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真のインターネットを創る「分人経済革命」の起こしかた【ねむ ✕ 崎村夏彦 対談レポート】

なりたい自分で社会参画する「分人経済」はシステム的には既に実現できる! あと社会の理解と制度設計をどう進めていくか、私達メタバース住人の生き方が未来を変える!?

先日デジタルアイデンティティ分野で顕著な貢献をした25人「The Identity 25」に選出され大きな話題になった、ID標準化の権威であるOpen ID崎村夏彦先生と「分人経済革命」をテーマに非常にエキサイティングな議論をさせて頂きました。対談アーカイブはYouTubeでチャプター付きで無償公開中です。

この記事では対談の概要をスライド付きで紹介し、出演者・視聴してくれたみなさんの感想を紹介します。


3/29「分人経済革命」ねむ ✕ 崎村夏彦 徹底対談【次世代ネットの扉を開く革命の起こしかた】

対談アーカイブはYouTubeで無償公開中です。細かいチャプターを付けたので、ぜひ気になる部分だけでもご覧ください。

次世代インターネットの扉を開くという「分人経済革命」とは果たして何なのか!? 仮想空間「メタバース」ではアバターによって複数の自分(分人)を切り替え、自己の魂の在り方と社会との界面を能動的にデザインできる新時代が遂に実現しつつある。一方でそれを新たな経済圏に昇華するためのID認証・経済・納税の仕組みは全くの未整備なのが現状だ。インターネットにおけるデジタルアイデンティティの標準化に長年取り組んできたOpenID Foundation理事長「崎村夏彦」とメタバース住人にしてVTuber/作家「バーチャル美少女ねむ」が3/29にYouTube LIVEでこの問題を徹底対談! 次世代インターネットの革命がここから始まる!?

※出典:【告知】3/29「分人経済革命」ねむ ✕ 崎村夏彦 徹底対談【次世代ネットの扉を開く革命の起こしかた】

対談の内容

以下、対談の概要をセクションごとに簡単にまとめました。時間をクリックすると対談の該当箇所を再生します。また、なんと崎村先生が対談の要旨をビジュアルでわかりやすくスライドにまとめてくれましたので、それも併せて紹介します。

「分人経済革命」ねむ ✕ 崎村夏彦 徹底対談

今日のテーマ:「分人経済革命」

01:07

対談テーマはメタバースにおける「分人経済革命」だ。メタバース上ではアバター技術によりユーザーが複数の自己を使い分けた自由な生き方が可能となっているが、本当の意味で「メタバースで生きていく」を実現するためには経済活動の仕組みが未整備であることが大きな課題として挙げられた。

分人経済革命の可能性と実現に向けた一考察 - 崎村先生要旨スライド
分人概念の理論的背景 - 崎村先生要旨スライド

ゲスト紹介:崎村夏彦(OpenID Foundation理事長)

03:17

OpenID Foundation理事長の崎村氏は、25年以上にわたりデジタルアイデンティティの標準化に取り組んできた経歴を紹介した。人は文脈に応じて自己を使い分けており、それを混同することで誤解やトラブルが生じると述べた。また、現実世界では自然に行われていた分人の使い分けが、インターネット上では制度や技術の未整備により困難になっていると指摘した。

崎村夏彦氏は先日デジタルアイデンティティ分野で顕著な貢献をした25人
「The Identity 25」に選出され大きな話題になった(出典:okta ventures
崎村夏彦氏は先日デジタルアイデンティティ分野で顕著な貢献をした25人
「The Identity 25」に選出され大きな話題になった(出典:okta ventures)
分人経済の実現例・兆候 - 崎村先生要旨スライド

メタバースで生まれる「分人社会」のリアル

08:41

ねむは、自身の調査データをもとに、メタバースでの分人の実態を示した。多くのユーザーが現実とは異なる姿や名前で活動しており、その理由として没入感や自己否定からの解放、好みの自己像の実現などが挙げられた。また、約4割が「メタバースでのアイデンティティを主軸にしたい」と回答しており、仮想空間での“もう一人の自分”を社会的に確立することへの欲求の存在を明らかにした。

