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日本とドイツ、同じ会社でここまで違う?エンジニアが見た“リモートワーク文化”

1. はじめに

コロナ禍をきっかけに、日本でも一気に普及したリモートワーク。
私自身、現在は週2日ほどリモートワークを取り入れて働いていますが、徐々に出社の流れが戻ってきているのを感じています。

一方、私が関わるドイツのエンジニアたちは、コロナよりもずっと前から「ホームオフィス」という形で在宅勤務を当たり前のように活用していました。出社・在宅の選択肢がごく自然に存在していたのです。

本記事では、日本で20年近く、ドイツで4年、両方の働き方にエンジニアとして接してきた私の視点から、同じ会社なのにリモートワークをめぐる文化や制度の違いを掘り下げていきます。

ここでは私が勤めている会社のケースを取り上げさせて頂きます。
全ての会社はこの通りではないと思うので、あくまで一つのケースとして読んで頂ければ幸いです。



2. リモートワークの歴史的背景

● 日本:コロナで一気に進んだ“受動的導入”

リモートワークが本格的に導入されたのは、コロナ禍のタイミング。
それまでは「出社するのが社会人の基本」という空気が強く、リモートワークは一部のIT系などを除いて、例外的な働き方でした。

非常事態のなかで仕方なく始めたという印象が強く、コロナ収束後には元に戻そうとする動きも見られます。

● ドイツ:コロナ前から定着していた“能動的選択”

ドイツでは、コロナ以前から「ホームオフィス」が制度として整っていました。
多くの企業がVPNなどの社内ネットワーク接続環境を整えており、金曜日や長期休暇の前後には自宅勤務を選ぶ社員も少なくありません。

旅行好きなドイツ人らしく、「休暇の前後だけ在宅勤務」も珍しくなく、柔軟な働き方がごく自然に運用されていました。

これはドイツに限った話ではありません。10年以上前、アメリカのプロモーション業務で一緒に仕事をしていたカナダ・トロント在住の同僚は、すでにホームオフィス勤務が日常でした。

欧米圏では「働く場所の自由度」が、かなり前から企業文化に根付いていたのです。


3. 出社率をめぐる対応の違い

● 日本:出社率低下→「出社日」という対処

あるとき、全社集会の対面参加率が著しく低下(ほぼリモート参加)したことがあり、それを問題視した人事部が「週1回の出社日」を導入。こうした対応は、多くの日本企業でも見られるのではないでしょうか。

しかし、いざ出社を促しても問題は山積みです。
例えばリノベーションされた本社オフィスはフリーデスク制で、全員分の席がない。しかもネット回線が弱く、社内でまともに仕事ができず、結局「自宅のWi-Fiのほうがマシ」と帰宅して作業する人も。

出社を義務づける一方で、肝心の環境整備が追いついていない──これでは本末転倒です。

● ドイツ:出社率を前提に環境を再設計

ドイツでは、コロナ以降に「出社は最大で週の50%まで」とする明確な方針を立てました。
全社会議も完全オンラインに移行。
それに伴い、かつて全社員を収容していた大きなホールは不要となり、なんと取り壊して個室オフィスへと作り替えられました。

ドイツ企業は、「社員が出社しない」ことを前提として環境を設計しているのです。ここには、管理ではなく「合理性」があります。

日本とドイツで働き方の考え方がこんなにも違う

4. インセンティブの出し方

● 日本:出社=義務の世界

「会議は対面で」「出社日を設定」
こうした“社内ルール”によって、出社を促すのが日本型のアプローチです。義務である以上、社員に選択の余地はありません。

● ドイツ:出社に“メリット”を用意

一方ドイツでは、コロナからの回帰時に「出社するなら、期間限定で食費補助1日10ユーロを支給」といった具体的なインセンティブが設定されました。
また、フリースペースで週1回朝食のパンを出社する社員に提供するなど、みんなで集まってコミュニケーションを促進するといった施策も行われていました。

フリーのプレッツェルを片手に朝食を楽しむ

出社は義務ではなく、あくまで“メリットある選択肢”として提示されているのです。
ここにも企業文化の違いが色濃く表れます。


5. リモート設備に対するサポート

● ドイツ:会社が「即対応」

ドイツでは、在宅勤務に必要な設備──たとえば机、椅子、ノイズキャンセリングヘッドホンなど──は、会社が経費でスムーズに支給・申請対応をしてくれます。

環境整備も“仕事の一部”と捉える考え方が根付いています。

● 日本:稟議の壁

一方の日本では、「今年度の予算が決まっている」「市販価格を調査」「稟議が複数ルート必要」といった面倒なプロセスが立ちはだかります。
結果、申請を諦めて自腹で購入する人も少なくありません。


6. 職種ごとのリモート適応度

● ソフトウェア系:リモートに強い

ソフトウェア開発職では、クラウドやコラボレーションツールの普及もあり、フルリモートでも支障なく業務が遂行可能です。
ドイツでも日本でも、最もリモートワークに適した職種と言えるでしょう。

● ハードウェア系:出社の必要あり

物理的な試作物に触れる必要があるハード系エンジニアは、やはり出社が求められます。私もコロナ時で試作評価の時は出社していました。
ただし、設計フェーズ(CADなど)はリモートでも可能です。

ちなみに、ドイツのハード系エンジニアは自宅用に静電気対策を施した机や、精密な測定器まで導入するなど、“本気”で自宅環境を整備している人もいます。

● その他:総務・工場勤務など

会社の物理設備や対応が必要な職種──たとえば総務や製造現場のスタッフなど──は、基本的に出社が前提です。

これはドイツでも同様ですが、日本ではさらに「上司の意向」によって、リモート対応可能な仕事でも出社が義務化されることがあります。


8. おわりに

リモートワークというひとつの働き方を通じて見えてくるのは、「文化と考え方の違い」です。

・出社するのはなぜか?
・在宅勤務に必要な支援とは?
・誰が、どこまで自由に働き方を選べるのか?

それらすべてが、「働く」という行為に対する考え方によって設計されている──そんな違いが、日本とドイツにはあります。

今後、日本のリモートワーク文化をより成熟させるには、「信頼」と「合理性」に根ざした制度設計が不可欠なのではないでしょうか。


最後までお読み頂きありがとうございました。
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