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#41|物差しが変われば、現場は変わる

ヤンキーがハイブランドを持つ理由から、経営の本質を考える

いわゆるヤンキーと呼ばれる若者たちは、「普通はこうすべき」「ちゃんとした格好をしろ」「大人らしく振る舞え」といった社会の常識を、全力で拒絶します。
ところが、ルイ・ヴィトン、グッチ、ロレックス、誰が見ても「本物だ」とわかるハイブランドを好んで身につけている印象です。

一見すると矛盾しています。

しかし、この矛盾を丁寧に解きほぐしていくと、中小企業の現場でも毎日起きている、ある人間心理の本質が見えてきます。



1.嫌っているのは「評価」ではなく「物差し」


彼らが本当に嫌っているのは、評価されること自体ではありません。

自分が納得していない物差しで測られること

学校の成績、会社の肩書き、言葉遣いの丁寧さ、こうした「世間のまっとうな基準」で認められるには、長年おとなしくシステムに従い、上の顔色をうかがい続ける必要があります。
そのゲームで最初から不利な立場にいる人間にとって、それは「絶対に勝てないルールで、勝手に採点される」理不尽さでしかないのです。

だから、そのゲームから降りる。

しかし、承認欲求がなくなるわけではありません
人は本能的に、自分の価値を誰かに証明したい生き物です。

そこでハイブランドが登場します。
ロレックスが腕に光っていれば、学歴も肩書きも関係ない。
言葉一つなく、一瞬で「こいつは只者じゃない」が伝わります。

これは矛盾ではなく、自分が勝てる別の土俵を選んだ合理的な戦略なんです。


2.中小企業の現場でも、同じことが起きている


これは、ストリートの若者だけの話ではありません。

たとえば、こんなスタッフはいませんか。

腕は確かで、難しい加工も任せれば必ずやり遂げる。
しかし会議では黙っている。
日報も最低限しか書かない。
新しい書類仕事を頼むと露骨に嫌な顔をする。
「あいつはやる気があるのかないのかわからない」と思われている。

しかし本当はどうでしょうか。

自分が削り出した部品を、客先の担当者がしげしげと眺めて「これは精度が高い」と言った瞬間、その職人の顔は誰より輝いているはずです。

評価されたくないのではない。
「日報の書き方」や「会議での発言数」という、自分が不利な物差しで測られることが嫌なだけ。

加工の精度、段取りの速さ、後輩への技術の伝え方、そういう物差しなら、誰より評価されたがっているのです。


3.社長が陥りやすい罠


現場に不満が出ると、多くの社長はこう対処します。
「評価シートを作ろう」
「面談の回数を増やそう」
「目標をもっと細かく決めよう」

しかし、どれだけ丁寧なシートを作っても、社員が「見てほしいところを見てもらえていない」と感じている限り、不満は消えません

問題は、制度の精度ではなく、物差しの種類に対する納得感の有無なんです。

では、どうすればいいのか。

答えは「全員に好きな物差しを選ばせる」ことではありません。
それでは現場が迷子になります。

社長がやるべきことは、「うちの会社では、これができる人間が一番すごい」と、はっきり宣言すること


4.物差しを変えたら、現場が変わった


ある中小の製造業の話。

その会社では長年、個人の生産数だけが評価の軸でした。
当然、ベテランは自分の数字だけを追い、若手への指導は後回しになる。
技術は属人化し、特定の人間しかできない仕事が増えていった。

そこで社長は評価の基準を変えました。

「後輩に技術を教えた数」「自分のノウハウを手順書にまとめた件数」を、賞与の査定に明確に組み込みました。
そして朝礼でこう言い続けました。
「うちで一番かっこいいのは、自分の技術を人に渡せるスタッフだ」と。

最初は「そんなことより手を動かせ」という空気もありました。
しかし半年もすると、ベテランたちが自ら若手に声をかけ始めました。
物差しが変わると、行動が変わったのです。


5.経営の本質は「物差しを設計すること」


ここまで話してきたことを、一言でまとめるとこうなります。

人は評価を嫌うのではない。
納得できない評価を嫌うのだ。

この一つの前提を持つだけで、現場の見え方が変わります。

「やる気がない」と思っていたスタッフが、実は今の物差しに絶望しているだけかもしれません。
「扱いにくい」と感じていたベテランが、別の土俵でなら誰より輝けるかもしれません。

経営とは、受注を取り、コストを管理し、利益を出すことだけではありません。
「うちの会社では、何ができる人間が偉いのか」
その物差しを決めて、現場に示し続けること
でもあります。

物差しが曖昧だと、人は迷います。
物差しがはっきりしていると、人は動くんです。

ヤンキーがブランド品を手に入れようとする理由を考え始めたら、最終的に「自分の会社でどんな物差しを示すか」という話に行き着きました。

あなたの会社では、今、何を「一番かっこいい仕事」として示していますか。


✨️この記事書いた人✨️

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