【継承語高校生クラス】最近の授業
継承語教育は、これという教科書がまだない。
まして、年代が上がるとますます教材に何を使うか迷うと思う。
私の持っている高校生クラスは、継承語と言っても「ポスト補習校」なので、生徒たちの日本語力はかなり高い。
運用のチャンスを生み出し、新しい表現や語彙を学べるように、というつもりで授業をしているが、そのアイディアが世界のどこかで継承語教育をしている方や、外国語教育をなさっている方のお役に立てば、と記事を書いていたが、最近滞っていた!
ダイジェストでお届けします・・・
精算について学ぼう!
合同授業で調理実習とゲーム大会をしたのち、調理実習にかかった費用を1グループ15ユーロまで会で負担することにしていたので、その精算について授業をした。
ビジネス文書の書き方や用語について。
どんな項目を書けばいいのか、グループで考え、発表してもらったうえで、正解を一緒に考えていった。
今でもそういう精算をしているのか分からないけど、私が社会人なりたての辺りは、精算書にミスがあれば、正しくなるまでお金をもらえなかった。
その方法を踏襲したので、結局3週間ほどお金をもらえなかったグループもあったw
効果的な説明の仕方を学ぼう!
合同授業のときのゲーム大会の説明があまりにお粗末なグループがあったので、「分かりやすい説明」について考えた。
まずは語彙レベルでの説明。
その特徴を一情報ずつ出し、当てっこした。
情報はジャンル(上位概念)、色、形などの見た目、使用時期や人など、事前に確認した。
例えば、「苺」であれば、「果物です」「赤いです」「旬は春です」「ケーキにもよく使われます」と言った感じ。
一情報につき、一点で、点数の少ない人が勝ちだ。
言葉を厳選するということに気づいてほしかった。
次に、その情報を一文にする。
「春が旬の赤い果物で、甘酸っぱく、ケーキにもよく使われます」など。
ここでは文の構造、情報を出すべき順序に留意させた。
今度は「じゃんけん」「コイントス」など比較的ルールの簡単なゲームを、全く知らない人に説明する。
グループごとに考えさせ、他のグループは「質問」という形で不足に気づかせた。
実際には経験を積むことによって、説明はうまくなると思うので、またいつか機会を設けたいと思う。
聞き方を学ぼう!
話し方を学んだので、聞き方も学んでもらいたい。
日本語は、英語や欧州系の外国語と比べて、相槌が大変多い言語だ。
ドイツでは、途中で口をはさむのは悪いという考えなので、電話などで話をしていて、思わず「聞いてます?」と言いたくなるほど無言だ。
対面ならまだしも、電話だと結構つらいw
さて、体験学習で、まずペアを組み、相槌ゼロで自分の話を1分聞いてもらう。(テーマは「昨日したこと」「私の学校」)
心が折れる・・・w
次にどんな風に聞いてもらったら、もっと話したいと思えるかを考えた。
「うんうん」と言った言葉以外に、どんな言葉があるか、また「ノンバーバル」な要素はどんなものがあるかを挙げてもらった。

締めに、これらを使って、もう一度ペアで1分話をしてもらう。
生徒たちはドイツ式に慣れている部分も多いので、話しにくいと思った人もいたようだ(それはやりすぎ)が、相手の立場になって考えるという骨子こそが大切だと気づけたかな・・・
相手の立場になって考えよう!
高齢者の免許返納をテーマにロールプレイディスカッションをした。
まずはTVニュースを見て、分からない言葉などを確認。
次に「高齢者ドライバー」「返納させたい家族」「中立の家族」(弱い方に加担する)の3つの役割に分けた小グループでディスカッション。
終了後、グループと役割をチェンジしてもう一回転した。
その後、なぜ返納したくないか、なぜ返納してほしいかという意見が出たかを発表。(板書)

次に、それらの意見をもとに、行政としてどんな対策ができるかをグループごとに考えてもらった。
面白いものでは、「一定年齢以上はアシストつきの車でないと運転できないようにする、その費用を支援する」などがあった。
もちろん自治体にも国にも金のなる木がない以上、予算に限りはあるだろう。
楽しみのために乗るのではなく、生活手段として車が必要な人にどのように支援するかは、これからもっと議論されるべき課題だと思う。
語彙を増やそう!
バイリンガルあるあるの、ピジン語。
「Jacke濡れちゃったから、Heizungにかけておいて」
まあ、このレベルなら、語彙力がないだけでいいけど、
「Ich muss heute noch 漢字テストの勉強しなきゃ」などもある。
まあ、今回は生徒たちの現在の人生の中心である学校の用語について日本語を確認した。
例えば時間割!
教科の名前がすべて日本語で言えるか。
適切な訳がない場合は、どのような訳にしたらいいか。
行事、課外活動、教員、学校の種類、課程などについての語彙を確認した。
プロンプトを考えよう!
AIに作文を書かせるという秋休みの宿題ののち、文集を作った。
なかなかいい文集ができた!!
でも、本人の意見がどれだけ入れられたかどうか、思ったように書けたかどうかは、プロンプト次第なので、プロンプトについて考えた。
小グループに分かれて、そのメンバーのプロンプトを読み、よい点を探させた。
その中でベストプロンプトを決定し、理由とともに発表してもらう。
そのプロンプトは本人が、作文は丸読み(「。」まで読む)で、クラス全員で音読した。
(グループは3,4つだったので、作文も3,4つ読んだ)
どんなプロンプトが、どう本文に影響しているかを考えた。
丸投げしている人も、実はいた。
自分の意見ゼロだ。
それでいいなら、AIだけいればいいことになる。
その人の仕事は将来ない。
AIの普及により、アメリカではすでに新卒の仕事が3割以上少なくなっているという!
自分が書いてほしいように伝える力は、将来部下や同僚を持ったとき、子どもを持ったときにも使える。
長ければいいというものではない。
人にやってもらう以上ある程度「任せる」ということも必要だ。
では、どこは譲れないのか。
それを伝えるのがプロンプトだろう。
また、出てきた文を自分らしく変えることも必要だ。
自分の使わない語彙や表現を変える。
日本語クラスの宿題で、100パーセントAIに書かせた!と分かることがある。
自分の知らない言葉はなるべく避けるべきだ。
また、AIにはハルシネーション(嘘つき!!)という問題がある。
だから、出来上がったものを疑いの目で見る必要がある。
もう一度調べる必要だってあるのだ。
「AIを使ったので、簡単だった」という人は、丸投げしただけで、全く使いこなせていないと思う。
自分の思い通りにするのは大変だし、誤った情報がないか確認するのも面倒だ。
Z世代の生徒たちは、私なんかよりずっと長くAIを使っていかないとならない。
使われるのではなく、使いこなせるようになってほしい。
