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富士山から考える、ネイチャーポジティブツーリズム

 お正月といえば、富士山!
 筆者が住んでいる、東京都 国分寺・国立エリアでは、富士山がとても綺麗に見えるスポットがいくつもあります。みなさん、立ち止まって、富士山をみています。
 さて、今日は、「富士箱根伊豆国立公園」を取り上げようと思います。
 今、一番ネイチャーポジティブの検討が必要な場所は、日本で来訪者が最も多い国立公園、「富士箱根伊豆国立公園」かもしれません。霊峰富士から箱根、伊豆半島、伊豆諸島までを包含し、火山地形と温泉、森林、海岸、島嶼が連なる、日本を代表する国立公園です。来訪の集中は自然への負荷を生みます。とりわけ富士登山では、混雑や安全面を含めた「オーバーツーリズム(観光の過密による生活・環境への悪影響)」が社会課題化し、関係機関は2025年シーズンの対策として、事前学習の修了、夜間入山における山小屋宿泊要件、入山料4,000円の納付などを組み合わせたパッケージが準備されています。自然にとってプラスを積み上げる仕組みとして再設計するための方針とプロセスはどのように設計できるのでしょうか?今日は、「富士箱根伊豆国立公園」とネイチャーポジティブツーリズムについて整理します。今日も楽しんでいってくださいね。

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サマリ編

世界が注目する「富士箱根伊豆」の現実と未来:観光客の失望を「ネイチャーポジティブ」に変える方法

 「富士箱根伊豆国立公園」は、富士山という象徴的な山岳景観、箱根の火山と温泉、伊豆半島の海岸線と里山、そして伊豆諸島の火山島までを含む、極めて多様な自然と人間活動がモザイク状に重なる場所です。エコスポットであり、スピリチュアル、リラクゼーション、そしてアクティビティの拠点として、世界中から人々が集まります。しかし今、この場所で「理想と現実のギャップ」が生まれています。 本記事では、国や地域ごとの楽しみ方と「失望」のポイントを分析し、そこから導き出される新しい観光のあり方――「ネイチャーポジティブツーリズム」への転換について論じます。

※ こちらの音声ガイドとともにどうぞ(わかりやすいです)

1. 現状:世界はどう見ているか? 国・地域別「楽しみ方」と「ガッカリ」の本音

 富士箱根伊豆国立公園は広大(陸域約12万ha、海域約4万ha)で、都県にまたがります。アクセスが良いために「特定の日時・場所」に来訪が集中します。 環境省では、「国立公園満喫プロジェクト」などで保護と利用の好循環を掲げていますが、これをさらに一歩進め、「生物多様性の回復」という成果指向にアップデートが期待されています。
 2023年から2025年の観光データやSNS(X等)の投稿分析によると、どの地域の観光客も「富士山の美しさ」と「温泉」には共通して魅了されています。しかし、その楽しみ方のスタイルや、エコツーリズムに対する期待値には明確な違いがあります。全体として、観光客は「混雑」「ごみ」「施設の不備」「環境破壊」に失望しています。エコツーリズムとして「自然との調和」を謳いながら、実際にはオーバーツーリズムが環境保全を上回っている現状が、世界中の来訪者に「サステナブルではない」という印象を与えています。

日本人観光客:気軽なリラックスと混雑への疲弊 
【楽しみ方】
家族連れや日帰りの個人旅行が中心です。箱根での温泉、富士五湖でのピクニック、季節の花見など、リラックスと文化的な親しみやすさを重視します。
【ガッカリしている点】 最大の不満はオーバーツーリズムです。特に富士山登山道でのごみの散乱やトイレの汚れ、渋滞によるストレスが、環境負荷を高めていると感じています。

東アジア(台湾・韓国・中国):SNS映えと効率、そして管理への不満

訪日外国人の約75%を占めるこの層は、近距離・短期間旅行が主流です。

  • 台湾: 富士山の絶景や温泉への親和性が高い一方、混雑で静かな自然散策が台無しになることや、伊豆のビーチでの海洋プラスチックごみに対し、敏感に反応しています。

  • 韓国: 美容・ウェルネス(温泉)や季節イベントを好みますが、トイレの衛生面や過度な商業化に対し「エコではない」と厳しい目を向けています。

  • 中国: 大人数ツアーでのショッピングやSNS映えスポット(コンビニ越しの富士山など)を重視します。しかし、ベースステーションのゴミ箱が溢れている様子や、排気ガスによる空気の汚れに対し、管理の甘さを指摘する声があります。

東南アジア:気候のコントラストと海洋汚染への懸念

【楽しみ方】 温暖な自国との気候のコントラストや、伊豆でのシュノーケリング、伊豆諸島のイルカスイムなど、海や冒険活動に魅力を感じています。 【ガッカリしている点】 ビーチリゾートとしての期待が高い分、海岸の浸食やごみの散乱といった海洋環境の問題に失望しています。観光収入優先で、低影響(ローインパクト)の原則が守られていないと感じています。

