人材マネジメントポリシーはどう決めるの? - 前編【時をかける戦略×人事】(6話)
〜前回までのあらすじ〜
(ナレーション)
前回、人材マネジメントポリシーとは、制度そのものではなく、 企業が求める人材のスタンスを決め、宣言することだと整理した。
どんな人を評価するのか。どんな人に来てほしいのか。
そして、会社はその人たちに何を用意するのか。
それは“正しい人事制度”を探す話ではなく、会社として、何を選び、何を選ばないのかを決める話だった。では、そのポリシーは、いったいどのように決めていけばよいのだろうか?
人材マネジメントポリシーはどう決める?


前回の話で、人材マネジメントポリシーが大事なのはわかりました。
制度の前に、会社として“どんな人を評価するのか”を決めないと、
採用も評価も育成もバラバラになりますよね。
ここまでは、かなり腹落ちしているんですが、
これだけで終わらない気がして……。



確かに、わかる。
「じゃあ、うちの人材マネジメントポリシーを決めましょう」
って言われた瞬間に、たぶん経営陣も人事も止まると思うんだよ。
たとえば、育成重視なのか、即戦力重視なのか。
結果を見るのか、プロセスも見るのか。
どれも大事に見えるし、どれも捨てたくない。
でも、全部大事って言った瞬間に、結局、何も決めてないのと同じになる。俺はそこが怖いんだよ。



確かに……。
「うちは成長も大事だし、成果も大事です。
チームも大事でだし、個人も大事です」
って言うと、一見いい会社っぽく聞こえるけど、
結局、何かで迷ったときの拠り所がない感じがするかも……。



そうなんだよ。
採用では「即戦力がほしい」と言い、評価では「成長も見たい」と言い、
育成では「挑戦してほしい」と言いながら、
失敗したら「なんで結果が出てないんだ」と言う。
そういうブレが、知らず識らずのうちに
組織の信頼を削るんじゃないかと思ってる。



(イマトニー、少し考えてから、髪もないのに頭を掻きながら)
……たぶん、その不安はかなり大事。
人材マネジメントポリシーは、言葉だけなら比較的簡単に作れる。
でも、判断に使えるものとして作ろうとすると、それなりに手順を踏んだほうが良いはず。

そもそも、なぜ人材マネジメントポリシーを決めないといけないのか?


イマトニーさん。すごく基本的なことを聞いてもいいですか?
人材マネジメントポリシーって、
そんなにちゃんと決めないといけないものなんですかね。
会社の中で、
なんとなく「うちはこういう会社だよね」って共通認識があるなら、
わざわざ言葉にしなくてもいいんじゃないかなって、
少し思っちゃうんだけど。



いや、それは危ないだろ。
「なんとなくわかってる」って、だいたいわかってないからな。



でも、言葉にすると逆に堅くなりませんか?
“制度”っぽくなって、現場の従業員が読まない気もするんですよね。



その懸念も、よくわかるよ。
人材マネジメントポリシーは、厚い文書を作ることが目的じゃない。
大事なのは、人に関する意思決定の優先順位を、経営として揃えることなんだ。



人に関する意思決定の優先順位……。



うん。採用するかどうか。評価するかどうか。
昇進させるかどうか。育成投資をどこに張るか。
配置転換をどう判断するか……。
こうした判断は、日々起きます。
そのたびに、経営者の気分や、部門長の価値観や、人事担当者の解釈で判断が変わると、社員から見れば「会社は何を大事にしているのかわからない」という状態になりやすいんだ。



評価制度より前に、判断軸がズレてるってことだな。



そう整理できる場面は多いと思う。
制度は後から整えられるけど、判断軸が曖昧なままだと、制度を作っても運用で揺れてしまう。

ポリシーが決まると何が動くのか?


人材マネジメントポリシーがちゃんと決まると、何が変わるんですか?



