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PMが陥りがちな“チャンスの罠”とは?ポジティブ・リスクを読み解く #PM奮闘記11

はじめに


“それ、今すぐ欲しい!”──。お客様からのポジティブな反応に、現場は色めき立つ。
でも、PMとしては冷静に考えざるを得ない。『今、出せるのか?』と。」

そんな場面に、PMとしてどう判断すべきか。
営業・マーケティング経験のある方なら、一度は直面したことのあるジレンマではないでしょうか?


こんにちは、HASエンジニアです。

以前プロジェクトのリスク記事を投稿致しました。技術的な要点だけを抑えたばかりに販売原価がケアされてなく、後になって大問題に発展した件です。

このケースはいわゆる”ネガティブ・リスク”になります。

今回は逆のケースで、”ポジティブ・リスク”について、その説明と実例について解説します。



1. そもそもリスクって何?

そもそも”リスク”とは、良いことでも悪いことでも”起こるかもしれないけど発生が不確実な状態”を総称して呼んでいます。

なので、一般の方にはちょっと奇妙に聞こえるかもしれませんが、
ハッピーなことでもアンハッピーなことでも、プロジェクトとして予期しないことは「リスク」になります。


2. その上でポジティブ・リスクって何?

PMBOK(Project Management Body of Knowledge:プロジェクトマネジメントの基本が載っている教科書)によると、
リスクの定義は以下の通りはっきりしています。

ネガティブ・リスクは”脅威”と言われ、以下の影響をもたらします。

  • 遅延やコスト超過

  • 技術的失敗

  • パフォーマンス不足

  • 評判の失墜

それに対してポジティブ・リスクは、”好機(チャンス)”とも呼ばれ、
通常は以下の観点で利益につながります。

  • 時間とコストの削減

  • パフォーマンスの向上

  • 市場シェアの拡大

  • 評判の向上

ポジティブ・リスクは、プロジェクトに利益や成長の機会をもたらす可能性があり、活かせばチームや組織にとって大きなメリットになります。


3. ポジティブなら喜ばしいはず、、、しかし


しかし、私の経験として、必ずしもポジティブリスクがいい効果をもたらすとは限らないと考えます。

冒頭の例がまさにそれに該当し、顧客への新製品の紹介がうまくいって、今度展示会で新製品のデモを実施します。

新製品の紹介が好評で、展示会でのデモを前に、すでに『すぐにでも欲しい』という声が上がりました

中国・韓国などアジアの顧客に多い積極的な反応ですが、そのためにプロジェクトを前倒しするにはリスクも伴います。

”すぐにでも欲しい”はありがたいが・・・

4. ポジティブからネガティブに変わるリスク

私は一時期マーケティングも担当していたので、上記の風潮は非常に心配しています。

顧客は“今このタイミング”での導入を強く希望しており、この機会を逃すと興味を失うリスクもあります。”熱しやすく冷めやすい”傾向も見受けられます。。

例えば顧客から「あなたのところは断ったけど、競合がいい提案をしてきたから今後はそちらを使うね」と言われたら目も当てられません。

しかし、中途半端にプロジェクトを完了させ、品質の悪い製品を出荷したものなら、顧客からの信頼を失墜させることになります。


5. ポジティブのまま”チャンスをつかむ”には

上のケースでいうと、PMとして以下の案を検討する必要があります。
これには当然ステークホルダー(利害関係者)、チームメンバーの協力が不可欠です。

プロジェクトの前倒し検討

まずは、プロジェクトの前倒しがどこまでできるかを見積もります。
必要な費用、人的リソースはプロダクトオーナーや経営陣に要求します。

この前倒しの重要性や、お客様が将来購入する見込みを聞き取り、プロジェクトとして採算が取れる内容になるか再計算します。

既存製品を使ってブリッジプランを提案

ブリッジプランとは、既存製品を使って“新製品の橋渡し”をする提案です。お客様の要望を一時的に既存製品でカバーすることで、導入機会を逃さない狙いがあります。

もちろんブリッジプランのままずっと使われるのはプロジェクトとして本末転倒なので、新製品への移行計画も必要です。

ブリッジプランで顧客との関係を繋ぎ、新製品への橋渡しをする

製品のステップリリースを検討

完全な完成品が提供できないのであれば、顧客の最低限の要求を組み込んだ製品を先に出すという方法もあります。

これをプロジェクトマネジメントの世界ではMVP(Minimum Viable Product)といいます。

ハードウェアと最低限の機能を実装したソフトウェアをMVPとして先行してリリースし、ソフトウェアだけオンラインでのアップデートも一般的になっています。

MVP(Minimum Viable Product)として初期リリース、後からオンラインアップデート

6. まとめ

一見すると喜ばしい「ポジティブ・リスク」も、プロジェクトの状況次第では「ネガティブ」に転じる可能性を秘めています。

PMとして重要なのは、こうしたチャンスを正しく評価し、組織全体で意思決定を行い、必要に応じた調整や代替案を用意することです。

単なるリスク回避ではなく、「リスクを活かすマネジメント」こそが、プロジェクトを成功へと導く鍵となるのではないでしょうか。


ここまでお読みいただき本当にありがとうございました。
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