人間の弱さ
『ようこそ!FACT(東京S
区第二支部)へ(4)』「な
ぜ人は陰謀論という果実に惹
かれるのか」という問いと、
主人公がたどり着く“答えの
なさ”に深く考えさせられま
した。
ようこそ!FACT
(東京S区第二支部)へ(4)
魚豊 (著)
”陰謀論”を信じてはいけなか
ったのかー?
「人生が、始まってる気がし
ない」
小さな不信感から始まり、傾
倒した”陰謀論”。
しかし嘘に裏切られ、手元に
残ったのはいくつかの疑問だ
った。
「なぜここでトラブルに遭っ
たんだろう」
「なんであの子と出会ったん
だろう」
「なんで陰謀論を信じたんだ
ろう」
”陰謀”と決めつけて蓋をした
疑問に再び向き合い、答えの
ない問いに決着をつけること
はできるのかーーー
『チ。』『ひゃくえむ。』の
魚豊が示す、
「運命」と「真理」の物語―
――!!
(東京S区第二支部)へ(4)
魚豊 (著)
Amazonより
「陰謀論」を信じた先に残る
もの
本作の主人公・渡辺くんは、
人生に閉塞感を抱え、何かを
信じることで自分の存在価値
を見出そうとします。
小さな不信感から始まり、陰
謀論に傾倒し、やがて「嘘」
に裏切られる。
そのとき彼の手元に残ったの
は、「なぜトラブルに遭った
のか」「なぜあの子と出会っ
たのか」「なぜ陰謀論を信じ
たのか」といった、明確な答
えのない疑問ばかりでした。
疑い出したら止まらない人間
の心理
物語は、偶然や違和感、そし
て一度抱いた疑念がどんどん
膨らみ、やがて全てが“陰謀”
に見えてしまう心理をリアル
に描いています。
一度疑い始めると、日常の些
細なことまで陰謀の証拠に思
えてしまう――それは決して
特別な人だけの話ではなく、
誰の心にも起こりうる現象だ
と痛感しました。
「陰謀論」にハマる人のリア
ルな姿と社会的背景
この作品の特筆すべき点は、
陰謀論に傾倒する人々の心理
や背景、社会的な孤独や承認
欲求までを丁寧に描き出して
いることです。
主人公は決して悪人ではなく、
むしろ実直で優しい青年。
そんな彼が、承認や共感を求
める中で少しずつボタンを掛
け違え、気づけば抜け出せな
くなってしまう。
そのリアルさが胸に刺さりま
す。
「陰謀論」は救いか、それと
も罠か?
4巻のラストは、陰謀論とい
う「物語」にすがることで一
時的な救いを得た主人公が、
最終的には現実と向き合わざ
るを得なくなる展開です。
陰謀論に依存し、恋愛や現実
逃避に溺れた末に、主人公が
自分自身と向き合い、前を向
く姿には希望も感じました。
現代日本における「陰謀論」
と自己肯定感の問題提起
この作品は、現代日本におけ
る「自己肯定感の低さ」や「
孤独」、そして「陰謀論に惹
かれる心理」をリアルに描き、
単なるエンタメやラブコメの
枠を超えた社会的な問題提起
となっています。陰謀論が流
行する理由や、その危険性、
そして抜け出すためのヒント
を、物語を通じて体感できる
点が大きな魅力です。
まとめ
『ようこそ!FACT(東京S区第
二支部)へ(4)』は、陰謀論
に惹かれる人間の弱さと、そ
の先にある再生の可能性を描
いた現代的な傑作です。
陰謀論を信じることで一時的
な救いを得ても、最後に向き
合うのは“自分自身の人生”。
この漫画は、現代社会を生き
る私たちに「何を信じて、ど
う生きるのか」という根源的
な問いを投げかけてきます。
孤独や不安を抱えるすべての
人に、ぜひ読んでほしい一冊
です。
Kindle版

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自己紹介
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