欧米・オーストラリア:深い自然体験とサステナビリティへの厳しい視線

【楽しみ方】 長期滞在を前提に、深い自然への没入や文化的な文脈(箱根八里などの歴史道)を求めます。オーストラリア人は地質への興味が高く、欧米人は「本物(Authenticity)」を重視します。
【ガッカリしている点】 彼らは最も環境意識が高く、批判的です。

  • オーストラリア: 日帰り登山(弾丸登山)によるCO2排出やトレイルの侵食を「持続不可能」と断じています。

  • アメリカ: 野生動物への影響や、施設のオーバーロード(許容量超過)による体験の質の低下を指摘しています。

  • 欧州: 商業化されすぎた観光地は「UNESCO世界遺産としての地位を脅かしている」と感じ、国際的な環境管理基準に達していないことに失望しています。

2. 分析:富士箱根伊豆が示す「日本型エコツーリズム」の可能性

欧米のエコツーリズムがしばしば「原生自然の保護(人の排除)」を志向するのに対し、富士箱根伊豆には独自の文脈があります。

  • 富士山: 信仰の対象として「登拝」を受け入れてきた歴史。

  • 箱根: 温泉地としての開発と、火山・森林保全を両立させてきた歴史。

  • 伊豆: 漁業や農業と結びついた生活文化が、生態系と不可分であること。

 つまり、ここでは「自然を背景にした観光」ではなく、「自然と共にある暮らしを訪問者とどう共有するか」という視点が根底にあります。自然を守るために人を減らすだけが答えではなく、適切に関わることで価値を高める「日本型モデル」の可能性があります。

  1. 圧倒的な訪問者数: 負荷であると同時に、正しく設計すれば巨大な保全資金と環境意識の源泉になります。

  2. 「実験場」としての適性: 首都圏に近く知名度が高いため、持続可能なモデルを社会実装する場として最適です。

  3. 多様なステークホルダー: 行政、事業者、住民、研究者が重なり合うことで、例えば「観光体験=保全活動(ビーチクリーンツアー等)」といった重層的な設計が可能です。

3. 課題解決方向性:「マイナスを減らす」から「プラスを生む」へ:ネイチャーポジティブ観光

 これからの方向性は明確です。環境負荷を単に減らすだけでなく、自然の状態をより良くする「ネイチャーポジティブ(自然再興)」への転換です。

  1. 自然への負荷を最小化するだけでなく、「保全・回復の成果」が測れる形で上乗せされること。

  2. その仕組みが、寄付やボランティア頼みではなく、「旅行商品やオペレーション」の中に構造的に組み込まれていること。

4. 実装プロセス:5段階のロードマップ

 ネイチャーポジティブは宣言ではなく「運用」が勝負です。以下のプロセスで進めることが現実的です。

  1. ガバナンス設計と合意形成: 行政だけでなく、交通、宿泊、ガイド、住民を含む意思決定の場を固定します。

  2. ベースライン把握: データが完璧に揃うのを待たず、既存データと現地観察で「どこに負荷が集中し、自然に何が起きているか」の現状値を把握します。

  3. 2030年目標とルールの設計: 地域別に「守るべき指標」と、夜間入山規制や立入条件などの「運用ルール」を策定します。

  4. 施策パッケージの実装: 予約システム、運賃設計、現地スタッフ配置、広報をセットで動かします。

  5. モニタリング・報告・適応管理: 結果を評価し、次年度の改善につなげます。これを単発の活動ではなく、毎年の業務フローにします。

5. 「ネイチャーポジティブ」に移行する5つのアクション

  富士箱根伊豆国立公園におけるネイチャーポジティブツーリズムの鍵は、運用を作り替えることです。2030年に向けて自然損失の反転に寄与する世界的な観光地モデルとなること。それが、観光客の「失望」を「希望」に変えることができます。具体的に試すべきは、特に交通の動線において、以下の5点です。交通において施策を実施することが、国立公園に来ることすら叶わないため、最も効果的な手段と思われます。

  1. 予約と運賃でピークを削る: ピーク時の増便で対応するのではなく、ピーク回避を促す運賃や時間帯指定枠により、「混雑を起こさずに運ぶ」モデルへ転換します。

  2. 交通情報の標準化で分散させる: 運行データを標準化(GTFS等)し、混雑や遅延を可視化することで、旅行者の行動分散を促し、結果として自然負荷の集中を防ぎます。

  3. ラストワンマイルの低負荷化: 駅から先の数キロを、車ではなく徒歩、自転車、電動モビリティでつなぎます。これを単なる観光商品ではなく、渋滞緩和と環境負荷低減の手段として位置づけます。

  4. 運賃収入を回復事業に連動させる: 運賃の一部を、歩道修繕や外来種対策などの保全事業に組み込みます。「自然共生サイト」などの認定制度と接続すれば、投資の透明性も確保できます。

  5. 現場スタッフを「ルールと体験の媒介者」にする: 運転士や駅係員が、マナー啓発だけでなく「なぜそのルールが必要か」を伝えられるよう研修します。体験はルールとセットであって初めて価値を持ちます。

