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パパの絵本と高校生の娘|上条デイズ#15【連作ショートショート7】

娘は、ネコの絵本をもう一度開いた。
最初のページをめくる。
ゴロゴロ、ゴロゴロ。
ネコが転がっている。

指先に、紙のざらつきが残る。
少しだけ、思い出す。
熱があって、ずっと寝ていた日。
となりで、誰かが何かをしていた気配。
そして、朝でも夜でもない、
あの静かな時間。

これ、パパだ。
娘は、そう思った。
声には出さない。
でも、少しだけ笑った。

机に戻り、パソコンを開く。
書きかけの文章が表示される。
「じまにゃんさんみたいになりたい」
そう書いたまま、止まっていた。

娘は、ネコの絵本を机の横に置く。
もう一度、画面を見る。
少しだけ考えてから、続きを打ち始める。
その日、娘は少しだけ長く机に向かっていた。

上条は、廊下からその気配を感じていた。
何をしているのかは分からない。
けれど、邪魔をしないほうがいい気がした。

ドアの隙間から見えたのは、
パソコンに向かう娘の後ろ姿と、
その横に置かれた、薄い紙の束。
上条は、それが何か分からなかった。

ただ、少しだけ安心した。
それだけで、十分な気がした。

誰かのために描いたものは|上条デイズ#16

【連作ショートショート8】 に続く

#短編小説 #創作 #上条デイズ #ネコの絵本 #じまにゃんさん

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