長編小説:童貞スーサイズ-36
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■第36話■ そこあたしの場所
(本文抜粋)
名前を思い出すために芳雄がじっと見ていたせいか、太田はきまりわるそうに地面を意味なくスニーカーの踵で掻いている。
「ああ? ………ああ」
芳雄はようやく、痴呆老人のような返事をした。
「……そこ、どいてくれる?」太田は地面を踵で掻きながら言う。「……そこ、あたしの場所なんだ」
「きみの場所?」
「……うん、小林君、休み時間は、ずっとそこに居るじゃん。困るんだよね。そこ、ほんとはあたしの場所だから」
「………なにそれ」
「…………」
太田は答えず、地面を掻き続けた。
眼鏡の奥の目を、一度も芳雄に目を合わそうとしない。
「……邪魔だったらどっかに行くけど……」
そう言って芳雄が腰を挙げかけた。
「待って」と、いきなり太田が掌を突き出して芳雄の動きを制する。「なんでそこがあたしの場所なのか…………知りたくない?」
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