▼ビデオサマリ

動画サマリ(6分30秒)

詳細編:富士箱根伊豆国立公園のネイチャーポジティブツーリズムを考える

 富士箱根伊豆国立公園は、世界中から多くの人々が訪れる人気の観光スポットです。本公園の面積は161,202ヘクタールで、陸域が121,755ヘクタール、海域が39,447ヘクタール(伊豆半島地域の海域面積は未算出のため伊豆諸島地域分のみ)とされています。都県にまたがり、東京都・神奈川県・山梨県・静岡県が関係します。自然資本(自然が持つ価値の源泉)の面でも、地域ごとに保全対象が異なります。箱根では仙石原湿原などの湿性植物群落があり、伊豆半島では天城連山に太平洋側として貴重なブナ自然林が大規模に残るとされます。伊豆諸島では渡り鳥の経路として鳥類相が多様で、御蔵島周辺海域などにはミナミハンドウイルカが生息し、ルールを守ったイルカウォッチングが行われています。
 この公園は、エコスポットとして自然を楽しむ場であり、スピリチュアルスポットとして心の癒しを提供し、リラクゼーションスポットとしてゆったりとした時間を過ごせ、アクティビティスポットとして冒険的な体験が可能な場所です。富士山という象徴的な山岳景観、箱根の火山と温泉、伊豆半島の海岸線と里山、そして伊豆諸島の火山島までを含む多様な自然と人間活動がモザイク状に重なり合った空間が魅力です。世界の人々がこのスポットをどのように楽しんでいるのか、観光客の皆さんが何を望んでいるのかを、国や地域別に探っていきます。

富士箱根伊豆国立公園の標準的な楽しみ方と国・地域別の違い

 この公園の楽しみ方は、主に4つのエリアに分かれます。富士山エリアでは、富士五湖周辺の絶景を楽しんだり、季節の登山(7〜9月のみ)をしたり、朝日や夕焼けの撮影をしたりします。箱根エリアでは、大涌谷の噴煙を見学したり、芦ノ湖の遊覧船に乗ったり、箱根ロープウェイを利用したり、温泉巡りをしたりします。伊豆半島エリアでは、海岸でのシュノーケリングや熱海・下田のビーチ、伊豆高原のSNS映えスポットを満喫します。伊豆諸島エリアでは、火山島の探検やイルカとの泳ぎ、海中洞窟の探検が人気です。これらのエリアでは、アクティブな登山・サイクリング・カヤックから、ゆったりとした温泉入浴、植物園・博物館巡りまで、多様な楽しみ方が可能です。訪客センターでは、地図や生態情報が提供されます。

 どの地域の観光客も、富士山の眺めや温泉を最も重視しますが、文化的な近さ、旅行距離、グループの規模によって楽しみ方が異なります。富士山登山は夏季限定で、事前予約と安全対策が必須です。箱根の火山地帯と芦ノ湖遊覧船、伊豆の海岸でのシュノーケリングやカヤック、伊豆諸島でのドルフィンスイムなどが全体的に人気です。近隣のアジア諸国(台湾・韓国など)の観光客は短期間で頻繁に訪れますが、遠方の欧米諸国からの観光客は長めの日本旅行の一部として訪れます。グループ規模も異なり、中国からの観光客は大人数ツアーが多く、オーストラリア人は個人旅行が多い傾向です。

 具体的に国・地域別に見てみます。

 日本人観光客は、家族連れや日帰りでリラックスした温泉や季節の花見を好み、気軽さが特徴です。典型的なグループ規模は家族連れ・日帰り・個人旅行で、主な活動は箱根温泉、富士五湖ピクニック、季節の花見、短時間ハイキングです。滞在期間は日帰りから週末で、リラックス重視、文化的な親しみやすさ、気軽な近場旅行が独特な好みです。よくある課題は国内混雑による渋滞や国際観光客との混雑回避です。

 台湾からの観光客は、家族・友人グループでパッケージツアーを利用し、富士山絶景撮影、箱根ロープウェイ、大涌谷黒たまご、温泉を主な活動とします。滞在期間は3〜5日で頻繁にリピートし、温泉・自然への親和性、SNS映え、ショッピングを好みます。言語障壁が少なく効率的な行程を好む点が特徴で、よくある課題はそれでも混雑です。

 韓国からの観光客は、カップル・小グループでツアー+個人旅行をし、箱根火山探検、芦ノ湖クルーズ、伊豆海鮮グルメを楽しみます。滞在期間は4〜7日で高頻度、美容・ウェルネス(温泉)、季節イベント(桜・紅葉)を独特な好みとし、ピーク時期の混雑回避が課題です。礼儀正しさで評価が高いです。

 中国からの観光客は、大人数ツアーやバスツアーで、富士山インスタスポット(コンビニ風景など)、団体温泉、伊豆SNS映えスポットを活動とし、滞在期間は5〜10日です。SNS映え、ショッピング、グループ食事が好みで、富士山でのゴミ問題や混雑時のマナー教育が必要な課題です。

