【お粥沼⑥】旅の終わり
前回の話はこちら。
台湾雑貨店で八宝粥を手に入れた私は、シェアハウスのキッチンで一人、お粥と向き合っていた。
八宝粥は、缶にある写真の通り芋泥粥とは全然違う見た目だった。あまがし(沖縄風ぜんざい)そっくり。
食べてみると、やっぱり似ている。
小豆と雑穀のプチプチ食感。
一口ずつ、味を確かめながら考える。
そもそも、あまがしってなんだっけ?冷凍あまがしを、毎年給食で食べていた記憶があるけれど。
調べてみると、あまがしは旧暦の5月5日のこどもの日に邪気払いとして食べるものらしい。今年の旧暦は6月19日。
明日ではないか。
さっそく、家族にラインすると、母からこんな返信が入った。「あまがしと言えば、宮古島のお母さんを懐かしく思うよ。おばあちゃんは、ニコニコしながら、あなたたちを待っていた夏休みでしたよ。おじさんも忘れられない味と言ってましたね。」
あまがしは、誰かが待っていてくれた味だったんだ。
そんなことを考えながら、八宝粥をもう一口。
沖縄のあまがしより優しい味は、どこか玄米ジュースを思わせる。
暖かい時期になると、母が鍋いっぱいに玄米ジュースを作ってくれたっけ。あの、お母さんの玄米ジュース美味しかったなぁ。
あまがしについて色々調べているうちに、ある写真に行き着いた。それは、あまがしにココナツミルクを入れたアレンジレシピだった。
見つけた!これだ。
ほんのり薄紫色のそれは、芋泥粥そっくりだった。
やっぱり、あの芋泥粥は、私の懐かしい優しい記憶が詰まっていたんだ。
東京のシェアハウのキッチンで、あの夜、芋泥粥と出会ってから始まった、私の中国粥の旅はいつの間にか自分のルーツを巡る旅になっていた。
沖縄に帰りたい。
私は、今度いつ故郷に帰れるのだろうか。
