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真実の姿

シリーズ第6弾『妖奇庵夜話
 花闇の来訪者』を読みました。
   緊張感に圧倒されました。
 今回のテーマは「真実の姿」。
表面的な姿と内面の乖離、そ
してそれを見抜く伊織の鋭い
洞察力に、改めて引き込まれ
          ました。


妖奇庵夜話
花闇の来訪者
榎田 ユウリ (著)

妖怪のDNAを持つ「妖人」茶
      道家、洗足伊織。
その「家族」で、「小豆とぎ
」の妖人であるマメが、「ひ
まわり食堂」でボランティア
として働き始めた。しかし、
小豆が現場に遺された殺人事
      件が起きて……

妖奇庵夜話
花闇の来訪者
榎田 ユウリ (著)
Amazonより

 物語の中心となる《口裂け女》
を自称する女性の登場は、妖
怪伝承と現代社会の問題を巧
   みに結びつけています。
伊織が彼女に告げる真実は、
単なる妖怪の正体暴きではな
く、人間社会の闇を鋭く指摘
      するものでした。
この展開に、榎田ユウリさん
の社会批評的な視点を強く感
         じました。

一方で、マメが食堂でのボラ
ンティア活動を通じて成長し
ていく姿は、希望に満ちてい
ました。しかし、その食堂関
係者の殺人事件にマメが巻き
込まれる展開は、息をのむほ
  どの緊張感がありました。
伊織が感じる不穏な気配は、
読者である私にも強く伝わっ
てきて、ページをめくる手が
    止まりませんでした。

特に印象的だったのは、伊織
の「家族」への愛情が、より
深く、より複雑に描かれてい
         る点です。
平穏を愛する一方で、危機に
際しての彼の行動は、時に冷
     徹で、時に情熱的。
その矛盾した姿に、人間らし
さを感じずにはいられません
          でした。

榎田ユウリさんの筆力は健在
で、妖怪ファンタジーの枠を
超えて、現代社会の闇と人間
の本質を鋭く描き出していま
            す。
特に、表面的な姿と内面の乖
離というテーマは、SNS全盛
の現代に通じるものがあり、
    考えさせられました。

『妖奇庵夜話』シリーズは、
回を重ねるごとに物語の奥行
きが増し、キャラクターたち
の関係性がより複雑に、より
    深くなっていきます。
特に今回は、伊織を取り巻く
「家族」の絆が試される展開
に、胸が締め付けられる思い
          でした。

この作品は、ミステリーとフ
ァンタジー、そして人間ドラ
マが絶妙なバランスで融合し
         ています。
妖怪や妖人という非現実的な
存在を通して、むしろ現実社
会の問題をより鮮明に浮かび
上がらせる手法に、作者の力
      量を感じました。
次巻では、この物語がどのよ
うな結末を迎えるのか、今か
     ら心躍る思いです。


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