 東南アジア(タイ・ベトナム・フィリピンなど)からの観光客は、家族・冒険グループで新興予算旅行をし、伊豆ビーチシュノーケリング、伊豆諸島ドルフィンスイム、森ハイキングを主な活動とします。滞在期間は7〜10日で増加中、温暖な気候とのコントラスト、海洋アクティビティ、ハラル対応を好み、予算重視でムスリム旅行者増加が特徴です。

 オーストラリアからの観光客は、個人旅行・カップルでドライブ・エコツアーをし、富士山登山、伊豆サイクリング、伊豆諸島火山探検を楽しみます。滞在期間は10〜14日で長旅の一部、アウトドア・自然浸透、地質への興味(オーストラリアとの類似)を好み、距離が遠いため徹底した計画をし、静かな場所を求める点が課題です。

 アメリカからの観光客は、家族・個人でガイドツアー+個人旅行をし、富士山登山挑戦、箱根歴史散策、海洞窟カヤックを活動とし、滞在期間は7〜14日でバケットリストです。精神性・文化体験、写真・歴史、持続可能な観光を好み、東京〜京都の行程に組み込みやすいです。

 欧州(イギリス・ドイツ・フランスなど)からの観光客は、小グループ・個人で文化・エコツアーをし、箱根植物園、伊豆海岸散策、富士山歴史道(箱根八里)を楽しみます。滞在期間は10〜21日で探索型、芸術・歴史的魅力(浮世絵の影響)、ゆったりした浸透を好み、混雑回避、真正性重視が課題です。

 これらの違いは、地理的近接性、文化的な親和性、経済的背景、旅行動機によって生じます。東アジア(台湾・韓国・中国)は全体の訪日外国人の約75%を占め、近距離・短期間旅行が主流です。一方、オーストラリア・アメリカ・欧州からの観光客は長めの滞在で深い体験を求めます。2023〜2025年の観光データ(訪日外国人約844万人、国立公園訪問者数)に基づくと、東アジアからの観光客は近距離の利便性とSNS効果を重視し、欧米からの観光客は自然の深みや歴史的背景を求める傾向が強いです。例えば、日本人は気軽に温泉を楽しむ一方、欧州人は箱根の古道(東海道)を歩いて歴史を感じます。まとめると、どの地域の観光客も富士山の美しさと温泉に魅了されますが、アジア系はグループ・SNS・効率重視、欧米系は個人・自然深掘り・文化浸透を好む傾向があります。研究によると、アジア系はSNS映えスポット、欧米系は静かな自然や歴史的文脈を重視する傾向があり、近年はオーバーツーリズムが全グループに共通の課題となっています。オーバーツーリズム対策が進む中、多様な楽しみ方が共存する持続可能な観光が今後の鍵となります。

SNSで見る、富士箱根伊豆国立公園のエコツーリズム

 Grok4に依頼して、国別にXを中心に各国500件ほどの投稿を調査してもらいました。文化的背景によりエコツーリズムへの期待と認識はかなり異なりますが、共通テーマは「公園の自然美」、「火山」、「リラクゼーション」、「冒険の機会」です。持続可能なガイド付きハイクや低影響活動が評価されています。

 日本では、自然と文化の調和を重視します。公園記念行事、自然でのアマチュア無線活動、季節ハイクが人気で、伝統景観と生物多様性の保全を強調します。POTA(Parks on the Air)活動の投稿、神社・トレイルの精神的・生態的バランス評価が見られます。

 台湾では、風景撮影とウェルネスを重視します。温泉と富士山眺めのデイトリップ、低混雑での平和的没入が人気で、断崖絶壁と海・富士の景色、癒しの自然体験が評価されます。

 韓国では、温泉と象徴的眺めを重視します。火山探検と文化逃避、家族向けウェルネスツーリズムが特徴で、芦ノ湖・ロープウェイの家族エコアドベンチャー評価が見られます。

 中国では、自然奇観とリラクゼーションを重視します。生物多様性・温泉、冒険と遺産保全の融合が人気で、クレーター湖・海食洞窟評価、保全努力を価値付けます。

 東南アジアでは、アウトドア活動とビーチを重視します。海岸・島の低影響探検、野生動物と最小環境負荷が特徴で、険しい岬・ハイキングの静けさ追求、エコ意識高い旅行者向けです。

 オーストラリアでは、絶景と温泉を重視します。富士山などの劇的景観、文化的深みのある没入体験が人気で、富士眺めとリラクゼーションのアクセス性評価が見られます。

 アメリカでは、ガイドツアーと象徴的スポットを重視します。新幹線アクセスでの世界クラス美、教育的エコ側面が特徴で、バスツアー・富士山の家族アピール、絶景評価が挙げられます。

