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【合同練習note】見えないボタン、押していいの?

わたしの推しnote書きさんである
『くいたろう』さんが、合同練習をやられていたので、またまた勝手に参加してみます。

今回は
「毎朝見えないボタンを押す人」
というお題。

くいたろうさんの素晴らしい物語はコチラ


それでは、どうぞ


😎
「人は毎日、何気なくボタンを押して生きているのかもしれません。
エレベーターのボタン、
リモコンのボタン、
そして、誰にも見えない心のボタン──

でも、その中には、
押してはならないボタンも、
押し忘れてはいけないボタンもあるようです。

今朝、あなたが押したその“ひとつ”は、
果たして……どちらだったのでしょうか?」


見えないボタン

駅前の広場に、
毎朝決まって現れる男がいる。

年齢は五十代半ば。
グレーのスーツに、
いつも同じ黒いトレンチコート。
足元は少し擦り切れた革靴。

彼は何も持たず、
何も言わず、

広場の中央に立ち、
しばらく空を見上げてから、ゆっくりと右手を伸ばす。

そして、空中の何もない一点を、
指先で「カチッ」と押すような仕草をする。

それを見ていた学生が
「またあの人だよ、ほら“ボタンおじさん”」
と囁く。

OLたちは
「何のボタンなんだろうね」と笑う。

子どもは怖がって泣き出すこともある。

でも、彼は何も気にしない。

ただ、毎朝、
決まった時間に現れて、

見えないボタンを一度だけ押して、
また去っていく。



ある朝、
広場のベンチに座っていた私は、思いきって声をかけてみた。

「そのボタン、何をしてるんですか?」

男は少し驚いた顔をしたが、すぐに小さく笑った。

「リセットボタンさ」

「何の?」

「この世界の“終わり”を、一日延ばすボタン。押し忘れると、終わっちゃうからね」

冗談とも本気ともつかない顔で、
彼はまた空中に手を伸ばし、「カチッ」と押した。

その瞬間、広場の時計台が、
いつもより一秒だけ遅れて動き出した気がした。



翌朝、私は広場にいた。

いつもの時間。
だが、男は現れなかった。

その一秒後、時計が止まる。

「え……」

その日の空は、
ほんのわずかに赤く濁っていた。



😎
「彼が押していたのは、
世界の終わりを一日だけ遠ざける、
小さな祈りだったのでしょう。

明日という一日がまた訪れるのは、
誰かが、それを願ったからです。

次にそのボタンが押すのは、
…あなたの番かもしれません。

それでは、また……
奇妙な世界で、お会いしましょう。」

(──ピアノの旋律とともに、闇に消える)



なんのはなしですか?

これは、
どことなく奇妙な物語のはなし


──とっぴんぱらりのぷぅ

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