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🎹【中1ピティナD級予選編第11話】「あんたの名前、あるよ!!」ピアノ歴4年、D級予選通過の瞬間。


​ステージから戻ってきた娘の姿を見て、私は思わず心の中で呟きました。

「……完全に、精も魂も吸い取られた抜け殻になっている」

​それほどまでに、彼女は自分の全エネルギーを、あの88鍵の鍵盤の上に置いてきたようでした。

​「……気づいたら終わってた。練習してきたことは、表現できたと思う」

​ぽつりと呟いた娘の瞳に、微かに涙が浮かびます。

​「でも……音を少し外した。完璧じゃなかった。今日は通過できないかも……」

​ピアノを弾く人なら誰もが共感する、あの独特の絶望感です。

一音のミスは精巧な時計の歯車が狂うようなもの。

本人にとっては、その一瞬のミスが頭の中で何倍にも膨れ上がってしまうのです。

​「悔いなく弾けたんでしょ?」

​そう語りかける私に、「そうだけど、音外した。完璧じゃなかった。今日、絶対に通過したい……!」と、今にも泣き出しそうな声が返ってきます。

​「やるだけのことはやったんだから」と必死になだめるものの、私の胸の中にも、小さな不安が押し寄せていました。


「すべてを出し切ったその先で。 『悔いなく弾けた。でも、完璧じゃなかった…』 一音のミスが何倍にも膨らんでしまう。それが、本気でピアノと向き合ってきた人だけが知る苦しさでした。」

​🗒️5人の審査員の先生が叩き出す、現実

​さて、ここからがピティナ・ピアノコンペティションの最も胃が痛くなる時間です。

予選の合否を決めるのは、5人の審査員の先生方がつける点数の「平均点」。

​ついに、ロビーの掲示板に結果が張り出されました。

​娘が挑んだD級(〜中2以下)。

パッと目に飛び込んできた文字に、一瞬息が止まりました。

「通過ライン:8.54」

​通過ラインとは、予選通過者の中で一番点数が低かった子の点数。

つまり、平均「8.54点」以上を出さなければ、次のステージへ進むことが許されないという現実です。

予選としてはかなり高い壁。

​一抹の不安を抱えながら、合格者の名前が並ぶリストへと目を走らせました。

上から順に、目を凝らして探します。

​「……あった。」

​「あんたの名前、あるよ!!」

​思わず叫んでいました。

娘は一瞬、言葉を失い、信じられないといった表情で掲示板を見つめています。

​「やった……! やった、やったよ! 本選に出られる……」

​ひたむきに、時には涙を流しながら努力を重ねてきた娘に、今日、音楽の神様が最高のご褒美をくれました。


「信じられない気持ちと、込み上げる喜び。 努力の日々が、確かに報われた瞬間でした。音楽の神様は、ひたむきに努力を重ねてきた娘に、最高のご褒美を用意してくれていました。」

それと同時に

「娘が予選通過するまでお菓子を食べません!」と神様に誓い、決死の覚悟で大好きなスイーツを断ち続けていたアホな母の願いも、ここに1勝。

ありがとうございます、神様。

でも、まだ解禁はできません。2回目の予選も、本選も、まだ先があるから。

🧁アホな母の本気の願掛けはこちらから🍫
↓↓↓


神様、ありがとうございます。

​🎹 エルサ先生の「愛の鞭」は、24時間後に鳴り響く

​しかし、コンクールの神様は余韻に浸る時間をそれほど長くはくれません。

翌日にはすぐ、エルサ先生のレッスンが待っていました。

​先生は開口一番、こう仰いました。

​「本当に、この短い期間で基礎力も表現力もびっくりするほど上がりました。よく頑張りましたね」

​……お、今日はなんだか優しい雰囲気? と思ったのも束の間。

​「でも、まだまだ上げられるわ。 2回目の予選はもっといい演奏ができるよう、あと1週間、ラストスパートをかけましょう!」

​さすが先生、ありのままで満足させてはくれません。

手渡された審査員の先生方からのアドバイス用紙(採点票)は、まさに次なる戦いへの宝の山でした。


褒めて終わらない。それがエルサ先生。 予選通過の翌日から、すでに次のステージへ向けたレッスンが始まっていました。喜びの翌日には、もう次の課題が待っている。 それが、ピアノを続けるということでした。

​🎵楽譜の奥に潜む「本質」を暴くアドバイス

👑​J.S.バッハ:『フランス組曲 第4番』より「ジーグ」

「もっと軽い踊りなので、実際にバロックダンスを踊っている映像を見てみるといいですよ」

「大きく2拍子に感じて」という、史実に基づいた貴重なご指摘。

バッハのジーグは複雑な対位法でありながら、そのルーツは「軽快な舞曲」です。

単に指を動かすだけでなく、その時代のステップの軽やかさがもっと必要だと気付かされました。

​🇫🇷ドビュッシー:『ゴリウォーグのケークウォーク』

「内声を控えて上声部(メロディ)を出さないと、ハーモニーが濁って聴こえてしまう」とのアドバイス。

ドビュッシー特有の色彩感、精度高いブラックユーモアのウィットを表現するには、勢いだけではない、完璧な音のバランスをコントロールする「耳」が求められます。

​そんな中、ある先生からは「9.2点」という驚くような高得点とともに、「ピアニストを目指して頑張ってください」という身に余るお言葉をいただきました。

このお言葉は、娘の心の譜面台に、一生の宝物として飾られることでしょう。


努力を見ていてくれた人がいた。 その事実だけで、これまでの苦労が報われた気がしました。この採点票は、娘の心の譜面台にそっと置かれた、一生の宝物です。



​🔥さあ、予選2勝に向けて

​改善すべきポイントは、講評用紙がすべて教えてくれています。やるべきことは、驚くほど明確です

​基礎の徹底。ハーモニーの整理。

そして何より、あのステージで王様を躍らせ、ドビュッシーを不敵に笑わせるための「表現力」のブラッシュアップ。

​娘の指先から、もっと鮮やかなバッハの輝きと、もっと小粋なフランスの風が吹き抜けるまで。

​さあ、母も、まだまだお菓子を我慢しながら、ラストスパートの伴走に戻ります。

目指せ、予選2勝!


王様をもっと華やかに躍らせるために。 ゴリウォーグをもっと不敵に笑わせるために。 娘のラストスパートは、まだ終わりません。娘の指先から、もっと鮮やかなバッハの輝きと、もっと小粋なフランスの風が吹き抜けますように

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