【序章-1】 ちょうど11年前の今日...
【プロローグ/その1】
忘れもしない2014年の3月28日…。
そう、ちょうど11年前の今日。
これは実際に起こった本当の話だ。
あの日は、
春の訪れを感じる暖かな陽気だった。
ただ、ちょっと前から原因不明の微熱が続いて、
ボクの体調は優れなかった。
ボクには小学2年生の娘・朱莉愛(じゅりあ)がいる。
昨日も習い事のダンススクールの送り迎えをして、
一緒に夕食を食べて、お風呂に入り、
大きめのベッドで共に就寝した。
正確には隣で娘を寝かしつけたら、
ボクは一度起きて作業をしたり、
テレビを観たりしてくつろいだ後に、
またベッドに戻るのだけど…。
妻のミユさんは、
昨夜もメディアの仕事が忙しいらしく、
会社に泊まって作業するとのことだった。
これは時折あること。
我が家には珍しいことではない。
なので家事や…
とくに娘の育児はボクが中心となってやっていた。
朝の7時を過ぎた辺りだろうか。
目覚めたら、隣で寝ている朱莉愛がいなかった。
そして、ベッドが少し濡れているのに気づいた。
“おや…おねしょ…かな…?”
珍しいな。
まだ幼き頃は別として、
朱莉愛がおねしょをした事は、
ほとんどなかったから。
寝室からリビングに移動する。
今、小学校は春休みだ。
朱莉愛は春休み期間、
学童に通っている。
なので、少し時間は早いけど、
ミユさんが一度着替えに戻った際にでも、
学童に連れて行ったのだろう…
そんな風に考えた。
リビングの一角には朱莉愛スペースがあって、
彼女の机や本棚、衣装ケースなどが置いてある。
そこが…何かいつもと違うような…
ボクはどこか違和感を感じた。
それに、おねしょがやっぱり引っかかる。
濡れた朱莉愛の下着も雑多に置かれていたし。
妻のミユさんにスマホから、
その旨をメッセージで送った。
ボクらはよく連絡を取り合う夫婦だ。
…が、しばらくしても返信がない。
その後も何度かメッセージを入れたが、
既読すらつかない次第。
おかしいな…
何か胸さわぎがする…
お昼になってミユさんに電話をした。
電話口で、声が聞こえた。
だが、返答の声はミユさんでなく、
自動音声のアナウンスだった。
「この電話は都合により、現在使われておりません」
いつもと変わらない日常…
どこにでもある家庭の一コマ…
それがこの後、
一気に崩れていくのだ。
(序章-2につづく…)
★写真は朱莉愛が、当時の予定を書き込んでいたディスニーのカレンダー。3月後半は、ほぼ書き込みがなかった。
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