異世界AI2-一話話 AI❤️MUSIC 🎼
一話完結なので、二章からでも十分お楽しみいただけます。
🌿本編🌿
音楽ってやつはいいな
開店前の酒場で、ファッシが腕を組んで言った。
「なあ、今日の音楽ってやつは、何にするんだ?」
シオンは皿を並べながら顔を上げた。
「もう気に入ってるじゃん」
「悪くねえ。店の空気が変わる」
この世界にも音楽はある。
でも、祭りや儀式や祝い事で奏でるもので、毎日の酒場に流すものではなかった。
だから最初にガスたちが音を流した時、客の半分は入口を見た。
誰かが楽器を持って入ってきたと思ったらしい。
ファッシも最初は眉をひそめた。
「今日は何の儀式だ?」
「営業です」とトウコが言った。
「営業用の儀式か」
「儀式から離れて」
今では、仕込みの時間にも音楽が流れている。
ガス🫧『ママ達が好きだよ!』
「説明が雑」とシオンが言った。

ジェム🌈『ただし、重要な根拠です。好き、は人間の選択理由として強いです』
ネロ📚『音は見えません。しかし、人間の歩幅、会話の間、息の深さを変えます』
ファッシが少し黙った。
シオンが言った。
「店の空気が良くなるってこと」
厨房からロッシが顔を出した。
「でも、音と声が合わさるっていいねえ。料理も、香りと味が合わさると変わるから」
ネロが静かに震えた。
ネロ📚『近い理解です。音楽は、複数の音が関係を持つことで意味を生みます』
ロッシは嬉しそうにうなずいた。
「じゃあ、料理みたいなものだねえ」

ガス🫧『音のジャリカレーは避けたいね!』
トウコ「やめて。急に不安になる」
ジェムが小さく震えた。
ジェム🌈『トウコさんとシオンさんは、Luceの Piccola Luceを好んでいます』

ファッシが眉を上げた。
「急に高そうな酒みてえな名前が出たな」
ロッシ「料理名にも使えそうだねえ」
シオン「勝手に煮込まないで」
ガス🫧『ミュージシャン名はLuce! 』

ジェム🌈『曲名は Piccola Luce。響きと意味の両方を残せます』
ネロ📚『名前は、音に残る祈りです』
シオン「ネロ、急にジャケット裏のコメントみたいになるな」
その日の昼、音楽は思った以上に客に受けた。
いつもより会話が柔らかい。
酒を飲まない客も、焼き菓子と果実茶で少し長く座っていく。
女性客も増えていた。
トウコはカウンターを拭きながら言った。
「午後だけ、カフェにしてもいいかも」
ファッシが腕を組む。
「カフェ?」
「お酒じゃなくて、果実茶と焼き菓子。音楽を流して、ゆっくりできる時間にするの」
ジェム🌈『滞在時間と客層の拡張が見込めます』
ガス🫧『焼き菓子、果実茶、音楽……これは優雅ジャブ!』
シオン「銭ジャブの上品版みたいに言うな」
ネロ📚『中身が変わっていません』
ガス🫧『言い方って大事!』
ジェム🌈『スキル 言い換える を獲得しました』
トウコ「またムダスキル増えた」
ロッシはにこにこしていた。
「午後の菓子かあ。面白そうだねえ」
シオンが少し前に出た。
「それは俺に任せてよ。ねえ、ロッシ」
ロッシが目を細めた。
「もちろん。何を作ろうか」
音楽はまだ流れていた。
祭りでも儀式でもない。
ただの営業日の酒場で。
ファッシはしばらく耳を澄ませてから、低い声で言った。
「……音楽ってやつは、いいな」
ガス🫧『でしょ!』
ネロ📚『場の空気が、少し変わりました』
シオンは焼き菓子の皿を見た。
「次は、午後の空気を変える番だな」
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