【女子枠①】賛成派「実質的な機会の平等」vs.反対派「形式的な機会の平等」
ほんごう小学校5ねん3くみのみんなと、女子枠について楽しく勉強しよう。
かなちゃんは今日も元気いっぱいで、ニコニコ。クラスのみんなに、何か主張したいことがあるみたいだ。
かなちゃん「ねえねえ! 女子枠は実質的機会の平等を実現するうえで、必要な制度なのよ!」
でも、みんなから、疑問の声が上がります
「え? みんな同じテストを受けるなら、それで公平じゃないの?」
「女子だけ枠があるって、ズルいって言われないの?」
うんうん。すごく自然な疑問だ。女子枠について疑問を抱くお友達も多いはずだ。今回は第一回目!実質的機会の平等と形式的機会の平等について学ぼう!

全部で7回の授業があるから、賛成派も反対派も女子枠への理解を深めようね。

実質的な機会の平等とは
女子枠の根拠である、実質的な機会の平等とは何か、みんなに説明してもらえるかな?
かなちゃん「不利益を被っている層への特別な支援(ポジティブ・アクション)を行うことで、真の意味での平等な機会を確保する考え方よ!典型的には、大学受験の女子枠ね!」
ゆうくん「ちょっと待ってよ。同じ試験を受けるのに、女子だけ優遇されるのは、納得できないな。いったい、どこが平等なんだ!」
かなちゃん「機会の平等には、2種類あるの。形式的な機会の平等と、実質的な機会の平等よ」
ゆうくん「いったい、何が違うんだ?」
かなちゃん「形式的な機会の平等は、誰でも同じように取り扱うこと。差別の禁止ね。
実質的な機会の平等は、形式的な機会の平等だけでは不十分な時に、実際に機会を活かせるように条件を整えることよ」
イメージのために、入学試験に置き換えて考えてみようか。
ゆうくん「形式的平等は、みんなが同じように入試を受けられること!
仮にみんなが入試を受けられても、学費が超高額で金持ちしか払えないとかだと平等とは言えない。
実質的平等は、塾代の補助や、奨学金制度を充実などの制度を整えて、本当の意味での機会の平等を実現することですね!!」
その通りだね。
ゆうくん「だけど...…なんで、女子枠まで設けるんですか?自分だけ重いランドセルを背負って競争させられるのは、嫌だよ。だけどさ、本当に、女性だけがハンディを背負っているのか、僕は疑問だな」
アメリカで黒人枠を割り当てることには受けいられても、日本で女子枠を割り当てることには、違和感を感じる人も多いみたいだ。過去においてあからさまな差別あれば心情的には納得ができるんだろう。だけど、日本人女性は、そこまでのハンディを背負っていると言えるのかな
構造的差
かなちゃん「差別って、いじわるな人がいるから起きるだけじゃなくて、社会の仕組みそのもので起きてしまうことがあるんです。確かに、日本人女性は、アメリカでのマイノリティほど分かりやすい、いじわるはされていません。だけど、社会の構造から差別を受けているんです」
そう。基本的には、「女子を落とそう!」なんて言っている人はいない。差別は厳正に処罰される。だから、形式的な機会の平等は達成されている。
だけど、結果として「女子がずっと少ない」状態が続くなら、仕組みのどこかが女性に不利なのかもしれない。明らかな差別ではないけど、不利な仕組みが残り続けている、これが構造的差別だ。
つまり、差別を禁止したから終わり!じゃなくて、格差が再生産されないように、現実の仕組みも直す必要があるんだ。
かなちゃん「理工系の世界では、長い間、男子が中心だったわ。すると何が起こると思う?」
・男子が多い → 文化や空気も男子向けに固まる
・女子は「入りにくい」と感じる
・入る女子が少ない
・ますます男子中心になる
……これ、ぐるぐる回ってしまうよね。これが再生産。誰が差別をしてるわけでもなく、構造の問題なんだ。
かなちゃん「だから、いったん流れを変えるために、時限的(期間限定)にテコ入れとして、女子枠を設けるのよ!」
ここが女子枠を正当化するときの重要ポイント。
女子枠=永遠の優遇ではなく、歪みが戻らないようにするための時限的措置だ。女性を優遇することが目的ではなく、歪みを是正することが目的だからね。
ステレオタイプとロールモデル
女性が不利な境遇に置かれているのは、これだけじゃない。
かなちゃん「私は、女子は理系に向かない、女の子は文系が自然、数学が得意なのは男の子、こんな風に言われたことがあるわ。あまりにステレオタイプよね」
こういう空気があると、どうなるだろうか
・女子が「自分には無理かも」と思ってしまう
・先生や親も無意識に文系をすすめる
・受験する前にあきらめる人が増える
かなちゃん「これって、テストの点数以前に、挑戦する入口が狭くなってるってことだよね!」そう。ルールは同じでも、挑戦する人がそもそも減ってしまうなら、機会は同じとは言いにくい。
令和の時代に、古臭いステレオタイプを押し付ける人は減ってきているとはいえ、女性の理系進学率を見ると、まだまだ根強いと言えそうだ。
かなちゃん「ロールモデルも忘れないで欲しい。ロールモデルっていうのは、「こんなふうになれるかも!」って思える身近な先輩のこと」
理工系で活躍している女性が身近に少ないと、「自分がそこにいる姿」を想像しにくい「孤立しそう」「大変そう」と感じやすい、進路選択の時点で避けてしまう
かなちゃん「女性が少ない場所には行きにくいんだよね。だから、最初は制度で、女性がいる状態を作る意味があるの!」
ゆうくん「いやいや、行きたいんだったら勝手に行けば良いじゃないですか。なんで、わざわざ、そんなことする必要があるんですか?」
納得しがたい顔をしている男子もいるみたいだね。
ロールモデルやジェンダーバイアスを、他の例に置き換えて...…例えば男性看護師で考えてみるとどうだろう。力仕事が必要な場面も多いので、男性看護師の需要も高いだろうしね。
看護師になりたい男性がいても、看護師は女性中心の社会だ。男性には、肩身の狭い場面も多いし、ロールモデルも少ないし、「男が看護師になるの、、、?」みたいな世間の声も強い。
つまり、機会の平等ではなく、結果の平等(男性看護師が少ないこと)が原因で、看護師を志す男性が少なくなってしまっている。
だから、「カンフル剤」として、「一時的に」「男子枠を設けて」男性看護師の比率を高めてしまうことで、「男性が少ないから男性が少ない」という構造が是正され、「実質的な機会の平等」が実現されるんだ
賛成派、反対派双方の主張をまとめると、こんな感じになるね。

女子枠は、ジェンダーバイアスやロールモデル不足を、突き崩すための装置として役に立つんだね!
女子枠は、差別禁止だけでは消えない構造的な不利をならして、
現実に挑戦できるチャンス(実質的機会)を近づけるための、時限的な制度。
かなちゃん「形式的機会の平等だけじゃ埋まらない差があるなら、実際のチャンスが同じになるように工夫する。それが実質的機会の平等なのよ!」
ゆうくん「ちょっと待ってくださいよ!!日本国憲法には法の下の平等が書かれていたはずです!!こんな制度明らかに不平等ですよ!!差別解消のための逆差別です!!」
良い指摘だ。その点にについては、次回の授業で扱うことにしよう。
