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熾火(しか)――木が多すぎると、火は燃えない

四柱推命では、日干の五行がどのような状態にあるのかを表す、さまざまな言葉があります。

今回は、日干が「火」の人に見られる状態のひとつ、**熾火(しか)**についてお話しします。

熾火とは、簡単に言えば、
木が多すぎることで、火がうまく燃えられなくなっている状態
です。


火は、木があれば燃える

火は木を燃料として燃えます。
そのため、木があること自体は、火にとって悪いことではありません。
むしろ、木がなければ火は燃え続けることができません。

しかし、木が多すぎるとどうなるでしょうか。薪を少しずつくべれば、火は勢いよく燃えます。
ところが、薪を一度に大量に積み上げてしまうと、火は燃料に囲まれ、酸素が不足してしまいます。

すると、炎が大きく燃え上がるどころか、
中でくすぶり、火が消えかけたような状態
になってしまいます。

これが、熾火です。


「火が強い」とは限らない

木が多い命式を見ると、
「火を生じる木がこれだけ多いのだから、火は強いのでは?」
と思うかもしれません。

しかし、四柱推命では単純に、
生じる五行が多ければ多いほど、日干が強くなる
とは限りません。

木が適度にあれば、火を燃え上がらせる燃料になります。
しかし、木が過剰になると、火を覆い隠してしまいます。
つまり、木が多すぎることで、逆に火が燃えにくくなる。

これが熾火の特徴です。

熾火の命式では、印星が過剰になるため、一般的には印星大過とも言えます。


熾火の人は「何もしていない」のではない

熾火の特徴として、外から見ると、
「この人は何を考えているのだろう?」と思われることがあります。

炎が大きく燃え上がっていないからです。

しかし、熾火というのは完全に火が消えているわけではありません。
表面上は静かでも、内側では火がくすぶっていることがあります。

これを人の性質に例えると、自分の好きなことや興味のあることに対しては、非常に強い集中力を発揮するが、興味のないことには、なかなか気持ちが向かない、となります。

そのため、本人の中では一生懸命やっているつもりでも、周囲から見ると、「もっと普通にやればいいのに」「なぜそんな考え方になるの?」と思われることがあるかもしれません。


常識の「庚」が欲しい

熾火の命式では、
が重要になります。庚は、木を切る斧のような働きをします。
木が多すぎる命式では、不要な木を整理することで、火が燃えやすくなります。

つまり庚は、「火が燃えるための環境を整える役割」を持つのです。

また、庚には「常識」という意味もあります。木が多すぎると、自分の考えや価値観が強くなりすぎることがあります。

自分の中では筋が通っている。自分の考えは正しい。そう思っていても、社会一般の常識から見ると、少しずれていることもある。

そのような時に、庚の持つ「切り分ける力」や「常識」が必要になります。


通根があると「責任感」が生まれる

熾火の命式では、日干の火が通根していることも大切です。
通根とは、日干が地支に根を持つことです。根がある火は、自分自身を支える力があります。

そのため、「自分の行動に責任を持つこと・自分の後始末をすること」
できるようになります。

一方で、通根がない場合は、自分の世界に入り込みやすくなります。
好きなことに没頭し、自分が満足していればそれでいい。他人に迷惑をかけていないから問題ない。そのように考えやすい場合もあります。

ただし、熾火の命式は、通根がないからといって社会で生きていけないわけではありません。
庚があれば、木を整理し、社会の中で生きていくための基準を持つことができます。

それでも、最低限、「自分の責任は自分で取ること・自分のしたことの後始末をすること」。この力は、やはり欲しいところです。


熾火を人の性格に例えると

熾火の性質を、あえて人間の性格に例えるなら、
「常識外れの極楽とんぼ」のような面が出ることがあります。

もちろん、これは命式全体を見ずに決めつけるものではありません。
しかし、木が多すぎて火がうまく燃えられない状態では、

  • 自分の考えが一番正しいと思いやすい

  • 独りよがりな考えに固まりやすい

  • 社会の常識よりも、自分の世界を優先しやすい

  • 好きなことには非常に熱中する

  • 興味のないことには、極端に無関心になる

  • 実力以上に自分を評価してしまう

  • 褒められると自信過剰になりやすい

といった特徴が出ることがあります。

悪意があるわけでも、人に迷惑をかけようとしているわけでもありません。自分の世界の中で満足してしまい、その結果、社会との関わりが少なくなっていく傾向があると言うこと。

自分の世界に入り込みすぎると、社会との接点を失ってしまうということには注意が必要です。


命式例

 (時柱) (日柱) (月柱) (年柱)  
  乙    丁    丙   甲
  卯    酉    寅   辰

この命式では、

  • 丁・丙の火

  • 甲・乙・寅・辰・卯の木(辰は寅卯辰の東方合成立)

  • 酉の金

があります。

木が多く、火を生じる力が強い命式です。
しかし、木が多すぎるため、単純に「火が強い」と見るのではなく、
「木が多すぎて、火がうまく燃えきれない状態」も考える必要があります。

このような状態が、熾火です。
この命式では、庚・申・酉が用神となります。


月柱の丙――友人を大切にするが、騙されやすい

月柱には丙があります。丙は、丁にとって劫財です。
劫財は、仲間や友人との関係にも関わります。
そのため、友人関係を大切にする傾向があります。

仲間と一緒にいることを好み、人とのつながりを求める面もあります。
しかし、劫財が強く働く場合、
人を信じすぎてしまう・相手に利用されても気づきにくい
ということもあります。
「友達だから」「仲間だから」と信じてしまい、結果的に騙されてしまうこともあります。
そのため、人間関係では、相手を信じるだけではなく、冷静に相手を見ることも大切になります。


庚が来れば、木を整理できる

この命式にとって、庚は用神です。
庚が巡ってくれば、木を剋して整理することができます。
木が整理されれば、火も燃えやすくなります。


熾火に必要なのは「反省する力」

熾火の命式で最も大切なことは、「自分を振り返ること」です。

自分の考えは本当に正しいのか。自分の行動で、誰かに迷惑をかけていないか。自分の責任を、誰かに押しつけていないか。
そうやって自分を振り返ることができれば、命式の欠点は大きく変わります。

命式に用神が一つでもあり、さらに本人に、「自分を直そう」という気持ちがあれば、普通の命式へと戻っていくことができます。

これは熾火に限った話ではありません。

命式にどのような偏りがあったとしても、「自分の欠点を自覚し、修正しようとする力」があれば、人は変わることができます。


まとめ

熾火とは、木が多すぎることで、火が燃えにくくなっている状態です。
木は火を生じる五行ですが、多すぎれば火を覆い、逆に燃えにくくしてしまいます。
しかし、庚があれば、不要な木を整理し、風を通してあげれば、再び炎を上げることができます。
また、通根があれば、自分自身を支え、責任感を持ちやすくなります。

自分に何が多すぎるのか。何が不足しているのか。
それを知ることで、自分の火を燃やす方法が見えてくるのかもしれません。

YouTube動画でもご覧いただけます→https://youtu.be/OVwr2dMyyYk?si=dFixx4CDjvpyNEPM

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