 欧州では、ハイキングと生物多様性を重視します。オフビートパスと火山特徴、再生的探検が人気で、トレイル・自然リトリートの最小害と文化統合評価が見られます。

富士箱根伊豆国立公園のエコツーリズムにおける観光客のがっかり点

 この国立公園は、アクセスが良く、日帰り圏から大量の来訪が発生しやすいこと、区域が広域分散であること、富士登山や紅葉期など季節・時間帯に需要が集中しやすいことが、自然負荷と混雑の「偏り」を生みます。この偏りは、同じ人数でも影響を増幅させます。例えば、一定区間に歩行が集中すれば踏みつけで植生が傷み、渋滞が集中すれば排気・騒音・景観阻害が増える、という具合です。

 レビューから、観光客ががっかりする主な点は、オーバーツーリズムによる混雑、ごみの散乱、環境破壊、施設の不足です。これらは持続可能性を損ない、エコフレンドリーでない印象を与えています。証拠は主に一般的なレビューや記事からで、国別データは限定的ですが、全体として共通の懸念が見られます。これらの失望は、観光客の増加が環境保全を上回っているためで、UNESCO世界遺産としての地位を脅かしています。全体的に、オーバーツーリズムの悪影響を強調し、エコツーリズムの理想と現実のギャップを示しています(主にウェブ検索やレビューサイトから収集したものです)。データが一般的なため、推定を含む点にご注意ください。将来的には、入場料の導入やアクセス制限が有効ですが、実施状況は監視が必要です。

 日本人観光客の場合、オーバーツーリズムが目立ち、富士山の登山道でのごみやトイレの汚れが環境負荷を高めていると感じています。富士山の登山シーズンに4百万人が訪れることで、登山道にプラスチックごみや衣類が散乱し、火山灰の斜面を損傷させている点が挙げられます。また、トイレの故障や汚れが頻発し、衛生面が強調されます。箱根エリアでは、観光バスやロープウェイの行列が長く、静けさを楽しめないため、エコツーリズムが損なわれているとの声があります。これらの問題は、地元住民の生活にも影響を及ぼし、観光依存の経済が環境を犠牲にしている印象を与えています。

 台湾からの観光客は、自然の美しさを求める傾向が強く、富士山の眺めや温泉を目当てにしますが、混雑とごみの問題でがっかりするケースが多いようです。特に、伊豆半島のビーチエリアでプラスチック廃棄物が見られる点が、海洋汚染の懸念を呼び起こします。また、箱根の温泉施設周辺の交通渋滞が排出ガスを増やし、持続可能な観光ではないと指摘されます。レビューでは、台湾語の投稿やコメントで、期待した静かな自然散策が混雑で台無しになり、環境保全の取り組みが不足していると不満が述べられています。サステナブルでない理由として、管理体制の弱さを挙げています。

 韓国からの観光客も、公園の火山地形や温泉をエコツーリズムのハイライトとして訪れますが、がっかり点としてごみと施設の不備を強調します。韓国人観光客のレビューでは、富士山登山道のトイレが汚く、混雑で待ち時間が長くなるため、非衛生でエコではないと感じています。また、観光地の過度な商業化が自然環境を損ない、持続可能性を欠いている点が批判されます。箱根のロープウェイ周辺でごみが散見され、野生動物への影響を懸念する声もあります。全体として、韓国からの視点は、環境教育の不足がサステナブルでない要因だとまとめられます。

 中国からの観光客は、大規模なグループ旅行が多く、公園のエコツーリズムで混雑自身が問題視されます。中国人観光客のレビューでは、富士山のベースステーションが人で溢れ、ごみ箱が満杯で溢れる様子が非エコフレンドリーだと指摘されます。特に、登山中のプラスチックごみや衣類の廃棄が環境汚染を招き、持続不可能と感じています。伊豆半島の海岸で海洋ごみが目立つ点も、観光開発の負の側面として挙げられます。また、バスや車の排出ガスが空気を汚し、自然の新鮮さが失われているとの不満があります。中国語のコメントでは、期待した自然癒しが混雑でストレスになり、環境負荷が高いとまとめられます。

 東南アジアからの観光客は、ビーチや自然探検を求めるため、伊豆半島の環境問題でがっかりします。東南アジア諸国(インドネシア、タイなど)の観光客レビューでは、観光開発による海岸の侵食やごみの散乱がエコではないと批判されます。特に、プラスチック汚染が海洋生態系を脅かし、持続可能な観光ではないと感じています。箱根の温泉エリアで混雑が激しく、自然の静けさが失われる点も不満です。レビューでは、東南アジア語の投稿で、期待したエコ体験が汚染で台無しになったと述べられています。

 オーストラリアからの観光客は、自然保護意識が高いため、公園のオーバーツーリズムを強く批判します。オーストラリア人レビューでは、富士山の登山道でごみやトレイルの浸食が目立ち、環境損傷が持続不可能だと指摘されます。特に、日帰り登山の増加がCO2排出を高め、エコフレンドリーでないと感じています。箱根の施設でトイレの汚れやごみ箱の不足が、非衛生でサステナブルでない理由です。また、国際的な視点から、UNESCOの基準を満たしていない点ががっかりです。これにより、エコツーリズムの理想が現実と乖離し、管理の改善を求める声があります。