一番大きいのは、採用・評価・育成・配置が、同じ思想でつながり始めることだね。
たとえば、「自律的に機会を取りに行く人を評価する会社」だと決めたとする。
そうすると、採用では、言われたことを正確にこなす人だけでなく、「曖昧な状況でも自分で問いを立てられる人」を探そうとするはず。
評価では、単に成果が出たかどうかだけでなく、「どのように機会を作り、周囲を巻き込み、結果につなげたか」を見るかもしれない。
育成では、受け身型の研修を増やすより、「実際に難しい役割を渡して、経験から学ばせる設計」のほうが相性が良い。
配置では、安定している人をそのまま置き続けるのではなく、「少し背伸びするポジションに抜擢する判断」が増えるかもしれない。
このように、人材マネジメントポジションが決まることで人事の取り組みに一貫性が生まれるんだ。



なるほど……。
ポリシーが決まると、採用も評価も育成も、別々の施策じゃなくて、
同じ方向を向き始めるんだ。



そのとおり。人材マネジメントポリシーは、人事施策を増やすためのものではなく、人事施策を同じ思想で揃えるためのものと考えるとわかりやすいと思う。



逆に人材マネジメントポリシーがないと、
採用では「挑戦人材がほしい」と言いながら、
評価では「失敗しない人」に高い評価がつく、
みたいな矛盾が起きうるわけだな。



おっしゃるとおり。その矛盾が積み重なると、社員は会社の言葉を信じなくなってしまう、なんてことになりかねないんだ。

何が決まれば、人材マネジメントポリシーは完成なのか?


人材マネジメントポリシーって、何が決まれば完成なんだ?



僕も知りたいです!
「いい感じの文章にまとまりました」だと、
完成したのかどうかわからないですよね。



完成の定義は会社によって異なるけど、少なくとも次の3つが言葉になっていると、 かなり実務に使いやすくなるはず。
1つ目は、社員に求めるもの。
どんな姿勢、どんな行動、どんな成果を期待するのか。
2つ目は、会社が提供するもの。
挑戦機会なのか、育成支援なのか、公正な評価なのか、報酬なのか、働く環境なのか。会社が何を約束するのかを明確にする。
3つ目は、採用・評価・育成に接続できる行動基準。
つまり、「そのポリシーを現場でどう見るのか」まで落とし込まれていること。



必要な要素はつかめました。
実際、それをどんな手順で作るんですか?

〜前回までのあらすじ〜
(ナレーション)
前回、人材マネジメントポリシーとは、制度そのものではなく、 企業が求める人材のスタンスを決め、宣言することだと整理した。
どんな人を評価するのか。どんな人に来てほしいのか。
そして、会社はその人たちに何を用意するのか。
それは“正しい人事制度”を探す話ではなく、会社として、何を選び、何を選ばないのかを決める話だった。では、そのポリシーは、いったいどのように決めていけばよいのだろうか?
人材マネジメントポリシーはどう決める?


前回の話で、人材マネジメントポリシーが大事なのはわかりました。
制度の前に、会社として“どんな人を評価するのか”を決めないと、
採用も評価も育成もバラバラになりますよね。
ここまでは、かなり腹落ちしているんですが、
これだけで終わらない気がして……。



確かに、わかる。
「じゃあ、うちの人材マネジメントポリシーを決めましょう」
って言われた瞬間に、たぶん経営陣も人事も止まると思うんだよ。
たとえば、育成重視なのか、即戦力重視なのか。
結果を見るのか、プロセスも見るのか。
どれも大事に見えるし、どれも捨てたくない。
でも、全部大事って言った瞬間に、結局、何も決めてないのと同じになる。俺はそこが怖いんだよ。



確かに……。
「うちは成長も大事だし、成果も大事です。
チームも大事でだし、個人も大事です」
って言うと、一見いい会社っぽく聞こえるけど、
結局、何かで迷ったときの拠り所がない感じがするかも……。



そうなんだよ。
採用では「即戦力がほしい」と言い、評価では「成長も見たい」と言い、
育成では「挑戦してほしい」と言いながら、
失敗したら「なんで結果が出てないんだ」と言う。
そういうブレが、知らず識らずのうちに
組織の信頼を削るんじゃないかと思ってる。



(イマトニー、少し考えてから、髪もないのに頭を掻きながら)
……たぶん、その不安はかなり大事。
人材マネジメントポリシーは、言葉だけなら比較的簡単に作れる。
でも、判断に使えるものとして作ろうとすると、それなりに手順を踏んだほうが良いはず。

そもそも、なぜ人材マネジメントポリシーを決めないといけないのか?