物理世界の自分との類似性 - メタバースでのアイデンティティ(Nem x Mila, 2024)
人生のメインのアイデンティティ - メタバースでのアイデンティティ(Nem x Mila, 2024)
VRアイデンティティを隠すか - メタバースでのアイデンティティ(Nem x Mila, 2024)

「分人社会」の抱える課題

31:22

崎村氏は、分人として活動することには自己表現の幅を広げる一方で、なりすましや誤認のリスクも伴うのではないかと質問した。ねむは、実際に自身のアバターが盗用された経験を語り、外見だけでなく声や発言などの要素が本人性を担保する重要な手がかりになっていたと述べた。また、アバターを変えることで自身の行動や感情に変化が生じるという、分人の心理的影響についても触れられた。

「分人経済革命」とは何か?

40:57

ねむは自身の経験から、分人である「バーチャル美少女ねむ」としての取引においても、マイナンバーカードの表裏をスキャンして印刷して郵送しなければならない現状に疑問を呈した。特に、取引の際に実名や機密情報をやりとりするリスクや負担が大きく、これが分人としての経済活動を妨げていると主張した。その解決策として、ワンタイム番号を発行することで安全かつ効率的に本人確認と納税ができる仕組みを提案し、分人経済の実現には制度改革が必要ではないかと提案した。

分人経済革命 - バーチャル美少女ねむ
現状の世界 - バーチャル美少女ねむ
分人経済革命後の世界の概念図 - バーチャル美少女ねむ

「分人経済革命」に必要な「半匿名アイデンティティシステム」

46:22

崎村氏は、取引相手ごとに異なる識別子(PPID)やワンタイムIDを用いることで、プライバシーを保ちながらも本人確認と取引の追跡が可能になると説明した。技術的にはすでに実現可能な仕組みが存在しているが、日本の法律や社会制度が「実名ベース」で構築されているため、こうした仕組みを導入するには広範な法改正と社会的理解が必要であるという課題を明らかにした。

技術インフラの可能性と課題 - 崎村先生要旨スライド
ペンネーム・仮名での経済活動における法的課題 - 崎村先生要旨スライド
仮名で報酬を得る際の具体的な障害点 - 崎村先生要旨スライド

デジタル庁の認証アプリで「分人経済」は実現可能か

1:10:31

対談では、デジタル庁の認証アプリがOpenID Connectを利用しており、取引ごとに異なる識別子を発行できる機能がすでに存在していることが語られた。技術的な基盤は整っているにもかかわらず、制度運用や企業の理解が追いついていないことがボトルネックとなっていた。

社会制度を変えるには?

1:16:11

社会制度を変えるには、技術よりもまず法制度の整備と政治的な意志が必要であるとされた。行政は法律に基づいてしか動けないため、分人経済を支援するには立法の後押しが不可欠だった。メタバース人口の拡大と共に制度的な不整合がより顕在化すると予測され、それを防ぐにはメタバース住人の存在と分人経済の経済効果を早期に可視化し、一般社会の理解を得ることが必要であるとされた。

分人経済社会の実現に向けた技術・政策実装案 - 崎村先生要旨スライド

「エージェント企業」方式でバーチャル戸籍を作る

1:23:57

崎村氏は、分人が経済活動を行う際の現実的な手段として「エージェント企業」方式を提案した。これは、仲介する法人が代理で契約や納税を担う仕組みで、大手の企業所属のVTuberの活動ではすでに一般的である。ねむ自身も既に企業のバーチャルメンバーとなることで必要に応じて分人名義での取引を可能にしているが、あらゆる人が分人経済を行うためには難易度が大きいとした。これを多少でも容易にするために、何人かのグループで共同運営の権利管理企業を作るなど、現実的なスケールモデルが議論された。

経済活動により「分人」が社会的存在へ

1:36:24

分人が経済活動を重ねることで「信用スコア」や「実績」を蓄積し、現実社会においても認知されうる社会的存在になっていく可能性を語った。自身の活動を例に、書籍出版やテレビ出演、国連での発表といった実績がバーチャルな分人にも信用をもたらしたことを紹介した。しかしねむの例は偶然の産物であることは否めない。また、公的機関では未だに現実の顔や名前を求められる場面が多く、分人の社会的信用の獲得には分人経済の基盤の上での実績の積み重ねが必要であることが議論された。