 アメリカからの観光客は、アウトドア活動を重視し、混雑とごみの問題でがっかりします。アメリカ人レビューでは、富士山のベースでごみが散乱し、野生動物への影響が懸念され、エコではないと批判されます。特に、観光バスによる汚染やトレイルの破壊が持続可能性を損ないます。また、施設のオーバーロードが自然体験を妨げ、期待外れです。これらの理由から、エコツーリズムの教育不足が問題視されます。

 欧州からの観光客は、持続可能性を重視し、公園の環境管理の甘さを指摘します。欧州人レビューでは、富士山の登山でごみと混雑が激しく、CO2排出が増大し、エコフレンドリーでないと感じています。特に、トレイルの浸食やトイレの故障が自然破壊を招き、サステナブルでない理由です。箱根の商業化が静かな自然を損ない、UNESCOの地位に相応しくない点ががっかりです。また、国際比較で、管理体制の遅れを批判します。これにより、エコツーリズムの全体像が崩れ、改善を求める声が強いです。

富士箱根伊豆だからこそ示すことができる「日本型エコツーリズム」

 エコツーリズムとは、自然環境の保全、地域文化の尊重、地域経済への貢献を同時に成立させるための運営思想です。本来、富士箱根伊豆国立公園では、この三要素が歴史的に絡み合ってきました。

 第一に、富士山は信仰の山として長く人の往来を受け入れてきました。登拝という形で利用されてきた歴史が、現在の来訪者管理の思想の下地になっています。第二に、箱根は温泉地としての観光開発と、火山地形・森林生態系の保全を並行して進めてきた地域です。人が滞在し、癒やしを得ること自体が地域の価値を高めてきました。第三に、伊豆半島と伊豆諸島では、漁業や農業と結びついた生活文化が、海洋生態系や火山島の自然と不可分の関係にあります。これらを貫く共通点は、「自然を背景にした観光」ではなく、「自然と共にある暮らしをどう訪問者と共有するか」という視点です。ここに、欧米型の原生自然保護とは異なる、日本のエコツーリズムがあります。

 エコツーリズムを、この地から考える理由は三つあります。一つ目は、訪問者数の多さです。富士箱根伊豆国立公園は、国内外から膨大な数の来訪者を受け入れています。これは負荷であると同時に、正しく設計すれば保全資金と環境意識を生み出す源泉になります。二つ目は、都市圏との近さと知名度です。首都圏から短時間で到達できる最高に有名なこの公園は、持続可能な観光のモデルを社会に実装する「実験場」として機能します。三つ目は、多様なステークホルダーが存在する点です。自治体、観光事業者、地域住民、一次産業、国内外の観光客、研究者が重なり合うことで、単線的ではないエコツーリズムの設計が可能になります。例えば、伊豆半島では海岸清掃や磯の生態観察を組み込んだツアーが、観光体験であると同時に環境保全活動として成立しています。体験を通じて「楽しさ」と「守る理由」を同時に理解してもらうことが重要であり、これが要点です。

 一方で、すでに見てきたように、第一に、オーバーツーリズムです。特定の時期・場所に人が集中することで、生態系への影響と来訪者満足度の低下が同時に起きています。第二に、地域ごとの運営能力の差です。エコツーリズムを実装するにはガイド育成やデータ管理が不可欠ですが、地域によって体制にばらつきがあります。第三に、経済的持続性です。環境に配慮した取り組みが、事業者の負担だけになってしまうと長続きしません。これらの課題に対し、「来訪者を減らす」だけが答えではありません。むしろ、来訪者一人当たりの価値を高め、自然への理解と貢献を組み込む設計が求められています。

これからの方向性——ネイチャーポジティブ観光へ

 富士箱根伊豆国立公園に求められるのは、自然への負荷を単に減らす「マイナスを小さくする観光」から、自然やトレイルの状態をより良くする「プラスを生む観光」への転換です。具体的には、来訪者データに基づく入域管理、地域ごとの自然資本の見える化、環境保全活動と観光消費を結びつける仕組みが鍵になります。富士箱根伊豆国立公園は、日本が世界に示せる「人が多く訪れる場所でも、エコツーリズムは成立する」というロールモデルになりえます。

 旅行・観光分野では、今、「影響を減らす」だけでなく「ネイチャーポジティブ(保護と回復に貢献する)」方向へ議論が進んでいます。世界旅行ツーリズム協議会は、2030年までに旅行・観光産業が「ネイチャーポジティブ」の考え方を採用し、供給網(サプライチェーン)を含めた影響低減と、自然を守り回復する行動を取ることを提案しています。

 これを国立公園のツーリズムに翻訳すると、自然への負荷を「最小化」するだけでは足りず、保全・回復の成果が測れる形にすることが新たにポイントとなります。また、成果を出す仕組みが、旅行パッケージに組み込まれていることです。つまり、善意の寄付や単発の美化活動ではなく、予約・運賃・動線・情報提供・人材配置といったオペレーションそのものが、自然の回復に寄与する仕組みになっている必要があるわけです。

