がんばった私に最高のご褒美
『キッチン常夜灯 ほろ酔いのタルトタタン』感想 🍷🍎
読み終わって、まず思ったのは「これはお酒を片手に味わいたい本だな」ということ。
3巻はタイトル通り“ほろ酔い”がぴったりで、タルトタタンの甘酸っぱさとワインの渋みが、物語の余韻と重なって心に残った。
キッチン常夜灯
ほろ酔いのタルトタタン
長月天音 (著)
がんばった私に最高のご褒美! ここは、心を整え、満たしてくれる場所
チェーンレストラン「シリウス」を運営する株式会社オオイヌに入社したかなめは、店舗でやりがいのある日々を送るも、数年後に製菓部への異動を告げられる。製菓部は製菓工場内にあり、どこか閉鎖的な部署だ。頭の固い製菓部長のもと、早く仕事を覚えて戦力になりたいと思うものの空回りする日々。偶然再会した幼なじみの柊太はカフェで楽しそうに働き、しっかり自分の夢を持っていた。異動願いを出すべきか踏ん張るべきか、30歳を前にして焦りが増していく。ある日、デザートの打ち合わせに神保町の本社を訪れたかなめは、新田つぐみと出会い、「キッチン常夜灯」を教えてもらう。シェフたちとの交流と丁寧な料理を通じて、仕事のやりがいや働く環境、そして自分自身にじっくり向き合うようになる。
ほろ酔いのタルトタタン
長月天音 (著)
Amazonより
✻あらすじ✻
「がんばっているのに、空回りしている」
それが、ここ最近の私の毎日だった。
チェーンレストラン「シリウス」に入社して、店舗勤務は大変だけどやりがいがあった。お客さまの笑顔を間近で見られたし、仲間と一緒に達成感を分かち合う瞬間も多かった。だから製菓部への異動を告げられたとき、正直戸惑った。工場の中は閉ざされた空気が漂っていて、頭の固い部長の下、早く戦力になりたいと必死になればなるほど、空回りしていく。
そんな時、偶然再会した幼なじみの柊太は、カフェで楽しそうに働いていた。夢を持ち、迷いなく前に進む姿が、まぶしくて、羨ましくて。私はこのままでいいのか、異動願いを出すべきか、それとももう少し踏ん張るべきか…30歳を前にした焦りが日に日に大きくなる。
そんな私を変えたのは、神保町の本社で出会った新田つぐみさんだった。彼女に教えてもらった「キッチン常夜灯」――そこは、心と体をほっと緩めてくれる場所。シェフたちが作る料理はどれも丁寧で、ひと皿ごとに温かさがあった。グラスを傾けながら、タルトタタンの甘酸っぱさを口にしたとき、私はふと気づいた。
“私、いつの間にか、自分を追い詰めすぎていたんだ”
「キッチン常夜灯」で過ごす時間は、仕事のやりがいや働き方、自分自身の心とじっくり向き合うきっかけになっていった。
たぶん、私はこれからも迷うだろうし、焦りもするだろう。でも――
あの店で過ごしたひとときがあれば、また明日をがんばれる。
ほろ酔いのタルトタタンの甘さと苦みが、そんな私をやさしく支えてくれる。
◆感想◆
主人公・かなめの焦りや迷いは、まさに30歳前後に差しかかる悩み。
仕事で空回りしたり、周囲の友人が夢に向かって歩んでいたりすると、「私はこのままでいいのかな」と不安になる。そんな気持ちが丁寧に描かれていて、胸がぎゅっとした。
でも「キッチン常夜灯」に出会ってからのかなめは少しずつ変わっていく。あの店の温かな料理や、シェフたちとの交流が彼女の心を整えていく様子に、私まで癒やされる気がした。読んでいるうちに、自分も仕事や日常の焦りから一歩引いて、深呼吸できるような感覚になるのが不思議。
今回も食べ物の描写が本当においしそうで、読んでいるだけで幸せになれる。ページをめくりながら「今日の晩酌は何にしようかな」と考えてしまったくらい。
🍴✨
「がんばった私に最高のご褒美」――まさにこの言葉どおりの一冊。
仕事や人生にちょっと疲れた夜に、グラスを傾けながらゆっくり読みたい本だった。
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自己紹介
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