イマトニーさん。すごく基本的なことを聞いてもいいですか?
人材マネジメントポリシーって、
そんなにちゃんと決めないといけないものなんですかね。
会社の中で、
なんとなく「うちはこういう会社だよね」って共通認識があるなら、
わざわざ言葉にしなくてもいいんじゃないかなって、
少し思っちゃうんだけど。



いや、それは危ないだろ。
「なんとなくわかってる」って、だいたいわかってないからな。



でも、言葉にすると逆に堅くなりませんか?
“制度”っぽくなって、現場の従業員が読まない気もするんですよね。



その懸念も、よくわかるよ。
人材マネジメントポリシーは、厚い文書を作ることが目的じゃない。
大事なのは、人に関する意思決定の優先順位を、経営として揃えることなんだ。



人に関する意思決定の優先順位……。



うん。採用するかどうか。評価するかどうか。
昇進させるかどうか。育成投資をどこに張るか。
配置転換をどう判断するか……。
こうした判断は、日々起きる。
そのたびに、経営者の気分や、部門長の価値観や、人事担当者の解釈で判断が変わると、社員から見れば「会社は何を大事にしているのかわからない」という状態になりやすいんだ。



評価制度より前に、判断軸がズレてるってことだな。



そう整理できる場面は多いと思う。
制度は後から整えられるけど、判断軸が曖昧なままだと、制度を作っても運用で揺れてしまうからね。

ポリシーが決まると何が動くのか?


人材マネジメントポリシーがちゃんと決まると、何が変わるんですか?



一番大きいのは、採用・評価・育成・配置が、同じ思想でつながり始めることだね。
たとえば、「自律的に機会を取りに行く人を評価する会社」だと決めたとする。
そうすると、採用では、言われたことを正確にこなす人だけでなく、「曖昧な状況でも自分で問いを立てられる人」を探そうとするはず。
評価では、単に成果が出たかどうかだけでなく、「どのように機会を作り、周囲を巻き込み、結果につなげたか」を見るかもしれない。
育成では、受け身型の研修を増やすより、「実際に難しい役割を渡して、経験から学ばせる設計」のほうが相性が良い。
配置では、安定している人をそのまま置き続けるのではなく、「少し背伸びするポジションに抜擢する判断」が増えるかもしれない。
このように、人材マネジメントポジションが決まることで人事の取り組みに一貫性が生まれるんだ。



なるほど……。
ポリシーが決まると、採用も評価も育成も、
別々の施策じゃなくて、同じ方向を向き始めるんだ。



そのとおり。人材マネジメントポリシーは、人事施策を増やすためのものではなく、人事施策を同じ思想で揃えるためのものと考えるとわかりやすいと思う。



逆に人材マネジメントポリシーがないと、
採用では「挑戦人材がほしい」と言いながら、
評価では「失敗しない人」に高い評価がつく、
みたいな矛盾が起きうるわけだな。



おっしゃるとおり。その矛盾が積み重なると、社員は会社の言葉を信じなくなってしまう、なんてことになりかねないんだ。

何が決まれば、人材マネジメントポリシーは完成なのか?


人材マネジメントポリシーって、何が決まれば完成なんだ?



僕も知りたいです!
「いい感じの文章にまとまりました」だと、
完成したのかどうかわからないですよね。



弊社New Field Partnersでは5つのステップで策定しているんだ。一つひとつ丁寧に解説したいから、これはまた次回紹介するね。

(キートン山●風に)
後半へつづく〜。
今回のおさらい
人材マネジメントポリシーがないと、人事施策間の矛盾が生じやすくなる
矛盾が生じると、社員は会社の言葉を信じなくなる
人材マネジメントポリシーが決まると、採用・評価・育成・配置が、同じ思想でつながり始める
