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#15|「ありがとう」が心理的な壁をつくる?|経営者が知るべきコミュニケーションの落とし穴

良かれと思った一言が、相手を遠ざけてしまう?

「ありがとう」という感謝の言葉。
誰もが使うポジティブな言葉ですよね。
でも、この何気ない感謝の言葉が、時として相手との間に見えない壁を作ってしまうことがあるんです。

経営の現場では毎日、部下や取引先、お客さんと「おつかれさま」「ありがとう」のやり取りがあります。
でも、その言い方ひとつで、チームワークが良くなったり、逆にギクシャクしたりすることがあるのを、皆さんも経験されたことがあるのではないでしょうか。

今回は、わたしが美容室で経験した実話をもとに、現場で使える「本当に相手に響く」感謝の伝え方について考えてみたいと思います。




1.「遠くからありがとうございます」が招いた意外な結末


こんな話があります。
隣町の美容室に通っていたわたしの話です。

自宅からは急行で一駅。
わたしにとっては「近所の美容室」という感覚でした。
ところが、行くたびに店長から「いつも遠くからありがとうございます」と言われるんです。

最初は「わざわざ来てくれてありがたい、と思ってくれているんだな」と嬉しく感じていました。
でも、毎回毎回同じことを言われるうちに、だんだん居心地が悪くなってきたんです。

「あ、自分はここでは『遠くから来る客』なんだな。地元の常連さんとは違う扱いなんだな」と感じるようになってしまい、結局その美容室には行かなくなってしまいました。

技術も接客も満足していたのに、です。


2.なぜこんなことが起きるのか?


この話、町工場でもよく似たことが起きていませんか?

「レッテル貼り」の問題(ラベリング効果)
「遠くから来る人」という属性が固定化され、その人を一つの特徴で決めつけてしまうことです。

「仲間はずれ感」を作ってしまう(インクルージョンの阻害)
本当なら「常連客」「行きつけの店の一員」として感じたかった仲間意識が、「特別な人」として扱うことで、かえって距離を感じさせてしまいます。

3. プレッシャーになってしまう(心理的負担の蓄積)
「わざわざ感」が積み重なることで、純粋な感謝として受け流せなくなり、むしろプレッシャーに変化していきます。

結果として、技術や雰囲気には満足していたにも関わらず、その美容室に通うことをやめてしまったのです。


3.経営現場でよくある「危険な言葉遣い」


こんな表現、使っていませんか?

要注意パターン

  • 「残業続きで大変だろうけど、ありがとう」(大変さを毎回強調)

  • 「きつい仕事ばかりで申し訳ないが」(きつい仕事の人という決めつけ)

  • 「家が遠いのに早出してもらって」(遠い人という固定イメージ)

  • 「年配なのに無理させて」(年配者という枠にはめる)

これらの言葉は、相手を「残業する人」「大変な人」「遠い人」「年配の人」という枠に押し込んでしまい、「うちの大切なスタッフ」という一体感を薄めてしまう可能性があります。


4.スタッフの心に響く「感謝の伝え方」


では、どう言えばいいのでしょうか?

コツ1:状況でなく、その人自身に感謝する
NG 「残業で大変だろうけど、ありがとう」
OK 「いつも頼りになる。ありがとう」
OK 「おつかれさま。今日もありがとう」

コツ2:みんな同じ「仲間」として接する
特別扱いするのではなく、チームの大切な一員として自然に接します。

コツ3:同じセリフの繰り返しを避ける
毎回同じことを言うと、心がこもっていないように感じられます。
その時の状況に合わせて言葉を変えましょう。


5.経営現場ならではの応用例


朝の声かけ
NG 「今日も暑い中、ご苦労様」
OK 「おはよう。今日もよろしく」

作業後の声かけ
NG 「危険な作業なのに、ありがとう」
OK 「いい仕事だったね。ありがとう」

納期前の声かけ
NG 「忙しい中、申し訳ない」
OK 「いつも頼りにしてる。今回もよろしく」


6.チーム作りのために大切なこと


みんなが「うちの人」と感じられる雰囲気づくり

一人ひとりが「自分はこの会社の大切な一員だ」と自然に感じられる環境を作ることが大切です。

決めつけに注意する
「あの人は○○な人」と決めつけず、その人の良いところや頑張りに目を向けましょう。

本音のコミュニケーション
形だけの挨拶ではなく、本当に相手のことを思った言葉をかけることが大切です。


7.社長の一言が現場を変える


中小企業では、社長の一言一言が職人さんたちの気持ちを大きく左右します。
何気なく使っている感謝の言葉も、伝え方次第で全然違う効果を生むのです。

自分の言葉を振り返ってみましょう

  • 自分の「ありがとう」は、相手にちゃんと届いているか?

  • その言葉で、職人さんとの距離は縮まっているか?

  • 知らず知らずのうちに、誰かを「特別な人」扱いしていないか?

スタッフとの信頼関係は、毎日の小さなコミュニケーションの積み重ねで作られます。
一人ひとりを大切な仲間として見て、心のこもった言葉をかけることで、もっと強いチームを作っていけるはずです。

技術力だけでなく、人と人とのつながりも中小企業の大切な財産です。
明日から、ちょっとした声のかけ方を意識してみてください。
きっと現場の雰囲気が変わってくるはずです。

現場は人で成り立っています。
その人たちが「ここで働けて良かった」と思えるかどうかは、わたしたち社長の言葉ひとつにかかっているのかもしれません。


✨️この記事書いた人✨️

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