王者の帰還か、時代遅れか?新型エルグランドが問う「日産の覚悟」?
「これは売れるんですか?」
SNSに投稿された新型エルグランドの画像に、そんな素朴なコメントが添えられていた。
確かに、多くの人がそう感じるだろう。
日本の高級ミニバン市場はいま、トヨタ・アルファード/ヴェルファイアが圧倒的な存在感を放っている。単なる“人気車”ではない。あれは既に、「成功者の記号」になった。
街を見渡せば、経営者、芸能人、スポーツ選手、富裕層ファミリー。誰もがアルファードに乗る。
いや、正確に言えば、
「アルファードに乗ること自体が、“社会的安心感”になっている」
のである。
そんな市場に、長年沈黙していた日産エルグランドが帰ってくる。
かつてエルグランドは、“キング・オブ・ミニバン”だった。
しかし、その王者は長く眠っていた。
その間、トヨタは絶え間なく市場を耕した。
リセール価値。
販売力。
供給力。
SNS露出。
ブランド戦略。
それらを何年も積み上げた結果、アルファードは「車種」を超え、“空気”になった。
では、新型エルグランドに勝ち目はあるのか。
私は、「条件付きである」と思う。
ポイントは、“アルファードを倒そうとしないこと”だ。
今回の日産デザインを見ると、方向性は明確である。
ギラギラした押し出し感より、
未来感。
EV的クリーンさ。
テックラグジュアリー。
つまり、
「みんなと同じ高級車」
ではなく、
「少し未来側の価値観」
を狙っている。
ここは実は興味深い。
なぜなら、いま若い富裕層の一部では、
「アルファードは強すぎて逆に疲れる」
という空気が出始めているからだ。
“成功者っぽさ”を前面に出すより、
スマートで静かな高級感を好む層。
テスラやBYDのインテリアに慣れた世代には、
メッキよりUI/UXが刺さる。
もし日産がそこを徹底できれば、
エルグランドは単なる「敗者復活戦」では終わらない。
むしろ、
「高級ミニバンの価値観を変える挑戦」
になる可能性すらある。
もちろん、課題は山ほどある。
日産は近年、
フーガ。
シーマ。
スカイライン。
“高級ブランドの物語”を次々と失ってきた。
良い車を作る力はある。
だが、
「欲しいと思わせ続ける力」が弱くなった。
これは、日本メーカー全体にも通じる問題かもしれない。
性能だけでは、人は熱狂しない。
人が買うのは、
“未来の自分”だからだ。
新型エルグランド。
それは単なる新車ではない。
日産が、
「もう一度、憧れを作れる会社か」
を問われる一台なのである。
――そして、その答えは、
スペック表ではなく、
街の空気が決める。
“Cars are bought by logic, but loved by emotion.”
「車は理屈で買い、感情で愛される。」
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