🎹【小6発表会編第3話】色彩の再会 —— 溺愛パパ・ドビュッシーからの挑戦状
こんにちは。うるるんです。
前回、ベートーヴェンの「ハ短調」という宿敵に、鼻息荒く宣戦布告した娘。
しかし、今回の発表会にはもう一人、攻略せねばならない「巨匠」がいます。
それが、フランス印象派の旗手、クロード・ドビュッシー。
娘にとっては、小学5年生のピティナ以来の再会です。
🎹ドビュッシー:才能は神、私生活は……
ドビュッシーの音楽は、まさに「光と影」の魔法です。
代表曲の『月の光』や『亜麻色の髪の乙女』、オーケストラ曲の『海』など、それまでのドイツ音楽のようなカチッとした形式を離れ、空気そのものを描くような響き。
ですが、その美しい音楽を生み出したご本人の私生活を覗いてみると、なかなかに個性的。
音楽史を紐解くと出てくる彼の破天荒エピソードを、私なりに少しマイルドに(?)まとめてみました。
💦友情より「感性と美食」
自分の芸術的センスを何より優先する彼は、借金があっても最高級のキャビアを買い込み、周囲を驚かせました。

💦恋の情熱が激しすぎる
恋多き男だった彼は、そのたびにドラマのような騒動を巻き起こし、当時の社交界の話題を独占。

💦自由すぎる魂
伝統的なルールが大嫌い。音楽院の学生時代から「禁じられた和音」を平気で鳴らし、先生たちを困らせる元祖・問題児でした。

まさに「近くにいたら大変だけど、遠くから眺める分には最高に面白い芸術家」。
そんな、どこか捉えどころのない彼が、人生の終盤に全力で注いだ純粋な愛。
その対象が、愛娘の「シュシュ」でした。

🎹『子供の領分』と、パパのデレデレな「言い訳」
それまでの自由奔放さが嘘のように、ドビュッシーはシュシュを溺愛しました。
今回、娘が挑む組曲『子供の領分』の冒頭には、パパからシュシュへ、こんなに甘いメッセージが添えられています。
「これから起こる何事に対しても、父が言い訳できるように、この愛しい小さなシュシュへ」
……ドビュッシーさん、これまでの自分のやんちゃ(!)を、娘の可愛さでチャラにしようとしてますよね(笑)。
でも、この献辞があるからこそ、この曲集にはパパの「優しさ」と「少しの照れ」が溢れている気がします。
その第1曲が、「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」。
(※タイトルはラテン語で「パルナッソス山への階段=音楽修行の道」を意味し、クレメンティの教則本へのオマージュとも言われています。)
タイトルは堅苦しいですが、中身は遊び心たっぷり。
指の練習に飽きて、ついつい夢の世界へ脱線してしまうシュシュ。
「あーあ、練習は退屈だけど、パパが見てるから弾かなきゃな……でも遊びたい!」
そんな子どもの微笑ましい葛藤を、ドビュッシーはこれ以上ないほど輝かしい音の粒で描き出しました。

🎹「モワモワ」の記憶、そして2023年の進化
ドビュッシーを練習し始めると、わが家には懐かしい「あの空気」が戻ってきました。
5年生の時、先生から「音に色彩を!」と言われ、娘の頭が真っ白になったあの日。
モネの画集を開き、楽譜をオレンジや紫のペンで塗りつぶし、「ここはピエロの手品だからモワモワした音なの!」と鍵盤の前で怪しい呪文を唱えていたあの日……。
小5 ドビュッシードタバタ練習の様子
↓↓↓
(……音楽って、絵から作っていいんだっけ?)と、母の常識が静かに崩壊したあの「脳内カラーパレット作戦」が、今、再び始動しています。
「お母さん、やっぱりドビュッシーは楽しい! ベートーヴェンの熱血もいいけど、こっちは水の中で光が跳ねてるみたい!」
あの頃は「音がかすれただけ」だったかもしれない「モワモワ」も、今の彼女は、ドビュッシーがシュシュに向けた優しい眼差しと共に、確かな音の色として描き出そうとしています。
🎹娘の決意:今度は「色彩」で圧倒する!
ベートーヴェンの「闘争」と、ドビュッシーの「幻想」。
正反対の2曲を抱えた娘の譜読みは、さながらキャンバスに激しい情熱の赤と、透明な水の青を同時に塗り重ねているようです。
「5年生の時はピエロの手品だったけど、今度はもっとすごい光を見せてやるわ!」
そう言って、冬休み返上で鍵盤に向かう娘の背中。
破天荒なドビュッシーパパも、きっと空の上で「うちのシュシュより上手いじゃないか」と、自慢の髭を撫でながら苦笑いしているかもしれません。
さあ、2023年の弾き納め。
リビングに溢れる音の色に包まれながら、私たちは最高に贅沢な冬を走っています。

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