ジゴクダイバー 3
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「お前は誰なんだ」
「んー、そうだなあ……
……刑死者〈ハングドマン〉とでも呼んでよ」「長い」「じゃあジョンで」
ジョンはふわふわと落下の速度を変えながら、俺をあざける。
「質問には答えてないぞ。お前は誰なんだ」
「忘れちゃった、そんなこと」
「そんな?」
「自分以外だれもいないのに、自分がだれか気にする必要がある?」
改めて近づいてみると、旧式のアーマーはぼろぼろでほぼ意味をなしていない。
相当以前に落とされたようだ。
「こっちの質問にも答えてよお。きみ、何したの」
「罪人をかばった」
「それだけ?」
「これ以上言う必要はない」
「いいじゃん、お話しようよお。久しぶりに生きてる人間がここまできたんだから」
ジョンがけたけたと笑った。スピーカーの音量を落とす。
「それにさ。ここで別れたらきみはもう一生、うちと話すこともないんだぜ。ジゴクの先輩に、聞いておきたいこととか、ないの」
俺は「ない」と返そうとしたが、言葉につまった。俺はこの穴のことを
何も
知らない。「お前、なんで生きてるんだ?」
「べつに生きてないけど」
「アーマーがぶっ壊れてるのに、この速度で形を保ってるのがおかしい。空気抵抗で消滅しているはずだ」
「アア!」
声のトーンから、ジョンが膝を打つ音が聞こえた気がした。
「あー……
今って、『そういうこと』になってんの?」
「そういうこと?」
「光速と時間の関係って知ってる?」
「光速?」
「まじか」
ジョンは狂ったように笑い出した。
「えっへへへへへへ、おっかしいなあ。きみ、何もしらないんだ。いいよ、やっぱり教えるのやめた。そのまま落ちていけばいいさ」
「おい、どういうことだ」
言いぐさが気に障って、俺は言い返した。
「ううん、聞かないほうがいいよ。認識したらどうなっちゃうかわかんないからさ。
でも、ひさしぶりにお話できて楽しかったから、ヒントだけあげる」
ジョンのアーマーが脱げ、中から長い金髪の女が出てきた。
「『万有罪力〈バンユウザイリョク〉』
きみとうちを引っ張る『罪力』は、犯した罪の質量で、がぜんちがってくるんだよ」
髪が、なびいていない。
「でもさ、じゃあジゴクの底にはなにがあるんだろうね?
うちらを引っ張っているものは、なんなんだろうね?」
「『底』だと?!本当に『底』があるのか?!」
ジョンは落下をやめ、中空にとどまって、ひらひらと俺に手を振った。
【制御回復。速やかに休眠せよ。カウントダウン省略】
「おい、待て話は」
薬品が注入され、
俺は
意識を
失う。
【続く】
ジゴクダイバー:設定ファイル②(課金コンテンツ)
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