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【#毎週ショートショートnote】「I魚人(あいうおんちゅ)」

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いつものごとく、文字数を超えてしまう私に天罰を!


神が奪った光


「なに、じゃ乗れ、船の上で話してやろう」

 と、漁師は、スーツを着た若い男を船に乗せた。

 船にはすでに漁師ともう一人乗っている。

 若い男が乗り込むと、すぐに船は、夜の海に向かって動き出した。

「この海は、たまに声を出すんだ」

「声?」

 漁師の話を若い男は食い入るように聞いていた。

「夜中に、ウオンチュ〜、ウオンチュ〜、と唸るような声が聞こえてくる」

「うおんちゅ?」

「この辺りでは、魚人という神がいるという言い伝えがある。その神が声を上げていると信じられているんだ」

「うおんちゅ、という神ですか」

「うん、魚人がの声が聞こえた次の日の夜、向こうに見える島の近くによそ者の遺体が浮かぶんだ」

 漁師は船の向かっている先を指さした。

 そこには、月の明かりにぼんやり映る島影があった。

「昨晩、その声を聞いた、だからこうして駐在さんと一緒に、そこへ向かっているんだ」

 やがて船は島の側に着く。

 すぐに遺体は見つかり、漁師と駐在さんで船に乗せた。

 顔を見た漁師が言った。

「こいつは、有名な国会議員じゃないか、お前の探していた人か?」

 漁師が聞くと、若い男は首を横に振った。

「そうか、魚人の声が聞こえたときに上がる遺体は、いつもこいつみたいに悪いことで有名な奴ばかりだ」

 と、漁師は言ってから、海を見ながら独り言のように続けた。

「魚人は、悪者の命を欲しがるんだ、人によっては、I魚人、と呼ぶものもいる」

「アイ……ウォンチュー?」

 若い男は意味を悟り、身震いして、空を見上げた。


画像:余白/illustAC


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