 日本の環境省は国立公園満喫プロジェクトで「保護と利用の好循環」を掲げ、ブランド力向上、滞在時間の延伸、そして地域の主体が協働して経済社会を活性化し、自然環境の保全へ再投資される好循環を生むことを目指しています。また国立公園オフィシャルパートナーシッププログラムは、企業・団体と環境省が協力し、景観と滞在の魅力発信を通じて利用者拡大を図りつつ、保全理解の深化と地域活性化につなげる枠組みとして呼び掛けられています。2024年12月時点でオフィシャルパートナーは146社とされており、交通事業者を含む多様な企業が参画しています。ネイチャーポジティブツーリズムの整備は、この既存方針を「生物多様性の回復」という成果指向にアップデートすることだと捉えると可能性が見えてきます。

 富士箱根伊豆国立公園でネイチャーポジティブツーリズムを導入するのであれば、次の4つを整備方針(設計原則)が考えられます。

「保全成果」は何であるかを先に定義する:何を回復させるのか(例えば、踏みつけに弱い植生、湿原の水文環境、海域の野生生物への攪乱低減)を、場所ごとに定義します。保全の話を「大切です」で終わらせず、対象と指標で語れる状態にすることで、目標が明確になります。

「許容される変化の限界」を運用する:いわゆる収容力は「何人まで」という単純な人数ではなく、「環境と体験の質がどこまでなら許容できるか」を定め、逸脱しそうなら管理手段を動かす考え方です。保護地域の観光管理では、この種の枠組が国際的にも重視されています。実際に、多くのビジターが限界を超えていると感じています。

お金と行動を連動させる:混雑期・混雑地点ほど負荷が高い以上、予約・料金・運行計画・情報提供を通じて、分散と保全行動が「得になる」設計にします。混雑するところは値段を上げて、ゴミ持ち帰りなどに応じてPaybackするなどです。単なるお願いでは行動は変わりません。モニタリングと改善を、お金と連動させます。

制度化する:実装して終わりではなく、データを集め、関係者で検証し、翌年に見直すことを仕組みに組み込みます。富士登山対策でも、実施状況を確認し共有・分析し、次年度に必要に応じ見直す、という流れです。この行動を行うと宣言することで、定期的に訪れたいと思っている人たちにとっての期待事項にもなり、より協力しやすくなります。

具体的なステップアップ

 富士箱根伊豆国立公園でもしも導入を検討するのであれば、カスタマイズするというよりは、国際的なテンプレートに則って、オーソドックスに進めることが国際的な観光客にとって、わかりやすいと思われます。

(1) ガバナンス設計と合意形成: 最初に、誰が意思決定し、誰が実行し、誰が負担し、誰が恩恵を受けるかガバナンスを全体デザインします。ここでいうガバナンスとは、意思決定と責任の仕組みのことです。都県をまたぐ公園では、行政だけで完結しません。旅行・交通、宿泊、ガイド、自然保護、地元住民、研究機関を含む協議体が必要です。具体的には、環境省のオフィシャルパートナー枠組を「情報発信」だけでなく「管理と投資の連携」に使う、と最初に位置づけ直すと、民間の参加動機が作りやすくなるので良いかもしれません。

(2) ベースライン把握とリスク・影響評価:次に、自然の状態と、来訪による圧力の関係をベースラインとして見える化します。ベースラインとは「比較の出発点となる現状値」です。ここでは、自然関連財務情報開示タスクフォース(自然に関するリスクと影響を企業が開示する枠組)で示されるように、ガバナンス、戦略、リスクと影響の管理、指標と目標という骨格で整理すると、民間も参加しやすくなります。重要なのは、データが揃うまで待たないことです。まずは「どこに、いつ、何が集中しているか」「その時に自然側で起きている変化は何か」を、既存データと現地観察で仮説化し、優先順位をつけます。

(3) 2030に向けた目標と管理ルールの設計:ネイチャーポジティブの国際定義は2030年の反転を軸にしています。公園でもネイチャーポジティブの目標を設定した上で、同じ2030年までの軸で地域別に「守るべき指標」と「運用ルール」を作ります。例えば、夜間入山の扱い、特定エリアの立入条件、野生生物観察のルールなどです。この段階で、国際的な持続可能観光の基準(グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会の基準など)を参照し、評価項目を国内外に通用する形に整えることができるでしょう。

(4) 施策パッケージの実装:ここで初めて、具体施策を動かします。施策は「守り」と「使い方」を同時に変える必要があります。典型は、時間・場所の分散(予約や運賃の設計)、低負荷移動への転換(公共交通の利便性と情報の改善)、現地の受入環境整備(案内、トイレ、歩道、清掃、監視)です。富士登山の対策パッケージが示すように、ウェブシステム、現地スタッフ配置、周知広報をセットで設計し、運用状況を確認して改善する、という実装思想が重要です。オーバーツーリズムになっている状態から考えれば、各種アクセスに対して値上げして資金を確実に回収する仕組みが望まれます。

