油断が、年間12万円、3年で36万円という巨大な重荷になってのしかかってくるからです。固定費を極限まで抑えて浮いた分は、将来のための貯蓄や、自分たちの本当にやりたいことに回したい。
だからこそ今の家を見つけるときも、絶対に妥協はせず、予算内で100点満点の条件が出るまで半年以上も毎日欠かさず物件情報をチェックし続けました。 ここを引き算しない根気強さが、今の「脳のゆとり」を作っています。
5. 私には不要だった「豪華な共用設備」
家賃や予算とあわせて、私が絶対にシビアにチェックするのが「共有部分の設備」です。
結論から言うと、エントランスにある豪華なロビー、絨毯敷きの共有廊下、過度なデコレーションが施された外壁……こういった「生活に不用な設備」がある物件は、私は選びません。
あの豪華なロビー、住んでいる間に一体年に何回使うでしょうか? 私たちはロビーに住むわけではありません。 もちろん、共用ラウンジやジムを日常的に活用する人にとっては価値があると思います。ただ、私自身はそうした設備をほとんど使わないタイプなので、その維持費に毎月お金を払うくらいなら、家賃を下げたり、暮らしの満足度を上げる別のことにお金を使いたいと考えています。
私が共益費を払うなら、豪華なデコレーションではなく、「管理組合がしっかりしていて、共有部分やゴミ回収所の整備、または水道や消防設備といった目に見えないインフラのメンテナンスをちゃんとやっていること」にお金を使いたいと考えます。
他人に自慢するための見栄にお金を使うのをやめ、実質的な安全と清潔さに費用を使う。ここを引き算するだけで、毎月のランニングコストを賢く抑えながら、本当に質の高い暮らしを手に入れることができます。
6. 自転車と徒歩圏内に「私の必要な施設」がない立地
「駅近」というのも、部屋探しでは当たり前のように最優先される条件ですが、我が家はここにも独自の引き算を持っています。
実は今の家、前の家に比べて最寄駅(大きめの駅)からは少し遠くなっているんです。
夫は毎日電車通勤をしていますが、今の家からだと、実は「一つ前の駅(小さめの駅)」を利用することになります。なぜなら、このほうが通勤路線で一駅早く乗れるため、通勤ラッシュ時でも電車の奥の方に入ることができ、最寄り駅で乗ってドア付近に立つより楽だからです。毎朝の満員のストレスを軽減するために、あえて大きな最寄駅から少し離れ、この小さな駅に近い立地を選ぶことが、夫にとっては最高のライフハックでした。
高校生の息子は、大きめの最寄駅の近くにある学校へ毎日歩いて通っています。少し距離はありますが、運動部ではない彼にとっては、自然と体を動かす良い機会になっています。 そして私は、会社員生活を辞めて自宅でのリモートワーク。大きめの駅の目の前に住む必要性はそもそもありません。
大きめの最寄駅周辺は家賃相場が高めですが、一つ前の小さな駅に近づくだけで、家賃はグッと抑えられます。 「最寄駅からは離れるけれど歩ける範囲で、かつ一つ前の駅に近い地域」 そうやってターゲットを絞って探した結果、前の家より面積は狭いものの、築浅で設備が新しく、私たち家族の暮らし方にはずっと合っている今の物件に出会うことができたのです。
数年前に思い切って「自家用車」も手放したため、移動手段は自転車か徒歩のみ。だからこそ、駅からの距離以上に「主に私が、日々の暮らしで必要とする施設が歩ける距離に揃っているか」を重視しました。我が家の周辺には、歩いてすぐの場所に以下の施設が綺麗に揃っています。
スーパー:日々の新鮮な買い物のため
図書館:本を借りて静かに読むのが私の最大の趣味だから
歯医者:現在、歯の矯正中なので定期的な通院に絶対必須
総合内科:ちょっとした体の不調をすぐ診てもらえる安心感
小さなショッピングモール:たまのお散歩や、息抜きにちょうどいい
車を手放し、世間の「駅近」という一律の基準を手放して、家族全員の快適さと私の「お気に入り」が徒歩圏内にギュッと詰まった今の立地を選んだことで、暮らしから「車の維持費」「渋滞のストレス」「満員電車のイライラ」が引き算されました。 毎日、気持ちいい風を感じながらお気に入りの施設へ歩いていく。その時間が、運動不足の解消だけでなく、私の最高のメンタルケア(気分のリフレッシュ)になっています。
最後に:物件選びとは、生き方の「引き算」である
多くの人は、部屋を探すとき「あれも欲しい、これも欲しい」と条件を足し算していき、最終的に予算オーバーになって悩むか、どこかを妥協して後悔します。
でも、本当に大切なのは「自分と家族にとって、何が本当に必要で、何を捨てても平気なのか」という引き算の軸を持っていることです。
「狭くてもいいから、設備が新しくて、私の大好きな図書館とスーパーに歩いて行ける、予算は月収の20%以内の家」
そうやって自分の「これだけは譲れない幸せのコア」が分かっていれば、他人の「映え」や世間の「こうあるべき」という価値観という常識に振り回されることはありません。
家は、見栄を張る場所ではなく、家族がホッと体と心を休めるための聖域です。 あなたが次の家を選ぶとき、その基準が「誰かの目」ではなく、「あなた自身の心からの心地よさ」で満たされますように。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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