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【読者連動】アトラと虹色の本②銀青 虹色創作部

前回までのあらすじ

アトラは友達がいない孤独な女の子。
一人で図書室で本を探していると、中身が白紙の本に出会う。
夜、本を開くと、びっしりと文字が刻まれていた。

アトラはそっと本の表紙に触れた。さっきまで気づかなかった、自分の指が震えていること。深呼吸ひとつ置いて、ゆっくりとページを開いた――。

ミルで豆をひく音とともに
珈琲の香りが立ちのぼる

そのページを開くと、ひきたてのコーヒーのような優しい匂いがした。
夕日のようにポカポカと温かい。
言葉を交わさずとも、隣でカップが置かれ、ページがめくられる。孤独ではない。そう囁かれているような、優しさが彼女の胸を満たした。アトラは夢中でページをめくった。

「ねえねえ、キミっていつもこのバスなの?」
「いつもはバイトがあるから、もっと早いよ」

私も、隠れファンの男の子からこんな風に声をかけられて、二人で映画見に行って、暗闇の中で二人の指先が触れ合って。。。
グダグダと妄想して、アトラは自分が一番やりたかったことを思い出す。そうだ、知らない誰かと心を重ねる瞬間の、ほろ苦くも愛おしい予感、「恋」がしたかったのだ。
誰かに声を掛ければ物語は始まるのだろうか。

切ない話、ほのぼのする話、きゅんきゅんする話、ページを捲るたびに、「夕焼け色」の物語が紡がれていく。

アトラは少しずつ理解した。
これらの詩は、ただの飾りじゃない。 この本そのものが、誰かの心の断片でできていて、 その想いが、時間を越えて、今の自分に届いているんだ。そんな気がした。そして、それが自分に語りかけてきているとしたら。

本を閉じると、アトラはハッとした。
表紙の色が、また変わっていた。

夕焼けのようなオレンジでも、さっきの藍色でもない。
それは、どこか未来的で不穏な、けれど吸い込まれそうな銀青
氷の粒と都市の空を混ぜたような、透明感と重さを併せ持つ色だった。

手に取ると、ひんやりとした感触が伝わってくる気がした。
けれどそれは冷たいわけではなく、静かで、深い。
まるで、遠い誰かの時間が封じ込められているような。

「こんな色、見たことない」
思わずそうつぶやいて、アトラは本の表紙を両手で包み込む。 何も語らないその無言の装丁に、なぜか安心感を覚える。
それは、ただの紙とインクじゃない。 この本は、生きている。アトラはそっとページの端に指をかけたが、もう読み進めるのはやめた。

この本は、急いで読むものじゃない。言葉ひとつひとつが、じっくり心の中でほどけていくような気がしたからだ。

机の上に本を置くと、銀青の表紙がやわらかく光を反射していた。
その色は、今のアトラにしか見えない色なのかもしれない。
明日にはまた違う色になっているかもしれないと感じた。


これは読者と一緒に作る物語
前回はこちら


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最初の一ヶ月くらいは参加者0人だと思っていたので、4人も入っていただけて本当に感動しております。
SKY様、御堂様、naru様、sta.様、ありがとうございます。


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