(5) モニタリング、報告、適応管理:最後に、実施結果を評価し、次年度に改善します。これは「報告書を書く」作業ではなく、運用そのものです。国立公園満喫プロジェクトでも、オフィシャルパートナーとの連携が、寄付や登山道整備ボランティア、外来種対策など多様な形で展開されていると整理されています。こうした活動を、単発の美談にせず「自然の状態がどう変わったか」まで結びつけて評価し、公表します。

移動の視点から試みるべきこと:移動を「ネイチャーポジティブの装置」に変えることとして、まず試すべきことを5つに整理します。

(1) 予約と運賃で、ピークを削り、オフピークを育てる:富士登山の入山規制・料金の議論が示す通り、予約や料金は、資金調達手段であると同時に、行動変容の手段です。旅客側でも、ピーク時間帯の増便ではなく、ピーク回避を促す運賃設計、時間帯指定の乗車枠、周遊パスの利用条件設計など、「混雑を前提に運ぶ」から「混雑を起こさず運ぶ」へ転換する余地があります。

(2) 交通情報の標準化と可視化で、分散を実現する:分散は、情報がなければ起きません。箱根では、箱根登山バスと伊豆箱根バスの交通データを公共交通データの標準形式(General Transit Feed Specification)にそろえ、地図サービス上でより精度の高い交通情報提供を検討し、データのオープン化も進める実証が整理されています。旅客事業者が自社の運行データを標準化し、混雑や遅延を見える化できれば、旅行者は「行ってみたら大渋滞」という失敗を避け、結果として自然負荷の集中も緩和します。

(3) ラストワンマイルを低負荷化し、車依存を減らす:国立公園の混雑は、多くの場合「最後の数キロ」で起きます。駐車場、狭い道路、人気スポットへの導線です。旅客事業者は、鉄道駅や港から先を、徒歩、自転車、電動自転車、乗合交通でつなぐ設計に投資すべきです。環境省の公園サイトでも、里山での電動自転車サイクリングなど、自然体験のコンテンツが提示されています。これを「観光商品」ではなく「混雑緩和と自然負荷低減の手段」として組み込みます。

(4) 運賃収入の一部を、回復事業に連動させる:ネイチャーポジティブは、自然への投資を避けて通れません。旅客事業者が単独で保全事業を行う必要はありませんが、運賃の一部を、歩道修繕、湿原保全、外来種対策、海域の監視など、管理主体が優先度を付けた回復事業に連動させることは可能です。国立公園満喫プロジェクトでも、商品販売や電子マネー売上の一部寄付など、再投資の仕組みが取り上げられています。さらに2025年以降、日本では「自然共生サイト」という枠組が法制化され、民間の保全取組を認定する制度が進んでいます。公園外縁部や周辺流域での回復投資を、認定サイトや自治体計画と接続できれば、投資の透明性と説明可能性が上がります。

(5) 現場スタッフを「ルールと体験の媒介者」に育てる:最後は人です。運転士、船員、駅係員、宿泊事業者は、旅行者にとって最初に接する「公園の顔」になり得ます。伊豆諸島のイルカ観察がルール順守を前提としているように、体験はルールとセットです。旅客事業者は、マナー啓発の一言で終わらせず、なぜそのルールが必要かを短く説明できるように研修を設計し、違反が起きやすい局面(夜間移動、繁忙期の臨時便、人気停留所)での声かけと導線設計を標準業務にします。

 例えば、富士登山では、事前学習、時間帯制限、入山料などを組み合わせ、ウェブシステムと現地スタッフ配置で運用し、結果を共有して翌年に見直すことまで含めた「管理の仕組み」がパッケージ化されています。このように、予約・料金・人員・情報・投資・検証が一体になった運用系を作ることがポイントです。すでに、運用系の中核部品を持っています。

成果指標:何を測れば「ネイチャーポジティブ」と言えるのか

 ネイチャーポジティブは、測れないと改善できません。ただし、生物多様性は二酸化炭素のように単一指標で割り切れません。そこで本公園では、場所別に指標を設定しつつ、全体としては4カテゴリで管理するのが現実的です。
自然状態の指標:植生の被度、湿原の水位や水質、特定種の確認頻度など、回復の「結果」を測ります。
圧力の指標:登山道・遊歩道の侵食、混雑密度、騒音、廃棄物量など、負荷の「原因」を測ります。
対応の指標:修繕延長、保全投資額、保全活動参加者数など、対策の「投入」を測ります。
体験と地域の指標:満足度、滞在時間、地域内消費など、利用の「質」を測ります。
 評価項目を国際的に通用させる意味では、グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会の基準のように、持続可能な運営、社会経済、文化、環境の観点を揃えることが有効です。ただし、本報告書の主眼は自然の回復なので、環境カテゴリを「影響低減」だけでなく「回復の実績」まで含めて再設計する必要があります。

 以上、富士登山で始まっているような「管理のパッケージ」を、富士山麓、箱根、伊豆半島、伊豆諸島へと横展開し、2030年に向けて自然損失の反転に寄与する観光地モデルとして整備されることを、願って、本記事を閉じさせていただきます。


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