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AIでコードが安くなる時代、価値はどこへ動くのか ―― SaaSの次に来るもの

AIでコードが安くなる時代、価値はどこへ動くのか ―― SaaSの次に来るもの

先日、AIに一行お願いしただけで、以前なら数週間かかっていたようなソフトの試作が、1時間ほどでできてしまいました(その話は前回の記事に書きました)。その時、ふと立ち止まって考えたんです。“作る”が、ここまで安く、速くなるなら――これから数年で、ソフトの価値は、どこへ動くんだろう? SaaSの次に来るものは、何だろう? 今日は、まだ答えの出きっていない、私の見立てを書いてみます。

まず起きること ―― 「作る」の値段が、下がっていく

AIによって、少なくとも試作や初期の実装については、コードを書く手間とコストが下がっていく可能性が高いと見ています。これまで「調べて、選んで、組んで、試す」に何日もかけていた部分を、AIが短時間で手伝えるようになる。専門家でなくても、そこそこ動くものが、速く、安く手に入る。“作る”という行為そのものの値段が、下がっていく――そういう時代に入りつつあります。

だから逆説的に、「速く作れるだけ」では武器にならない

ここで、多くの人が「じゃあ、速く作れる会社が勝つ」と考えます。でも私は、逆だと思っています。

速さは、これから多くの会社に広がっていくからです。あなたの会社の内製部門にも、競合にも、同じ速さが届いていく。みんなが速くなれば、速さは当たり前になる――つまりコモディティ化します。だから、自分たちの強みを「速く作れます」だけに置くと、数年後にはほとんど効かなくなる。ここが、最初の落とし穴だと思います。

SaaS(規格品)から、“あつらえ”へ

では、何が変わるのか。ひとつは、ソフトの“形”です。

これまで、私たちが汎用のSaaS(既製の規格品)を、多少の我慢をしながら使ってきた理由の多くは、「自社にピタッと合うものを作るのは高いから」でした。その前提が、少しずつ崩れます。作るのが安くなれば、業務にちょうど合う“あつらえ”のソフトを、必要な分だけ持つ、という選択が現実的になる。もちろん、標準化が効く業務では、これからもSaaSが強い領域は残ります。ただ、重心は少しずつ“あつらえ”寄りに動く、というのが私の見立てです。

とくに建設の世界では、これが効きます。会社ごと、現場ごとに業務がバラバラで、言葉になっていない“暗黙知”だらけ。汎用のSaaSが、なかなかピタッと刺さらない業界です。だからこそ、「その現場に合わせて仕立てる+伴走する」やり方の価値が、他業界より高くなると見ています。

でも、本当の問いは「SaaSか、カスタムか」ではない

ただ、ここで立ち止まりたいのです。「これからはSaaSより、フルカスタムだ」――そう言い切ってしまうと、また“形”の話に戻ってしまう。SaaSか、あつらえか、運用受託か。それは、いわば“包装”の話です。

本当の問いは、もっと下にあります。AIが安くできない何を、自分たちは貯めるのか? 先に私の答えを言っておくと、SaaSの“次”は、ひとつの形ではありません。あつらえ・運用・データの入口が組み合わさった形になる、と私は思っています。この“貯めるもの”が定まれば、SaaSもカスタムも運用も、「顧客ごとに選ぶ包装」にすぎなくなります。

価値が動く先 ―― 「AIに安くできないもの」を4つ

私が思う“貯めるべきもの”は、この4つです。

① 現場データの入口。 現実の情報が生まれる“源”を押さえること。図面、写真、点群、検査の記録――その入口を押さえる力は、簡単には代替されません。

② 暗黙知を掴む力。 要件定義のボトルネックは、実はタイピングの速さではありません。「現場が本当は何に困っているのか」を引き出すこと、です。AIで速くなるのは、その後の“清書”のほう。むしろ、コードが一瞬で建つ時代ほど、現場に入り込んで暗黙知を掴み、その場でかたちにできる人の価値は、上がっていきます。

③ 堅い土台(つなぐ・落ちない・守る)。 統合、インフラ、信頼性、セキュリティ、運用。“動くもの”を作るのは簡単になっても、“止まらず・安全に・既存の仕組みとつないで動かし続ける”のは、AIだけでは完結しにくいところ。人と組織の設計が要る領域で、ここはドメインと同じくらい効く堀になります。

④ 再利用できる部品庫。 毎回ゼロから作るのではなく、過去の“あつらえ”を部品として貯め、次はもっと安く・速く建てる。ここで初めて、日々の努力が“積み上がる”資産になります。

コードを書くこと自体のハードルは、これから大きく下がっていく。でも、この4つは、時間をかけて現場で積むしかない。だから堀になるのです。

稼ぎ方も、動いていく ―― 「作る」から「続ける」へ

そして、お金の入り方も変わります。“作ること”の値段が下がる世界では、作ることだけでは、以前ほど差がつきにくくなります。

代わりに価値が乗るのは、(a)何を作るべきかを見極め、暗黙知を引き出すところ、(b)作ったあと、運用し続けるところ(=月々の継続収益)、(c)データの入口。とくに(b)は大きい。派手な新機能を売るより、「現場でちゃんと使われ続ける状態を保つ」ことに、静かにお金が乗っていく。私は、そう見ています。

だから、私たちがやりたいこと

まとめると、これから効くのは「速く作れます」ではなく、AIが安くできないもの――現場データの入口、暗黙知を掴む力、堅い土台、そして積み上がる部品です。

だから私たちは、“作る速さ”そのものを売りにするつもりはありません。現場に入り込んで、言葉になっていない困りごとを掴み、堅く動かし、現調から生まれるデータの入口を押さえる。その上でなら、SaaSでも、あつらえでも、運用でも、お客さまに合わせて“包装”を選べばいい。もし「うちの現場に、ちょうどいい形はどれだろう」と迷うことがあれば、そんな入口の相談でも大歓迎です。詳しくは onetech.jp からお気軽にどうぞ。

道具は、これからも速いペースで賢くなります。でも、賢い道具を“意味のある仕事”に変えるのは、現場を知る人間の側です。作ることが誰にでもできる時代だからこそ、「何を、なぜ作るのか」を掴む力を、こつこつ積んでいきます。今日も、現場の面倒をひとつ、軽くする一日にしていきます。

WHAT A WONDERFUL DAY TODAY!

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