分人経済社会の政策的・社会的影響 - 崎村先生要旨スライド

「分人経済」により真のインターネットが始まる

1:46:28

ねむは、インターネットが登場したことで「一つの人格に縛られない生き方」が可能になったにもかかわらず、現行の制度や経済構造がそれに対応していないと指摘した。分人が現実と同様に経済に参加できるようになれば、ようやく「本当の意味でのインターネットの時代」が始まると述べた。日本のアバター文化や創作文化はその変革を牽引するポテンシャルを持っており、社会の受容と制度改革が進めば、世界をリードする存在になれる可能性があることが議論された。

ブロックチェーン・ステーブルコインへの期待と限界

1:56:36

2人は価格変動が激しく日常決済への活用が難しい仮想通貨の課題について議論し、ステーブルコインへの期待を語った。オンラインで価値交換ができるブロックチェーンの利便性を評価しつつも、分人経済確立の上ではシステムよりも制度的・文化的課題がむしろ問題で、必ずしもブロックチェーンが全ての解になる訳ではないことを確認した。短期的にはエージェント企業方式などを模索しつつ、半匿名アイデンティティシステムの実現を目指していきたいと語った。

「分人経済革命」ねむ ✕ 崎村夏彦 徹底対談

出演者の感想

みんなの感想

https://x.com/v8vn9/status/1905985333587857910

参考:ソーシャルVRライフスタイル調査:メタバースでのアイデンティティ(Nem x Mila, 2024)

バーチャル美少女ねむとスイスの人類学者リュドミラ・ブレディキナがソーシャルVRユーザーのアイデンティティの在り方を調査した定性レポート。自由回答による定性データの分析によりメタバースで広がる”自分らしさ”の多様性が解像度高く浮かび上がった。人類とメタバースの未来に向けたオープンな議論を活性化させるため、全71ページ無償公開中だ。

・レポート無償公開中:ソーシャルVRライフスタイル調査:メタバースでのアイデンティティ(Nem x Mila, 2024)

参考:今回のきっかけになった初対談「AIメタバース時代のアイデンティティ」

出演者プロフィール

崎村 夏彦(NATコンサルティング合同会社代表 / OpenID Foundation 理事長)

デジタルアイデンティティおよびプライバシーに関する国際標準化を専門とし、全世界で30億人以上に使われる一連の関連国際規格のほか、「デジタルアイデンティティ」(2021, 日経BP社)を著す。米国OpenID Foundation理事長を2011年より、MyData Japan理事長を2019年より、公正取引委員会デジタルスペシャルアドバイザーを2021年より務める。ISO/IEC JTC 1/SC 27専門委員会(情報セキュリティ, サイバーセキュリティ及びプライバシー保護 アイデンティティ管理とプライバシー技術)委員長。OECDインターネット技術諮問委員会委員。総務省「プラットフォームに関する研究会」、デジタル庁「本人確認ガイドラインの改定に向けた有識者会議」を始めとして、多数の政府関連検討会にも参画。
・X : https://x.com/_nat

バーチャル美少女ねむ(VTuber / 作家)

黎明期の仮想世界で生きる「メタバース原住民」にして、その文化を伝える「メタバース文化エバンジェリスト」として活動。「バーチャルでなりたい自分になる」をテーマに2017年から美少女アイドルとして活動している自称・世界最古の個人系VTuber。メタバースの革命性を論じた著書『メタバース進化論』(2022年、技術評論社)で「ITエンジニア本大賞2023」ビジネス書部門”大賞”を受賞。国連の国際会議「IGF京都2023」でも登壇。MoguLive VTuber Award 2023では「今年最も輝いたVTuber」に選出された。2024年には定性調査レポート「メタバースでのアイデンティティ(Nem x Mila, 2024)」を発表。産総研「アバター国際標準化の国内検討委員会」委員にも就任した。
・X : https://x.com/nemchan_nel

メディア掲載歴

崎村先生ブログ記事

バーチャルライフマガジン

TeckPicks.co

VTuber Labo.

VTuber Post

プレスリリース(株式会社ブイノス)


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